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habanero voice #66

あけましておめでとうございます。
2021年・丑年は大変な幕開けとなりましたが、
ワタクシついに”干支5周り目”に突入いたします。歳男です。
10年前は「人生、往路から復路にさしかかったなー。
ゴールまでぶっちぎってやる!」などと息まいておりましたが、
さすがに”還暦”の二文字がちらつき始めると、
「こんなご時世だし〜何気なく穏やかに通り過ぎて欲しいなー」
などと思う今日この頃。
年明け早々素晴らしい一冊に出会いました。
「プロデュースの基本/木崎賢治(集英社インターナショナル)」
昨年暮れに上梓されたこの本は、
音楽プロデューサーとして現在も大活躍中の木崎さんが、
ご自身の音楽制作現場での経験談を元に、
あらゆる視点から”モノを作る”ための心構え等、
大切になさってきたことを惜しげもなく伝授してくださっている一冊です。
帯の糸井重里さんの推薦文にもある通り、
すべてのモノ作りに関わるお仕事をされている方々にオススメしたい名著です。
僕も木崎さんとはたくさんお仕事させていただきました。
巻末の作品年譜によると、
1986年に(吉川)晃司くん、安藤(秀樹)くん等のレコーディングに呼んでいただいたのが
最初の出会いだったようですので、
僕がバンド解散後、スタジオミュージシャンを始めて間もない頃には、
すでに声をかけていただいていたんですねーうれしい限りです。
何しろポッと出の若造でも”名プロデューサー木崎賢治”の名前ぐらいは存じ上げてましたので、
ワクワクしながらスタジオに出かけていったことが思い出されます。
槇原(敬之)くんのレコーディングで、三人であれこれアイデアを出し合いながら、
和気あいあいと作業したことも忘れられない思い出ですが、
何より忘れられないのが、晃司くんの大ヒット曲「すべてはこの夜に」のレコーディングです。
ある朝早くに電話が鳴り、こんな時間に誰だろう?と出てみると、
インペグ屋さん(ミュージシャンのコーディネートをするお仕事)からで、
『サハシくん?申し訳ないんだけど、今すぐ六本木の○○○○スタジオまで来られないかな?木崎さんプロデュースの締め切り間際のシングル曲のギターダビングなんだけど、ちょっとトラブっちゃって』とのこと。大急ぎで当時のアシスタントに機材を用意させてスタジオに向かい、とりあえずトラックを聴かせてもらったら、すでに完成したとしか思えない素晴らしいオケで『すいません。このオケに何をダビングすればよいのでしょうか?』と尋ねたら、『サハシくんの言う通り、これは数日前にすでに完成したオケなんです。ギターは布袋(寅泰)くんです。ところがレコーディング直前の野外ライブか何かで、彼の機材が水浸しになってしまい、いつもの音色にならずプレイもしずらかったようで不本意そうに帰っていったので、思い切ってサハシくんに違うアプローチをしてもらおうと思って。しかも急いで完成させて納品しないと間に合わないので…無理言っちゃってゴメンね』とのことでした。こういう切羽詰まった時って”火事場の馬鹿力”出ちゃうんですよねー(^^)たしか30分ぐらいでオッケーが出て、午前中のうちにスタジオを後にしてました。
このエピソードからわかる木崎さんの凄いところは、イメージ通りの作品にするためにはギリギリまで粘る。リスペクトしているプレイヤーが不本意だと感じている演奏を世に出さない。無名の若手(僕ですね)でも自分のリクエストに応えてくれると信じて打席に立たせてくれる…という決断力と判断力でしょうか。先ほどの”還暦”の話に戻りますが(笑)あらためて木崎さんの作品年譜を見てみると、ちょうど今の僕の年齢の時・50代から60代への境い目の頃に、BUMP OF CHICKENでヒット曲を連発しているんですよねー。木崎さん・心から尊敬してます!最後にがっぷり四つに組んでお仕事させていただいたのが10数年前、”airdrop”という二人組の編曲&演奏を担当させて以来なので久々にお会いしたいです。

というわけで最後に告知を!
明日10日の「ケンタ&サハシの・オタクの御託承ります/総集編」
https://eplus.jp/sf/detail/3365150001 は、
政府の自粛要請に伴うガイドラインに従い、18:30~20:00の配信となります。
しかも内容がディープ過ぎるので(笑)今回を前編として、
Vol.1から3(根岸孝旨・三沢またろう・山本拓夫)の総集編をお届けして、
近日中にあらためてVol.4から5(難波弘之・高田漣)のを後編として配信することになりました。
どちらも”アーカイブあり”ですので、お時間のある時にごゆるりとお楽しみくださいませ!

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