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sai
2021年4月13日 12:47
やせ細った腕をぎゅーと抱きしめながら、肩越しでこらえきれなかった涙が溢れてくる。どこかでこれが最期なんだとわかっていた。絶対に泣かないと決めていたのに。だってお母さんも泣くから。空港に向かうバスの時間ギリギリまでお母さんのそばにいる。この時ばかりは上京したことを悔やんだ。「喪服を用意しておきなさい」大好きだったお母さんのお葬式で着る服なんて、素直に用意できるわけがない。