見出し画像

海外在住の1人娘が母親に人生相談してみた

こんにちは!Kanaです。金曜の夜、皆様いかがお過ごしでしょうか。

先日、母とビデオ通話をする機会がありました。最後に会ったのは、私が日本に一時帰国していた去年の9月。それ以降ラインでよく連絡を取ってはいましたが、お互いの顔を見て話すのは10ヵ月ぶりです。

前もってメッセージで知らせてはいたものの、前回の記事に書いたような決意を直接伝えるのは今回が初めてでした。

一人娘の私が、どこの馬の骨とも分からない外国人とスペイン移住してしまったショックをようやく受け入れられた頃に、今度はその娘が1人で新しい生活を始めるらしいというのですから、母としては決して心中穏やかではないはずw どんな言葉をかけられるのかなぁと思っていたんです。

開口一番、母はこう切り出しました。

「あんたもねぇ、28なんだからそろそろ子どもを産むことも考えて…」

画像1

…子ども?

おいおい母さん、そりゃないよ。こちとら5年間付き合った彼氏と別れて新しい生活を始める所なんだよ。しばらくはシングルライフを謳歌するつもりだし、大好きな一人旅にもしょっちゅう行きたいし、そもそも20代で結婚・出産が普通なんて日本ならではの価値観であって、ここスペインでは30代での結婚出産がふつうで…

「はぁ、あんたね、いくら頭は外国だろうが身体は日本人なんだからね。若いうちに産んどくに越したことはないのよ。40代になると妊娠する可能性は0.2%に…」

参ったなと思いながら聞いていると、母はこう続けました。

絶対にいつか子どもは産みなさい。親になり子を育てるということは、他では学ぶことのできない深い人生の学びなんだから。親が子を想う気持ち・抱く愛情は、親にならないと絶対に分からない。子を育てることでしか学べないことが山のようにある。

私の人生、社会的にやり遂げたことは何もないけれど、親になりあんたを育て上げたことを誇りに思っているし、そこに私が生きた意味や幸せがあると思ってる。

仕事や趣味は歳を取ってもできるんだから。でも出産は若いうちでないと難しい。だからこそ、それをちゃんと理解した上でこれからの人生の決断をしていきなさい。

画像3

今まで私は、母のこれまでの人生は決して幸せなものとは言えないだろうと、子ながらに思っていました。

生まれ育った都会の生活・当時の女性としては珍しい大企業の研究職の仕事を捨てド田舎に嫁ぎ、村八分にされ、重度のうつに苦しみながらも専業主婦として私を育て上げた母。

常に味方よりも敵が多いような環境で、周囲の理解や助けを十分に得られず病に伏すことも多かった母。

自分が諦めた夢だからと「Kanaこそはちゃんと手に職を付け、自立した女性として生きていきなさい」と東京・海外へ私を送り出してくれた母。

そんな母を誰よりも近くで見てきたからこそ、そんな彼女の生きざまから出た言葉だからこそ、とても重く、心に深く染み入るものがありました。

彼女が人生で経験してきた様々な苦しみや悲しみ。それらをいくら積み上げてもかなわない程、親になり子を育てるという経験は人に幸せと深みをもたらすものなのか。

思えば、彼女がこれほどまでに人生の様々な苦境を乗り越えてきた強さも、“母親である”ことから来るものなのかもしれません。

私だって、いつか子どもを産みたいという気持ちは常にありました。でも今はそれよりも見たい景色があって、落ち着くのはまだ先でいいと思ってる。

でも今回母にそう言われたことで、親になるということに純粋な興味が湧いたんです。ほほう、そんなにすごいことなんだと。

だからといって私の人生計画を変更するわけじゃないし、いつか親になりたいからこそ今は自由でいたい気持ちは変わらない。

けれど。

私の人生の目標がまた1つ増えました。

「いつか親になって、両親の気持ちを理解すること」

そうすれば、きっと両親の愛や幸せも、もっと深く感じられると思うから。私を通して彼らが見た景色を、私もわが子を通して見てみたいから。

そうしみじみと思っていた翌日、母からメッセージが届きました。

画像2

(涙)

私、日本にはまだ絶対に帰りたくないと思っていたんです。それは日本社会に馴染む自信がないからというのもありましたが、それ以前に「だって帰る家がないし」とずっと思い続けてきたからです。

今の母が置かれている状況も決して平和なものではなく、闘病生活も続けている。ただえさえ遠く離れて心配をかけているのだから、絶対に迷惑はかけられない。そう思っていました。

でも母がこう言ってくれたことで、心の奥の何かが、あたたかく溶けていく感覚がありました。そうか、何かあったら母の所に帰ればいいんだ。帰ってもいいんだ。その時は2人で力を合わせ生きていけばいいんだ。

そう思えると、不思議と力が湧いてきたんです。人は帰る場所があると思えるからこそ、高く遠くまで飛んでいこうという勇気がでるんだなと改めて実感しました。

ああ、母の何と偉大なことでしょう。その懐と愛のなんと深いこと。

そんな母の愛を受け取れること・言葉が交わせること・声が聴けること・元気で生きていること…全てが当たり前なんかじゃない。

そう思うと私たち、毎日ものすごい奇跡の連続の中を生きているんですね。

それでは皆さま。どうか、ご家族や大切な人たちと良い週末をお過ごしくださいね。Kanaでした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?