リレーストーリー「どすこいスパイ大作戦#2」

物語の主人公は、モンゴル出身の力士:蒙古龍。
実は彼、力士の他にもう一つの顔が・・・それは「スパイ」!
怪しまれずに日本に馴染み、そして滞在する策として力士になった
「ドスコイスパイ」がある重大事件の解決に大活躍
・・・するかも⁈

あらすじ

第2話「初指令」

ちゃんこをつつく箸を止め、LINEをチラ見した蒙古龍が心の中でつぶやく。

 「ポッポさんだ…」

 送り主のIDは「ポッポ」。
一見、仲の良い友達からの連絡のように思えるが、実は「ポッポ」とは、モンゴルの機密組織「MGB」のトップが使うコードネーム! 

そう!
ドスコイスパイにモンゴルからの初指令が届いたのだ。

蒙古龍に緊張が走る。

「いよいよ来たか…。けど、よりによってちゃんこの時間に…」

食いしん坊の蒙古龍。
依頼が来たことは名誉だが、それ以上に大好きなちゃんこを邪魔された事が不満のようだ。 
しかし、なぜMGBのIDが「ポッポ」なのか?

ポッポとは鳩の事で、理由は2つある。

1つは、ネット社会が発達するはるか昔から、遠方からの情報を届ける通信手段として鳩が使われていたこと!
もう1つは、平和の象徴である鳩を使うことで、安全に任務を遂行して欲しい、という願いが込められているのだ。

 蒙古龍はちゃんこを切り上げ、指令を確認。

 「本日16時、新宿セントラルホテルで密談あり。国の情報を漏らす要注意人物を調査せよ!」

「その任務、ごっつぁんです!」

しかし、どうやって遂行するか?
大部屋で誰にも悟られないよう作戦を立てる蒙古龍。
ただ考えていると怪しまれてしまうので、寝っ転がりながらスマホゲームで遊んでいる。

 すると、何も知らない仲良しの先輩・越後丸が声をかける。

 「カーンちゃん、夜空いてる?須藤建設の社長さんが、一席設けてくれるって? うまくいけば、お刺身もいけるかもよ!」
「え?お刺身っすか??」

蒙古龍は心が揺らいだ…。
それもそのはず、「お刺身」とは魚の切り身ではなく相撲用語で「キス」のこと。
要は美女とコンパを開いてくれるというのだ。
ちなみに、「お刺身」の由来は、舌の感覚がお刺身に似ているため。

20代の蒙古龍。
ご飯も好きだが、女性も大好き!
どうしても行きたいが、別件があると心を鬼にして断った。

「なんて日だ!!」

 その後も、寝っ転がったまま作戦を熟考。
ホテルに潜入するにしても力士なので目立ってしまう。
どうしたらよいのか…
すると、名案が閃く!

「そうだ!作業員に変装しよう!ドレスコードがあっても、特大サイズの作業着を着れば現場作業員と言い張って突破できる!作業員ならヘルメットも被れるし、髷も隠せる!話し方や仕草も、須藤建設の社長を知ってるし、マネできる!よし!コレで今日の任務は白星だ!」

 思わずニヤリとする蒙古龍。
ホッとした瞬間、大の字になってリラックス。
すると・・・

「Zzzzzzz…」

突然の大イビキ!!
そう、力士は、ちゃんこを食べた後、昼寝をするのが毎日の習慣。
午後は悪魔の時間帯!!
気を抜いた蒙古龍は深い眠りに…。
こんな所に落とし穴が!!!

現在14時―――
そして任務は16時。

白星を宣言したのも束の間、まさかの休場危機に…。
やる気はあっても、力士の習性が邪魔をする…。
これがドスコイスパイの哀しい性…。

 あと2時間、蒙古龍の運命は…。

(つづく)

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