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メンタルヘルスケア ~No33 自分を知る〔表現のクセを知る〕(その1)~

こちらの記事は、災害防止研究所公式サイトにて連載しております、過去ブログ内容です。
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心の内は、知らず知らずのうちに、言語や表情や行動・動作・態度に現れるものです。

ここでは自分の表現のクセを知るために、三つの例をあげています。

一つ目は、表現のパターン。二つ目は、出来事の受け取り方による反応のパターン。三つ目は、組織(チーム)のなかでの行動パターンです。 

いずれもシンプルなものを選びました。

どのパターンに当てはまるかを知ることが目的ではなく、自分を観察して、自分自身の心の有り様を再認識して、自分自身を客観的に観察するための材料です。

もしご自分の知能テストや心理テストを見る機会があれば、それも参考にすれば、良いと思います。

どのような視点から人間の心理を分析しているのかなどを知るのも有意義ですし、理想とするタイプが見つかれば、それを意識することで、きっと実現することができるでしょう。

1 3つの自己表現パターン

アサーション(assertion)は、直訳すると、断言・断定・主張になりますが、「適切な自己主張」「自他を尊重した自己表現」などの意味で使われています。

1949年にアメリカで出版された、精神医学、行動医学の書籍に登場し、心理療法の中で使われていましたが、1980年台に日本に伝わり、現在は企業を中心に、学校などでトレーニングが実践されているコミュニケーションスキルです。

行動心理学では、人の自己表現を3つのパターンに分けています。

一つ目は、アグレッシブ(攻撃的なタイプ)。

・自分本位で他者を認めず、相手の意見を無視する。
・自分の意見をはっきりと相手に伝える反面、自分の考えや価値観を押しつける。
・自己主張が強く、物事を決めてかかり、相手を否定、批判する。
・他人よりも優位に立ちたいという意欲が強く、相手の話を聞かず、話のコシを折る。
・全体を見ずに自分の主張を押し通したり、わがままな行動をしたりする。
・自分が優位になるように相手や周りを操作しようとする。
・意見と事実を混同する。
・精神的に幼く、しばしば周囲と軋轢を起こす。

二つ目は、ノン・アサーティブ(非主張的なタイプ)

・他者優先で、自分の意見を後回しにする。
・自分に自信が無く、自分の考えに自信が持てない。
・自己主張が控えめ、もしくは苦手で、反応が少ない。
・いつも相手の態度や気持ちを伺い、日和見的で、他人の意見に同調する。
・あいまいな表現を好み、議論を避ける。
・責任感が薄く、言い訳が多い。
・人間関係でストレスを抱えやすい。
・優しくて穏やかな反面、自分を押し殺してしまうストレスから、「誰も自分をわかってくれない」という悩みを持つ人も多い。

三つ目は、アサーティブ(適切な自己主張ができるタイプ)

・自分の意見を素直に表現でき、適切な自己主張が出来る。
・相手の意見を尊重し、相手と相互的な関係を築くことができる。
・その場にふさわしい表現を選んで自己主張ができる。
・衝突するような場面でも、お互いの主張を出しあって、適切な結論を導き出すことができる。
・行動に対して、適切にフィードバックできる結論に導く。
・意見と事実を区分して話す。
・「私は~したい」など、責任感の感じられる表現を好む。 

次のチェックリストで、当てはまるものに☑をしてみてください。

・□ ①人に弱みを見せることにためらいを覚えがちである
・□ ②人のミスや良くないところを指摘することが多い
・□ ③思った通りに物事が進まないと腹が立つ
・□ ④相手への主張が激しくなりやすい
・□ ⑤自分の意見を否定されたとき、腹が立つ
・□ ⑥引っ込み思案である
・□ ⑦自分に自信がない
・□ ⑧相手に合わせて行動し、自分の意見を押し殺してしまうことがある
・□ ⑨相手に認めてもらいたいと期待することがある
・□ ⑩相手に反論されると、受け入れてしまう
・□ ⑪相手に対して正直な気持ちを話すことができる
・□ ⑫常に積極的に行動できる
・□ ⑬たくさんの人がいる場所でも自分の意見が言える
・□ ⑭苦手なタイプの人と自然に話せる
・□ ⑮自分を否定されてもネガティブにならず、相手の意見を受け入れられる

①~⑤に☑が多い人は、アグレッシブ型

⑥~⑩に☑が多い人は、ノン・アサーティブ型

⑪~⑮に☑が多い人は、アサーティブ型になります。

表現する際の自分の個性がどのようなものかを知り、他者とより良いつながりができるよう、コミュニケーションをアサーティブタイプに近づけることが目標です。

アサーショントレーニングでは、トレーニングの前提として4つの心がけを掲げていますが、これは、私たちがコミュニケーションを取る際、常に心がける必要のあるものだと思います。

① 誠実であること

自分の感情に正直であること
自分に嘘をつかず、本当の気持ちを認めること
相手の気持ちに対しても自分と同じように扱うこと

② 対等であること

自分も相手も、等しく人間としての尊厳を持っていること
相手によって態度を変えることなく、誰にでも同じように接すること

③ 率直であること

自分と相手の両方を大切にすること
相手の感情を尊重しつつ、自分の主張を率直に言うこと

④ 自己責任

自分の意見の結果、出てくる相手の反応を受け入れること
自分の気持ちも相手の気持ちも尊重すること

by saiboukenon 2020年11月18日

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