柴門孤舟

第五章 降りることは、上がることよりずっとむずかしい

 「『降りることは、上がることよりずっとむずかしい』ということだ。より一般化するなら、こういうことになる――結果は起因をあっさりと呑み込み、無力化していく。それ…

第四章 小説家の方法で、一滴の雨水の思い・歴史を記す

 村上春樹という小説家は、次のような方法で文章を書く。 「しかし僕は手を動かして、実際に文章を書くことを通してしかものを考えることのできないタイプの人間なので(…

第三章 恵まれていることをめぐる違和感

 私は、村上春樹の作品の熱心な読者ではない。一浪して、不本意な大学・学部に在学していたのが、1981年4月から1985年3月である。お金はないが、時間はたっぷりある大学…

第二章 地雷を踏む

 私は、長女とうまくいっていない。家を出て、5年間ほど、県外の大学に通っている間は、平和であった。地元で就職することになり、長女が家に戻ってきてから、おかしくな…

第一章 不思議な懐かしさ

 普通の漫画で描かれる風景は、面白いストーリーをわかりやすく説明するためのものでしかない。ストーリーが主で、風景は従である。しかし、つげ義春の漫画は違う。特に『…