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ベトナム在住者として、マイプロテインの対応について思うこと

先日、マイプロテインのプロテインバー「カーボクラッシャー」から、
大量の小さな虫が出てくると言う問題が発生しました。

この問題、海外在住者として感じるのは、
「日本人消費者」と「海外の企業」との間にある、
大きな意識の違いにより、問題が大きくなっている気がします。
今回は、「この意識の違い」についてちょっと解説したいと思います。

マイプロテインとは

マイプロテインは、イギリスの会社で、
圧倒的に安い価格と安定した品質で、
ここ数年急激に日本のサプリ市場シェアを広げてきたサプリメーカーです。

マイプロテインの成長の理由

少しウェイトトレーニングをする人なら、
プロテインマルチビタミンは摂取する人が多いと思います。
特にプロテインは、直訳すると「タンパク質」
とにかく、安い値段でたくさんタンパク質が吸収できることが重要です。
マイプロテイン製品は、
プロテインのコストパフォーマンスが、他社に比べて圧倒的に良いです。
イメージで言えば、
サプリメント界のユニクロみたいなイメージでしょうか。
と言うことで、私もマイプロテインを利用しています。

ちなみに販売形態は、越境ECです。
日本人は、Webサイトを通じてイギリスのショップに発注して、
イギリスから輸入配送されるという仕組みです。

マイプロテインのユニークなところは、広告戦略にもあります。
通常サプリの広告というと、
雑誌やWebサイト、販売店・トレーニングジムに対するものが基本です。
その点、マイプロテインは販売店を持たず、
Webサイトしか持たないため、
販売店・トレーニングジムへのプロモーションは皆無。
また、雑誌やWebサイトの露出もほとんど見たことがありません。
そのかわりに彼らがやってるのが、
有名YouTuberをアンバサダーとして宣伝してもらう戦略です。
結果として、これは大成功。
近年のトレーニーの多くは、
YouTubeで情報を得てトレーニングすることが多いです。
自分が参考にしているYouTuberが宣伝している
マイプロテインを購入すると言うのは自然な流れでした。
しかも、提供されるサプリメントは
業界最強クラスのコストパフォーマンス。
買わない理由は見当たりません。

思えば、私も初めてプロテインを購入するとき、
当時会員だったGold's Gymのトレーナーさんに
お勧め商品を聞いて購入しました。
今のトレーニーはAnytimeFitness、Joyfitなどの24時間ジムに通い、
トレーニング方法はYouTuberから学ぶことが多く、
YouTuberの影響は絶大です。

そんなわけで、ここ数年で急激に市場シェアを拡大したマイプロテイン。
一般の人は中々知らない企業だとは思いますが、
トレーニングをする人なら、誰でも知ってる会社となっています。

事件は起こった

そんな、順風満帆な中で発生したのが今回の事件。
発生した問題内容もショッキングですが
・問題のショッキングな動画がSNSで拡散されたこと
・マイプロテイン社の説明が日本の消費者の期待する説明になっていない
と言う2つにより、
マイプロテインは日本での売り上げを大きく落とすことになりそうです。
特に、マイプロテイン社の説明は、
日本人からするとかなり的外れな感じがあったと思います。

どんな説明だったの?

独立した第三者機関がこの問題を調査した結果、
問題の製品が輸送中に発生した事故であると判断しました。
調査の結果、製品の欠陥は、消費された場合、
人の健康へのリスクをもたらすものではないと結論付けました。

今回の問題では、
小包装されたプロテインバーの新品を開封したところ
そこから虫が出てくる画像が拡散しています。
この状況で、「輸送中の問題?」「どう言うこと?」と言うのが
多くの日本人の感じたことではないでしょうか?

しかし、これこそが「イギリスの会社」と「日本の消費者」の
ミスコミニケーションなのではと感じます。

イギリスの会社であるマイプロテインが、
日本の消費者のことをもっと理解していれば、
こう言うまずい対応にはならなかったし、
今からでも改善できるはずです。
私は、ベトナムに7年住んでいることもあり、
なんとなくこのミスコミニケーションを強く感じるので、
その点について説明します。

欧米での虫の混入の認識

そもそも、欧米では虫の混入ってどう言うイメージなのだろう。
実はベトナムに住んでる私、
何度かスーパーで購入したパスタから虫が出てきたことがあります。
パスタの乾麺の所々が白く、
そこから折ると、たまに黒い虫が出てきたりしました。
パスタの中に入ってるくらいなので、大きさはすごく小さく1ミリくらい。
ベトナムで売っているパスタは、だいたいイタリア産なのですが、
「こんなことってよくあることなんだろうか?」と言う疑問から
ネットで検索して調べてみたことがあります。

結論から言うと、
フランスやアメリカの法律では、
「食品の中に、虫や虫の卵などが含まれることは、
ある程度やむ得ない、
ただしその個数を法律の範囲におさめなさい」
となっています。

なおアメリカ当局は、
「このレベルは殺虫剤を多用すればもっと下げられるが、
無害な自然物の混入を殺虫剤の混入に置き換えることは賢明ではない」
とまでいっています。

と言うことで、
虫を徹底的に排除することで、
人体に悪害があるレベルの食品添加物を加えることの方が
危険な行為という認識のようです。

確かに、小さな虫が入っていても健康に害があることは少なく、
これを0にするために大量の殺虫剤を使って、
人間の健康を悪くすることはあまり良いこととは思えません。

日本の食の安全って?

こう考えると、
日本のスーパーに売っている野菜とかは、
あまりにも虫とか含まれていなさすぎることが気になります。
ベトナムで野菜とか買うと、かなり高い確率で虫が出てきます。
しかし、これは大量の農薬を使ってない証拠だとして
むしろ安心の基準になっていたりもします。
日本では、スーパーで買う野菜に虫がついてることはほとんどないですが、
・何か優れた野菜の育成方法によるものなのか、
・それとも、優れた野菜の流通方法によるものなのか、
そこはとても不安になります。
が、今回の本筋では無いので置いておきます。

何にしても、日本の食品衛生基準は
人体に安全であることよりも
食品に虫がついていないことにステータスを全振りしてる感じがします。

また、あまりに0リスク信仰が根付きすぎているとも。

日本での虫混入と、海外での虫混入

もちろん、海外でも虫の混入は褒められたことではありません。
私が住んでいるベトナムでも、
発生したら、販売した店に強くクレームを入れます。
ただ、基本的に商品交換してもらって
なんかサービスで付けてもらっておしまいというのが普通です。

ネットをみるかぎし、これは欧米でも、基本的に同じようです。

これに対して、
日本では数年前にペヤングの焼きそばにゴキブリが混入して、
全品回収、生産工程の改善のため長期間販売停止
という事件が発生しました。

日本では、虫の混入という事実は、消費者に激しく嫌悪感を与え、
消費意欲をそぐ重大な社会問題となります。
これは、私も同じ日本人としてある程度同意はできますが、
やはり世界的にみると
「やりすぎでは?」「虫なんて、たまん混入するでしょ?」
という認識が大多数だと思います。

以上を踏まえたマイプロテインの認識は・・・

マイプロテインの虫混入の説明はこちらでした

問題の製品が輸送中に発生した事故であると判断しました。

この意味を、海外的な認識で解釈してみます。
・そもそも、商品に虫や虫の卵が付着してしまうことは、
 食品法的にも問題ない
・輸送上での温度調節などがちゃんとしていれば、
 虫が繁殖したり、卵が孵化することはない
・今回は、輸送途上の温度や湿度の問題など悪運が重なり、
 虫が繁殖・卵が孵化してしまった
・このため、今回のような問題が発生してしまった
・生産ラインの問題ではない

という解釈なのではと思われます。

小包装の商品のどれを開いても虫がわいていても、
生産ラインの問題ではないというのは、
こういう解釈から来ていると思います。

さらに、基本的には問題のあった商品については返金するので、
「責任は十分果たしましたね」ということなのだと思います。

では、対応は十分だったのか?

結論から言えば不十分です。
それが良いのか、悪いのかはわかりませんが、
日本は虫の混入については、世界で最もナイーブな市場です。
日本人の国民感情からすると、到底上記の説明では納得できないし、
対応が甘すぎると感じるはずです。

マイプロテインは、
もっと日本人の気質を理解した上で、対応するべきだったし、
今からでも遅くありません。

日本という市場を失いたくないのであれば、
しっかりした状況説明、改善計画を表明すべきだと思います。

最終的に

私は、結構マイプロテインが好きです。
やはり、日本はプロテインの価格が高い。
この状況に風穴をあけ、
安い価格で安定した商品を届けてくれるマイプロテインは、
素晴らしいと感じています。

もし今回のことでマイプロテインが日本から撤退になれば、
日本人はまた高いプロテインを飲み続けないといけなくなります。
これは、日本のフィットネスの歴史を10年以上遅らせる
大きな退化となってしまうでしょう。

マイプロテイン側も、
説明するところはきちんと説明して、
改善するところはきちんと改善して、
是非前に進んでいって欲しいです。

なんだかんだで、とても応援していますので、頑張ってください。

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