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『きっと、これから友達になる女の子』

【声劇台本】
比率:♂1:♀1 
所要時間:30分


【まえおき】
 この作品は企画参加作品です。
 なので、企画者様、および他の参加者様に、
 ご迷惑がかからないようにご利用いただければ幸いです。
 演者様の性別不問です。
 配信なども自由です。


【企画概要】
タイトル『きっと、これから友達になる女の子』
(タイトルはアレンジ可)

高校最後の夏休み
卒業後、僕は東京へ行く。
彼女の幸せを考えるなら。
思いを告げたあの場所で、言うんだ。

同じ書き出しから始まる台本を色々なライター様が書き、
楽しむ企画です。



 高校最後の夏休み。
 卒業後、僕は東京へ行く。
 彼女の幸せを考えるなら。
 思いを告げたあの場所で、言うんだ。
 
 
彼女:「えっと……この手紙くれたのは、君……?」
 
僕:「はっ、……はいっ!」
 
彼女:「そっか……それで、私に話って……?」
 
僕:「あの……、そのっ――!!」
 
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

 カシャリというシャッター音。
 流れる時間を指先一つで切り抜く。
 機をうかがうために止めていた呼気を吐き、呼吸が再開される。
 手の中に残った時間の欠片は、決して動き出すことはないけれど、埋没するはずだった一瞬を閉じ込めている。
 その瞬きするほどの一瞬の輝きを上手につかめたと感じられた時が何よりも楽しい。
 
僕:「……よしっ!」
 
彼女:「……よしっ!――っじゃないわよ!!」
 
僕:「うわっ!?ちょっ!?水は……」
 
彼女:「文句言える立場じゃないでしょ!?盗撮してるんだからっ!!」
 
僕:「とっ、盗撮!?ち、ちがっ!これは写真部の活動で……」
 
彼女:「はぁぁ?写真部ぅ!?そんな言い訳が通用すると思ってんの!?」
 
僕:「おわっ!だから!水はやめろって!!このカメラ高いんだから……」
 
彼女:「しっらないわよっ!部活動だって言うなら、なんでそんな風にコソコソそんなとこから撮ってんのよ!?」
 
僕:「そ、それはっ……その……」
 
彼女:「ほぉら、口ごもった!……ちゃんと許可、とってるの??」
 
僕:「きょ、許可は……」
 
彼女:「とったの?許可??」
 
僕:「とって…………ません」
 
 勝ち誇った水着姿の彼女の笑顔。
 彼女との出会いは最悪だった。
 
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

彼女:先輩っ!わたしと付き合ってくださいっ!!
 
僕:っ…………ん。わかった。
 
彼女:えっ!?
 
僕:ふ……なんだよ。自分から言っといて。
 
彼女:そ、それはそうなんだけど……オッケーしてもらえると思ってなかったから。
 
僕:……そっか。
 
 噴水の水しぶきが、沈みゆく太陽の光をキラキラ輝かせる春の夕暮れ時を背景に、彼女ははにかみながら、笑んだ。
 
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

彼女:「ねぇ、ちょっと見ていこぉよ……。」
 
 簡素な飾りつけだけがされた教室の中。
一人机に突っ伏すようにして、外から耳に飛び込んでくる騒音を聞くでもなく聞いていた。
焼きそば、たこ焼き、お化け屋敷に喫茶店、有り体だが文化祭の題目として相応しい出店の呼子の声。
大人と子供の境目の年頃特有のはじけるようなはしゃぐ声。
本来ならその様子をファインダーに収めたほうが余程有意義じゃないかと思いつつも、展示の受付をし続ける。
 
彼女:「あのぉ、ここって勝手に見て回っていいんですか・・・・・・?」
 
僕:「あ、はい。どうぞ。」
 
彼女:「へぇ……うちの学校、写真部なんてあったんだ……」
 
 そうつぶやいて、友達二人とパネルに貼り付けられた写真を見て回る彼女は、僕のことを覚えていなかった。
 
彼女:「え?もう行くの??もうちょっとだけ!!ほらっ、こうゆうの観る機会ってあんまりないじゃん。」
 
僕:「あ、一応部員ごとにテーマを決めて展示してあるので……。」
 
彼女:「へぇぇ。テーマ「学校生活」、「花」、「風景」……。」
   「写真って撮る人によって大分雰囲気変わるんだぁ……。」
   「自撮りとか、料理とかしか撮らないからなぁ……」
   「あ!私これ好き!!……えとえっと……テーマ「輝き」……。」
 
僕:「あ、ありがとうございます……」
 
彼女:「え?これ君が撮ったの?」
 
僕:「えっと……まぁ……」
 
彼女:「すごいすごい!!なんか今にも動き出しそう!!」
 
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

僕:え……?入部希望??
 
彼女:はいっ!!先輩の写真見て、わたしもやりたいって思って!!
 
僕:そ、そう……。でも、みんな幽霊部員で、活動って活動は全然してないけど……。
 
彼女:それでもいいですっ!!
 
僕:それならいいけど……。
 
彼女:あのっ!先輩って、プロ目指してるんですよね!?
 
僕:いや、そんな大層なもんじゃ……、ただ、プロのとこでアシスタントさせてもらってるだけで……。
 
彼女:それでもすごいですっ!私先輩の写真見て、それで写真ってすごいなぁって思って!!
 
僕:……そっか。ありがとう。えっと、名前は……?
 
彼女:あ!わたしーーーー
 
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

僕:「――写真のモデルになっていただけませんかっ!?」
 
彼女:「……は?」
 
僕:「あ、いやっ、その……」
 
彼女:「っぷ!……ははっ!何それ!?」
 
 意を決して吐き出した言葉に、彼女は吹き出した。
 僕が戸惑い、二の句が継げずにいることなど気にせず、ひたすら笑っている。
 
彼女:「なぁんだ……そんなこと?わざわざ手紙で呼び出しっていうから、わたし、てっきり――」
 
僕:「あ、えっと!!そのっ!!!実は先生に風景とかばっかりじゃなくて、人物を撮ってこいって、言われて……」
 
彼女:「先生??」
 
僕:「せ、先生っていうのは、学校の、部活の先生ってことじゃなくてっ!」
「僕、プロの写真家のアシスタントというか、弟子というか……そんな感じで……だからっ!!」
 
彼女:「ふーん」
 
 怒られるかもとは思っていたけれど、まさか笑われるなんて到底考えていなくて。
 だから、頭の中がぐちゃぐちゃになって、しどろもどろにかみ合っていないことを言った。
 でも、彼女の反応は当たり前と言えば当たり前だった。
 誰だって、突然靴箱に『話があります。今日の放課後、噴水のある公園で。』なんて手紙を受け取ったら、
 告白だと思うのは自然なことだろう。
 
彼女:「モデルってことだよね?写真……写真のモデルかぁ……」
 
僕:「も、もちろん、やらしいやつとかではないんで!!」
 
彼女:「あー、そりゃもちろん、脱げって言われたら即お断りなんだけどさー。」
「そういうことじゃなくて……なんで、わたし?っていうか……根本的なことなんだけどさー……。」
 
僕:「はい、なんでしょう?」
 
彼女:「えっと……あのさ、そのぉ……君……誰っ??」
 
 彼女は、やっぱり僕のことなど、これっぽっちも覚えていなかった。
 
僕:「え?いや、前に、写真撮るなら、ちゃんと許可とれって……。」
 
彼女:「えぇ?そんなこと言ったかなぁ……?」
   「あー、でも、そうじゃなくってさ……わたしが写真のこと知らないからかもしれないけど……。」
   「……なんか、知らない人に撮られるのって嫌だなぁって……。」
 
僕:「いやっ!別にモデルって言っても特段何かしてくれってわけじゃなくて!!」
  「自然にしててくれれば……。」
 
彼女:「あー、それが難しいんだよね……。」
   「なんか写真撮られるって分かってて、普通になんてしてられないってゆーか……。」
 
僕:「それならっーー!」
 
彼女:「だからって、プライベートで過ごしてる時に近くでカメラ構えられてるってのも、ちょっと……。」
 
僕:「…………。」
 
彼女:「……じゃぁさ、こうしよ?そのさ、まずは友達から始めるみたいな??」
 
 彼女は気づいてるのか、いないのか、告白を断る常套句を口にした。
 
彼女:「あ、ごっめん。今日妹と買い物行く約束してたんだ!」
 
 逃げるみたいに、慌てた口調で彼女はそう言った。
 公園の入り口のほうで中学生くらいの女の子が、制服姿で彼女を呼んでいる。
 
彼女:「とりあえずさ!また改めて学校で声かけて。」
 
僕:「…………わかった。」
 
 僕の返事を聞くことなく、彼女は踵を返した。
 後から思えば、きっとあれは紛うことなく告白だったのだと思う。
 ファインダー越しにしか何も見ていなかった僕にとっては、あれは間違いなく恋と呼べるものだったんじゃないかと思う。
 けれどーーーーそれが、僕が彼女の姿を見た最後だった。
 
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

高校最後の夏休み。
卒業後、僕は東京へ行く。
彼女の幸せを考えるなら。
思いを告げたあの場所で、言うんだ。
 
彼女:先輩……?どうしたんですか、改まって……??
 
僕:……話があるんだ。
 
彼女:お話?え……なんだろ?
 
 噴水のある学校からほど近い公園。
 放課後のこの時間は、小さな子供も学生も、園内に複数見られる。
 けれど、広い公園の中では、僕たち二人が取り分け目立つこともない。
 漫画に出てきそうな今のシチュエーションに、興味津々に見てくるような人もいない。
 
彼女:その顔は……あんまり良い話じゃなさそうですね。
 
 呼び出して、話しがあると言ったきり、一向に口を開かない僕を見かねて、彼女は苦笑する。
 
彼女:大丈夫です。逃げたりしません。
 
僕:……ごめん。
 
彼女:謝らないでください。逃げはしないけど、泣くのは我慢できないかもしれませんから。
 
僕:……わかった。あのさ……。
 
彼女:……はい。
 
僕:卒業したら、東京に行くことが決まったんだ。
 
彼女:進学……、じゃないですね。先生のとこに行くんですか?
 
僕:……あぁ。
 
彼女:…………。
 
 僕は進路のことを彼女に伝えていなかった。付き合っているというのに。
 でも、僕がプロの写真家のアシスタントをしていることは彼女も知っていることだから、先生が昨年末に東京に本拠地を移した時点でこうなることは、薄々気づいていたのだろう。
 だから、話がそれで終わりではないことを察して、僕の言葉を待っていた。
 
僕:それで、その……。
 
彼女:……はい。
 
僕:……別れて欲しい。
 
彼女:…………。
 
 彼女の顔が一瞬だけ、引き攣るように歪む。
 でも、それは一瞬だけで、涙を流すまでには至らなかった。
 彼女と付き合いだして半年。
 彼女と過ごす時間に不満を抱いたことはなかった。
 デートと言えば、どこかに写真を撮りにいくついでばっかりで、会話も写真やカメラのことばっかりで。
 本当だったら、フラれるのは僕のほうなのが自然なんじゃないかと思う。
 けれど、彼女は一つも嫌な顔をせず、文句を言うこともなく、一緒にいてくれた。
 最高の彼女だと思う。
 でも、僕はーーーーーこのまま彼女と居続けることは出来なかった。
 
彼女:……それは、東京に行くからですか?
 
僕:あぁ。
 
彼女:……ホントに??
 
僕:え……?あ、君のことが嫌いになったとかそういうことじゃなーー。
 
彼女:他にも理由あるんじゃないですか?
 
僕:……っ。
 
彼女:だって、まだ夏ですよ?
   先輩が卒業するまで、半年以上ある。
 
僕:……そうだね。
 
彼女:はは、なんかフラれてるのに、往生際悪いですね、わたし。
 
僕:そんなことっーー!!
 
彼女:本当は他に理由があるんじゃないんですか?
 
僕:っ!?
 
彼女:夏だからこその理由が……。
 
僕:……知ってたの?
 
彼女:……はい。
   でも、ちゃんと言ってください。先輩の口から。
   そのくらい、わがまま言っても、いいですよね?
 
僕:……そう、だね……。
 
 僕は、三年前に二度と会えなくなってしまった「彼女」と、目の前にいる彼女を重ねていた。
 朗らかな口調や積極的で明け透けな性格だけでなく、見た目も彼女は「彼女」によく似ていた。
 当たり前のことだった。
 だって、彼女は「彼女」の妹なのだから……。
 
僕:夏が近付くにつれーーいや、君のお姉さんの命日が近付くにつれ、罪悪感というか、不安が増していった。
  友達ですらなかった僕は、お姉さんの葬式にも参列出来なかった。
  けれど、これからもし君の家に行くことになって、「彼女」の遺影を前にしたら?
  命日のその日、君になんて言葉をかけたらいいか?
  もし君にお姉さんを知っていることがバレて責められたら?
  って……。
  そんなことばかり考えるようになってしまって……。
 
彼女:東京に行くことは、元々決まっていたんですか?
 
僕:うん。先生に付いて上京する条件が、高校をきちんと卒業することだったから。
 
彼女:それなら……良かった。
 
僕:え?
 
彼女:わたしやお姉ちゃんから逃げるためじゃなくって。
 
僕:そんなことはしなっーーー
 
彼女:良かった。わたしのこともちゃんと考えていてくれて。
 
僕:っ……。
 
 彼女はそう言って、ここで彼女から告白してきてくれたその時と同じように笑んだ。
 夕陽に照らされる笑顔のあの時との違いは、目尻に浮かぶ涙の粒だけだった。
 
僕:その……ごめん。
 
彼女:謝らないでください!
先輩は、わたしのこと、少しも好きじゃなかったんですか?
 
僕:違うっ!好きだよ!今だって!!
  嫌いになったわけでも、君への気持ちが無かったわけでもない!
  ただ、本当にそれが君に対してだけの気持ちなのか、判らなくなってしまったんだ……。
  妹だから付き合ったわけじゃないって、君のことを想う気持ちは代わりなんかじゃないって……。
  でも、だったらなんで、お姉さんを知っていることを言わないでいるんだろうって。
  後ろめたい気持ちがあるからじゃないかって……。
 
彼女:先輩……。
わたしも……わたしも同じです。
 
僕:……え?
 
彼女:はじめから、全部、知ってましたから……。
 
僕:はじめから……?
 
彼女:えぇ。
   実は、あの日、この公園にわたしいたんです。
   先輩たちが来る前から。
   早めに学校終わったんで、お姉ちゃんの学校の近くで待ってようかなって……。
   そしたら、先輩とお姉ちゃんが来て、なんかいい感じの雰囲気だったので、隠れてこっそり見てたんです。
 
僕:そ、そうなの……?
 
彼女:はい。
   でも、そしたらなんか告白とはちょっと違う展開だったんで……。
   なんか、気まずくなっちゃって、来たばっかりのフリして声かけたんです。
 
僕:……そ、そっか。
じゃぁ、本当に全部知ってたのか……。
 
彼女:本当は……告白する時に言おうと思ってたんです。
   だから、この公園を選んだんですけど……。
   わたしも、不安だったから、言えなかった。
   先輩がお姉ちゃんのこと覚えてたらどうしようって。
   なんで早く言わなかったんだって、責められたらって。
 
僕:……同じ気持ちだったんだ。
 
彼女:なので、謝らなくちゃいけないのはわたしのほうなんです。
   先輩は、わたしの名前を聞いてからですよね?わたしが妹だって気づいたの。
   でも、わたしは、入部する前から、知ってましたから……。
   まぁ、まさか、わたしが憧れていた人が、2年留年してまだ写真部にいるとは思ってませんでしたけど……。
   あ、留年っていうと語弊があるか……留学?休学??
 
僕:あぁ、先生にくっついて、留学って名目でイギリスに行ってた。
  でも、先生が本当にこのまま自分の元で働き続けるなら、高校くらいちゃんと卒業しろって言うから。
  僕は辞めたつもりでいたけど、親が休学届出してて。
休学理由も悪いものでもなかったから、転入してきたみたいにすんなり復学出来た。
 
彼女:……やっぱり、その留学もお姉ちゃんのことがあったから?
 
僕:まったく無いとは言えないかな……。
  それまでは、本気で写真で食べていこうなんで思っていなかったし。
 
彼女:どうしてそこまで……?
 
僕:人物をファインダーに収めようって思ったのは彼女が初めてだったんだ。
  それに、写真のこと全然知らない人に、「動き出しそう」って、「好き」だって言ってもらえたことも……。
  僕が目指していたものが伝わったんだって思って、すごく……すごく、うれしかったんだ……。
 
彼女:……ずるいなぁ、お姉ちゃん。
   わたしだって、先輩の写真凄く好きなのに……。
   先輩にモデルになってくれって言われたら、すぐOKするのに……。
   それなのに先輩の中にはまだお姉ちゃんの姿と言葉が残ってて……。
   未だに人物を被写体にすることも無くて……。
 
僕:その……ごめん。
 
彼女:あーあー、この際だからバラしちゃいますけど!
   お姉ちゃん、先輩に対してあんなこと言ってましたけど、あの後先輩の写真ネットで見つけて、褒めてたんですよ。
   モデルのことも満更でもないみたいに、わたしに自慢してきて。
   わたしもその時初めて先輩の写真見て、すごいって感動したんです。
 
僕:そ、そうだったんだ……。
 
彼女:…………ふぅ、やっぱり今は難しいみたいですね。
   結構、粘ってみたんですけど??
   破局の撤回は、ありませんか???
 
僕:……うん。ごめっ――
 
彼女:謝るのは無しです!!
   流石に……そろそろ泣いちゃいますよ?
 
僕:……本当に、僕は酷いやつだね。
  でも……今は……無理なんだ。
  このまま甘えてしてしまったら、僕はまた逃げるだけになってしまうと思う。
  きっと、ずっと、人物を被写体にすることはできないと思う。
  だから、時間が欲しいんだ。
  今度は、逃げるためじゃなくて、向き合うための時間が……。
 
彼女:だから、夏休みだったんですね。
 
僕:……あぁ。
 
彼女:……わかりましたっ!
   さっきも言いましたけど……隠していたのは、わたしも一緒です。
   わたしもちゃんと向き合います。
   でも、別れたからって……避けたりとかはやめて……ください。
   彼氏としてだけじゃなくて、先輩の写真本当に好きなんです。
   ずっとずっと憧れてたんです。
   カメラのことも、写真のことも、教えて欲しいことはいっぱいまだまだいっぱいあるんです。
 
僕:うん……わかった。
  本当に……ありがとう。
 
 不甲斐ない僕は、どこまでも言葉足らずで。
 それでも彼女は、僕の礼の言葉に満足げにうなづいて。
 堪え切れずにあふれ出した涙を拭いーーー。
 
彼女:それじゃぁ、まずは○○○○……。
 
 


 
Fin

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