本を読み始めた菜園起業大学受講生
野菜栽培基礎講習を終え、野菜栽培の年間実習へと進んだ菜園起業大学の受講生。
早いもので、年間実習も受講開始から既に9ヶ月が過ぎました。
菜園起業大学は、最初は基礎講習で、「種まき」とか「土寄せ」とかと言う個々の農作業を単元ごとに学びます。
10回の基礎講習が終わると年間実習に進みます。今回の受講生の方は、両方合わせると1年以上、何らかの形で実習を継続している事になります。
では、どのくらい、農作業が「ひとり」でできるようになったかと言うと、かなりおぼつかない、と思っています。
しかし、半農半Xの形ではあれ、「新規就農」を目指していくとすると、野菜栽培の年間実習の次は、「農園運営実習」を受けて、「農園主」となる練習をする必要があります。
そこで、ちょっと、この受講生の方とお話ししました。
2月-3月が春まき初夏採りか早春まき晩春採り野菜の種まき時季、それから9月が初秋まき晩秋・冬採り野菜の種まき時、普通の葉物や根菜類はだいたいこの時季にまく、
ブロッコリーやキャベツなど、少し生育に時間がかかるものは、夏まき秋冬どりとなり、6-7月頃から種まきをする
4月まきだと夏場は暑すぎて生育しずらいので、こういう野菜は種まきしない、
こういうような今の時季あたりからの野菜栽培の年間スケジュールをもう一度お話して、自分で栽培計画を作るように言いました。
話しているうちに、最近、通勤時にスマホを見ないで、図書館で借りてきた本、特に農業の本を読むようにしていると言い出しました。
それから、今まで1年間やってみて、なんとなく、2月まきの方が楽な気がしてきたと言い出しました。
2月まきの葉物を春採りするのと9月まきで11月頃から秋冬採りするので、どちらが楽と言うことは一概には言えないと思います。
ただ、まだ暑いうちに種まきすると、害虫も多いですし、草取りも大変です。
2月まきの場合、霜の心配はありますが、防寒対策以外にあまり気を遣う必要はないので、「楽」と言うイメージを持ったようです。
このへんは、また経験を積むうちにイメージも変わってくるかもしれません。
とにかく、1年間実習を続けるうち、自分なりに年間の栽培スケジュールについてのイメージを持った、また、何か勉強しようと思った、
この辺、自発性に基づく行動・思考が出てきたと言うことが大事だと思いました。
半農半Xの場合でも、新規就農と言うことになれば、農園を自分で運営しなくてはなりません。
責任もついて回るわけで、「指示待ち」ではまずいわけです。そして、「責任を持つ」と言うことは、自分から考える・・・つまり、自発性と言う下地があって成り立つわけです。
しかし、「自発性」は指示して身につくわけではありません。ここが講座の難しいところで、最初は、種まきはこうするんだよとこちらでやり方を教えていくわけで、最初から自分で考えろと言われても、初心者の段階では、どうしていいか分からないわけですから、「指示待ち」でも仕方がないわけです。
しかし、どこかで「自分から考える」と言う段階に進んでいく必要がある、この「自発性」は「教えて」身につくものではなく、やはり、「自発性」と言う以上、自分から考え出さないといけない…
今回については、僕は、とにかく、栽培計画を自分で考えるところから始めてもらい、その中で「自発性」を育んでいくことを考えました。
しかし、受講生の方は、どうやら、自分なりに年間の栽培についてのイメージを持ったり、本を読み始めたりと、自発的行動を始めていたようです。
この芽を大事にしながら、栽培計画を立てて、自分で立てた計画に従って野菜を育て、農園運営の練習をしていく、
たぶん、今後の実習はこういう形で進むでしょう。
菜園起業大学から半農半Xの「新規就農者」を産み出すため、「自発性を育む」と言う課題に、教える側として挑戦していきたいと思います。