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ボールペンを持つ手を止めてはじめて、ラジオの深夜放送が終わり、スピーカーからは微かなノイ…
二九歳の今年、俺は不動産会社を解雇された。 新卒採用で営業職として七年間勤めた。会社は二…
七五歳にして三〇回目の来日。 その大御所アーティストは何度も武道館でコンサートを行ってき…
日向にいれば半袖でじっとしていも寒くない季節になった。 桜は散ってしまったが、木々に緑の…
なぜわたしがみんなに叩かれないといけないのか。 SNSにはわたしの悪口ばっかり。まったく…
窓の外が暗くなってきた。日没はまだのはず。雨だ。急いで洗濯物を取り込む。 手に触れる…
ほんとにあの子の骨をうちに持って帰らなくちゃいけないのかね。 まだ五〇歳だったっていうのに。なんでまたあんな死に方をしたんだ。あんな死に方じゃあこの世に未練もあるだろうし。そんなお骨を四十九日まで一人で暮らしている家に置いておくのは嫌だよ。 半年前に八十六歳で主人が死んだときだってお骨を持って帰るの億劫だった。だから分骨用の小さな骨壷にしてもらったんだ。寿命だったと納得できるくらいの年齢で死んだ人間のお骨だって気味悪かったのに、あんな死に方をした人間のお骨なんて、尚
八〇歳になった母はどれだけ説得しても運転免許の返納に応じようとはしなかった。高齢者が運…
目が覚めて時計を見ると、いつも布団から出る時間の6時を20分ほど過ぎていた。 胃がむかついて…