
「女性のキャリア」と「恋愛」その不調和の正体 #キャリア女性の恋愛論vol.1
私は「バリキャリ女子のライフステージジレンマ専門家」と名乗り、主に「仕事をがんばる女の子たちが仕事も全力でやり続けながらプライベートの夢も叶えるには」について研究するのがライフワークです。
大手商社、外資系メーカー、コンサル、スタートアップ、VC、起業家、クリエイティブ職…
これまで、所属も属性も様々ですが、基本的に仕事を頑張る女性たちと恋愛や結婚生活について語り合ってきた中で、「キャリアと恋愛・結婚生活」におけるジレンマ(両立課題)には一定のパターンがあると感じています。
以前は、漠然と「女性のキャリアと恋愛・結婚ってなんか食い合わせ悪いんだよな」と感じていました。でもその問題を分解すると、実は解決策って問題の内容によって違うんですね。いわれてみれば、当たり前のことなんだけど、それについて整理して語られているものって少ないと思います。
なので今日は、そのジレンマのパターンと、それを乗り越えるための方法についてまとめてみます。
キャリアと恋愛・結婚生活のジレンマ3選とその乗り越え方
これまでの観測の中で、特に「キャリア女性ならでは」で起きやすいジレンマについて、以下の3つにまとめました。
【1】時間問題
【2】距離問題
【3】パートナーのこじらせ問題
それぞれについて解説していきます。
【1】時間問題
シンプルに、「仕事が忙しくてプライベートに時間をさけない」問題です。
特にキャリアの浅い20代や、新しいチャレンジを始めたばかりの時。すべての持てる時間や体力を仕事にフルベットしたいみたいな時ありますよね。
そういう時は、漫然と「マチアプやるか~」とか出会いの場に行く時間も体力もなかったり、恋人とのデートも頻度高くはできなかったり。結婚・育児中の場合、家族との時間を捻出するのも苦労したりします。
【乗り越え方】
この問題の解決方法はシンプルです。
それは「限られた時間の中で工夫をする」こと。
Case1.出会いが欲しい人なら「質の高い出会い方法を実践する」
漫然と時間があるときだけマチアプ開いてみたり、大して面白くもない初回デートを重ねるのはダメです。そのうちに「めんどいし他に優先したいことあるから」ってなります。出会いが欲しいと思うなら、キャリア女子ほど高タイパを狙って短期決戦。好みの男(または恋愛対象)と出会える確度を高めるための方法は、この記事にまとめているのでぜひ読んでみてください。
あとは「好みの人間と出会える場所に仕事を作る」という技もあります。私の推しエッセイスト・下田美咲ちゃんが独身時代によくやっていたこととしてあげていて、美咲ちゃんの恋愛論・結婚論はめちゃくちゃ面白いのでこちらもぜひチェックしてみてほしい。
Case2.恋人・パートナーがいる人なら「デートのタイミング・中身を工夫する」
これは「無理なく日々の生活の中で会える時間を確保するアプローチ」と「一回あたりの密度を高くするアプローチ」があります。
前者であれば、例えば「仕事デート」というアイディアがあります。休日、カフェとかでお互い好きなことをする。自分は仕事、相手は読書等。時間をシェアしつつ休憩時間に雑談したりして過ごす。仕事を終わらせたら、そのあと気持ちよくごはんを食べに行ったりもいいですね。あとは「同棲しちゃう」とかも手です。いくら仕事が忙しくても睡眠と食事は誰でも必要ですから、夜や朝は一緒にいれるようにするための技です。
後者は「会えるタイミングは沢山ないから、1回1回をすごく充実したものにしようね」という考え方です。もちろん、普通のデートでも十分楽しいという人はそれでOK。ただ付き合いが長期化してきてマンネリ化してきたタイミングなら、より嗜好を凝らしてそのコンテンツ自体も楽しみになるデート内容にしたりするのがオススメです。
Case3.育児中の人なら「タスクを極限まで減らす」「パートナーとのチームアップ強化」
ここはもう説明不要なほど、共働き×育児生活の乗り越え方は世の中に沢山のライフハックがあるので割愛しますが、基本的に「タスクは極限まで減らして、空いた時間をコアとなる家族のコミュニケーション時間に充てる」という考えかと思います。代表的なのは「便利家電の導入」「アウトソーシングの活用(家事代行、宅配食etc)」「頼れるシッターを数人確保しておく」等ですね。
ただ個人的には、上記のライフハック以上に大事なのは「パートナーとのチームアップの強化」です。家庭運営においては共同経営者であるパートナーと方針や課題が共有できてないと、余計なストレスや負荷がかかります。それについては、ぜひ「パートナーシップサービスマップ」で状況に合わせて外部装置の力も借りることを検討してみてください。

あとは生活の中で仕事時間を捻出するためのアイディアとして、最近聞いていいなと思ったのは「不在曜日の固定」です。パートナーと話し合い、この曜日は一方が不在の日(一方が育児担当)と決めておくことで、逐一許可を取ったりせず、仕事や会食を思い切りできる日を作っておくそうです。
注意点
但しこの「時間問題」が厄介なのは、この問題に対して恋人・パートナーが「一緒に工夫して乗り越えよう」ではなく、自分に対する優先度の問題と捉えてしまう場合です。その場合は一気に ③パートナーのこじらせ問題 に発展します。
【2】距離問題
これは、商社勤めだったりメーカーだったり、グローバルや国内外に広く事業展開してる会社員の方からよく聞かれる問題です。国内転勤、海外赴任などに伴い、一時的または期限なく恋人・パートナーと遠距離になってしまう問題です。
期間や年齢によっては、それぞれのライフプラン(結婚希望年齢、妊娠出産などの制約)への影響も大きく、関係の見直しが必要になります。
恋人・パートナーがついてきてくれる、という場合もありますが、もちろん相手にも仕事の事情ややりたいことがあるので、簡単なことではありません。また、男性の赴任にパートナーがついていく、というのはよくみられるケースですが、女性の赴任にパートナーがついていくというのはまだあまり一般的な選択肢としてのぼりづらいようにも思います。
【乗り越え方】
この問題は、中長期でお互いの人生ビジョンをすりあわせして乗り越える問題です。簡単に結論はでません。
数年後、十数年後まで互いと一緒にいる未来が見えるのか?結婚に求めることや、キャリアで大事にしたいことは何か?何は妥協できて、何は譲れないことなのか?離れて暮らす生活に耐えられるのか?現実的にどんな手段が考えられるのか?
こういった問に向き合ってじっくり対話を行った上で「遠距離を受け入れる」「どちらかのキャリアを調整して一緒に住む」「別れる」といった選択を行う必要があります。
中長期ビジョンをシェアできているのであれば、それが支えになり、遠距離になった場合でも不安感は低減されるでしょう。逆にここでしっかり話し合いができないのであれば、むしろ中長期的なパートナーシップを期待するべき相手じゃなかったということがわかるのかもしれません。
いずれの場合も、納得感をもって選び取れるかが鍵となります。
【3】パートナーのこじらせ問題
女性がキャリアをつむことやそのための行動に対して恋人・パートナーが攻撃的になってしまう問題です。
この問題、実はあまり知られてないのですが、私もこの記事で書いたようなエピソードがあったり、残念ながら多くの女性から似たようなお話を聞いたことがあります。(「インターンを頑張っていたら恋人が「なんでそんな頑張るの」と嫌な態度を取られた」等です。)
攻撃的になった恋人・パートナーは、一見もっともらしい論理をつけたりして攻撃してくるため、論理に論理を戦わせたりしがちですが、実はそれは悪手です。口でいうことよりも、根っこにあるのは恋人・パートナーの「危機感」であることが多いです。
・恋人の進化・変化への焦り
・自分の立場がない、必要とされないように感じる
・彼女の中での自分のプライオリティが低くなってることの寂しさ(①時間問題 参照)
【乗り越え方】
この問題については、まずあなたが「その恋人・パートナーと、これからも一緒にいたいか」を考えてみてください。
「一緒にいたい」と思える人であれば、しっかり相手の根っこにある危機感の正体を把握して、「あなたが必要」という相手への愛情やリスペクトを示すことで、相手の不安を低減させてあげることが必要です。また、自分がなぜ今忙しいのか、頑張った先に何をかなえたいのか等、仕事側のビジョンや状況もシェアしておくと、「今は頑張り時なんだね」と理解しやすく、これもまた不安感の低減に役立ちます。
ただ一方で、そうした不安感情によるものではなく、そもそも恋人が社会的に成功していくことを喜べないという人も、残念ながら一定数います。
なので相手選びの段階で、そういう相手を選ばないという対策も必要です。
ただし、ここで気を付けてほしいのは「あなたのキャリアアップを嫌がらない人=あなたよりキャリア面で成功してる人」と考えるのは危険だということ。それは結局、本質的には「女性には自分より立場のない状態であってほしい」というだけなので、それよりも、あなたの仕事への姿勢などに対するリスペクトがある、本人の自己肯定感が満たされているといった要素を見るべきです。自分自身も「男性がステータス優位でないと」というイメージが無意識にでもないかは見直しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。偉そうに語りましたが、上記で紹介した問題も、解決策の方向性も、これだけしかないということはなく、もっといろんなアイディアがあるものと思います。(ぜひ教えてほしい!)
やりたいことが沢山あるほど、大事にしたいものが沢山あるほど、私たちの人生には難しい課題が出てくるのが常。「キャリア」と「恋人・パートナーとの関係」も、両方を大事にしていると、そのはざまで悩まなければいけないタイミングは必ずある。でもその時、諦めずに問題を具体化して、アイディアを探し、解決策を見つけ出す。その試行錯誤の積み重ねの分だけ、自分の求める未来があると信じて、私は今後もこのテーマについて研究していきたいなと思います。