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有償映画レビュー2:パチスロひとり旅

前回公開した映画レビューと同じタイミングで依頼されたもう一つの案件も公開いたします。

やはり、映画もあまり見ないジャンルの映画だったため、レビューを書くのに苦労しました。
いやぁ、非常に難しい仕事でした。
難しい分、やりがいがあるかと言われれば……
ご想像にお任せします。


これが実話ということだが…

主人公の名波が勤務先の証券会社の顧客と会社への損失補てんとして個人で背負った借金600万円を返済するために、全国のパチンコ屋を車でめぐっていって消費者金融への借金を返済していっているというものです。
ちょうどこの作品が製作された2001年ですが、高利貸しだった消費者金融が、その後、裁判でメタメタにされて主人公は過払い金を一杯取り戻したのだろうなと別のことを思ってしまいました。
おそらくスロットをやる人には目から鱗のテクニックの連発だったと思いますが、私は残念なことにスロットをやらないため、こんな世界もあるのかなと思う程度でした。

さて、俳優陣の話になりますが、まず主人公の名波を演じる坂上忍は、冴えない30代の役に徹しています。証券会社に勤務していた頃のシーンも出てくるのですが、その時は成績上位であり、そのときとの表情の違いを上手く演じ分けていると思います。
ヒロイン役といっていいのでしょうか。家出少女のハルナ役を演じた諸岡ひとみは、お世辞にもいいとは言えませんでした。
作中では20歳と言っているのですが、実は15歳だったというもので、実年齢はその当時18歳だったにもかかわらず、なんだか見た目25歳ぐらいに見えてしまいました。
ストリートダンスをしながら、全国を回っているというのですが、ダンスシーンが途中にありましたが、あまりにキレのないダンスで、これでよく稼げているなと思う次第です。
しかし、小銭がどんどん集まっていきます。見ている方は、え?の一言です。

おそらく特別出演であったであろう岩城滉一はやっぱりかっこよかったです。パチンコ屋を経営する社長役で、何もかもを見通している感じがあり、よかったです。途中自分の娘がビーチフラッグで男を品定めするのに同席するシーンは、岩城滉一のかっこよさを引き立てためだけに出てきたシーンで後には何もつながりません。
車が故障したために足がなくなった名波を自分の店まで送り届けるシーンでは、ハーレーに乗りこなしています。ここは絵になります。

俳優に関しては、岩城滉一以外はあまり大した見どころがないというのが本音です。
坂上忍も自分で子役の時が絶頂だったと自覚しているかのような脚本に即したそつのない演技です。今あまり俳優業をやっていないのも多少頷けます。

実際に借金を背負って、パチスロを打ちながら、全国を歩いて借金を返済するというのが、どれだけ大変かは想像ができません。
しかし、この映画を見ていて、主人公は物凄くまともにみえます。
パチスロで全国を旅するような真似をしなくても、借金は返済できたのではないかなとも感じることが多々ありました。
証券会社に勤務していたということもあり、儲かることには嗅覚が利いたのかとも思いましたが、旅をしてパチスロで稼ぐ、しかも婚約者もいたのに、その人には黙って出ていくなんてちょっと発想が普通ではありません。
これが実話だったとすれば、かなりの脚色があったのではないでしょうか?

途中、パチンコ店内でチンピラに絡まれるシーンなどもあるのですが、2001年当時はこんなに治安の悪いパチンコ屋があったのでしょうか?
それが岩城滉一の経営するパチンコ屋で、しかもそのチンピラと名波が50万を賭けて一日のコインの量を勝負するなど、今の映画でやってしまえば、関係団体から抗議が来てしまいそうな内容です。
しかも、名波に負けて逃げようとするチンピラを止めようとする岩城滉一がとても強いです。男の中の男です。
こんな状況でも、名波は一切暴力を振ろうとはしません。
こんなに突飛な発想で全国を回っていても、根はまともなのです。
ハルナに対しても、未成年と分かるや自宅へ返そうとする律儀なところなど、まともとしか言いようがありません。
しかも、ハルナの家が舞台となったパチンコ屋がある町にあり、しかも、名波が緊急入院して担当した医者の娘だった。
なんていう都合のよい設定でしょうか。
ホテルを探すのも苦労するような小さな町で、自分の娘が帰ってきているということであれば、街でも多少噂になると思います。
しかも医者の娘だったら、世話好きなお年寄りが言ってくるに違いありません。
家出少女で野宿をしているのであれば、すぐに警察がきていると思いますが、そういったことも一切なく、ストーリーはパチンコ屋を舞台に進んでいきます。

この作品で見てよかったと言えたのは、岩城滉一の喧嘩シーンとハーレーに乗るシーン。そして、坂上忍が俳優業を、本腰を入れて行わないようになった理由が分かったことでした。

この映画は、深夜に放送するパチンコ関係のVシネマと同じ匂いがする映画となっています。
ストーリーははっきり言ってB級です。でも、随所にパチスロのテクニックがちりばめられていることから、パチスロが好きな人にはたまらないシーンが盛りだくさんだと思います。
逆にパチスロをしない人にとってはへぇ~程度で終わってしまうかもしれません。
また、こんな飛びぬけた発想で借金を返そうとした人もいるのだなと思えるいろんなタイプの人生に触れたい人、今の人生に迷っている人にもおススメです。


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