「あの健康食品は、本当に”健康”にしてくれるのか?」
人口減少、高齢化社会が更に進んでいく現代。コロナ禍も相まって、”健康” はこれまで以上に大切なものになることは間違いない。
健康にまつわることは食だけでなく、運動、メンタル、経営など、様々な場面で目にするようになりましたよね。とは言えやはり、 ”健康” と強いつながりがあるものは『食』と考える方も多いと思います。
その『食』の中でも、「これを食べると健康になるかもしれない」と言う食品、 “健康食品” が多く売られています。一般的な健康食品は、科学的な健康効果が期待できるものだとイメージされると思います。では実際に、健康食食品が私たちの ”健康” にどれだけ貢献しているのか?を考えてみたいと思います。
私たちが思う”健康食品”
健康食品をイメージと、実際に食べる私たちにとっては
「食べるとこんな健康効果ができるんでしょ!?」
とイメージされますよね?食べる側から見れば、その食品に効果効能の「期待」が持てれば ”健康食品” になるわけです。持てない食品であれば、それは違った意味を持ち合わせている食品になります。
効果効能に期待を持つようになるには
・食品に効果効能が『書いてある』こと
・世間的に効果効能があると『言われている』こと
の2つが合わさることが必要だと考えられます。「○○含有」「○○を減らす」と書いてあれば「そうなんだ!」となりますし、本やSNSで「○○には△△のメカニズムがある」と言われていれば、それが含まれる食品にも効果があるのでは?と思いますよね。
ひと昔前にもこんなニュースがあり、スーパーでは品薄になることもありましたね💡
売る側は健康効果を謳(うた)えない
一方で、作る側から見れば ”健康食品” とはどのようなものになってくるのか?
しっかりとした証拠があれば「これは○○に効きますよ!」と伝えた方が、購入にもつながりやすくて良いですが、そうはいきません。と言うのも、基本的に食品は体への効果効能を謳う(表記すること・思わせる)はできないためです。できるのは一部の食品のみで、概ね多くの食品で効果効能を謳うことは法律的にアウトです。
効果効能を謳ってはいけない理由は
健康効果が必ずしもないにもかかわらず
①効果があると期待した方が適切な診察を受けられない
②診察機会を逃し、健康に重大な影響を及ぼしかねない
ためです。あくまでも健康を維持・予防していくための『食』であり、早急に病気を治す、又は自然治癒が困難な場合は病院で診てもらう方が総合的に見れば健康に良いと考えることができます。
効果を謳える=公的な ”健康食品”
このような縛りがある中、ご存知の方も多いかと思いますが一部の食品に効果効能が謳えるものがあります。公的にはそれらを「保健機能食品」と呼びます。他の制度により区分される食品と合わせてざっくりと分け、特徴も簡単にまとめてみました。
保健機能食品に属する栄養機能食品・機能性表示食品・特定保健用食品(トクホ)のみ、効果効能を謳えるようになります。それ以外の食品は効果効能を謳うことはできません。
この写真はビタミンCの栄養機能食品になります。
だいぶ小さな文字ですが、一番最初に「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。」という効果効能が記されています。栄養機能食品ではこのような表記が可能になり、その他の要件(摂取目安量や食事のバランスなど)が整えればその食品の恩恵を受けられるかもしれません。
効果効能が ”ありそうな” 食品
しかし、保健機能食品に属さない食品の中でも実際に私たちが「健康効果があるのでは?」と匂わせる食品があります。それが
・いわゆる健康食品
・『栄養強調表示』がされた食品
です。これらは保健機能食品に属さないため効果効能を謳えませんが、見方によっては ”健康食品” のようになり得るものになります。
いわゆる健康食品については定義がありませんが、私なりにこれだと思うのが、パッケージ等に『健康に良いとされる成分が含まれている』食品がいわゆる健康食品の1つかと思います。その例がこのようなものです。
とある食品のパッケージですが、抗酸化作用の期待が高い成分でもあるポリフェノールが表面に大きく記されています。栄養成分表示にもそれがどれくらい含まれるか表記がされています。しかし、先ほどのビタミンCのように、ポリフェノールによる効果効能については記されていません。
「○○が含まれいるから、効果効能はあるかもよ?」と、私たちがその判断を委ねられているようなものです。
もう1つの『栄養強調表示』がされた食品は、栄養機能食品とかなり似たものなりますが効果効能は謳えません。しかし、比較的 “多い・少ない” かだけは表記できる仕組みになります。例がこのような感じです。
このように、ある栄養素の『量的な違い』を表記しているだけなので、先ほどと同様に効果効能があるかどうかについては私たちのイメージやシーンにお任せ、と言うことになるのです。
「たんぱく質が多く含まれているなら、筋肉がつくかも!?」と思えば、その方にとってはこの食品も ”健康食品” として仲間入りする訳です。
過程・一端にしか過ぎない
このような健康食品を取ればその効果を得られるかもしれません。最初にも申しあげましたが、健康食品は私たちが望む ”健康” にどれだけ貢献してくれるのでしょうか?
健康食品の多くは見えない(代謝の)変化はある程度期待できるものの、見える(表面的な)変化を出すには難しいものです。
健康食品
⇩
見えない変化(消化吸収など):△~○
⇩
見える変化(体重など):✖~△
それは、食品そのものが持つ栄養素の力が ”微力” であるためです。継続的・習慣的な摂取することでようやく、見える変化が出てきます。良くも悪くも、塵も積もれば ”体” となるということです。
また、うまいこといって見える変化を出せたとしても、健康食品を含む『栄養』の影響力は ”栄養面” しか補完してくれません。健康食品の力を最大急に駆使したとしても、フルマラソンが2時間何分で走れるようになったりするでしょうか?
本当に求めている ”健康” とは?
私の考えではありますが、”健康” は以下の4つの要素から成り立つと考えています。
・栄養
・体力
・心
・環境
これらはそれぞれが相互関係を結び合いながらも、一つ一つがしっかりと独立して維持されていることが大切です。
栄養が充実すれば、体力・心にもプラスに影響したりします。
しかし、それだけで充実させることは難しいでしょう。栄養の力だけで一生キビキビと動ける体力を維持できるでしょうか?栄養の力だけ日常のストレスを拭い切れるでしょうか?
健康に必要な要素を充実させて ”本当の健康” を自分のものにするために。そのためには、ある健康食品・栄養に固執し過ぎないことも大切です。
・基本的な栄養・食の知識を学ぶ
・運動をすること
・社会を見つめ直すこと
・休みを取る事
・人と交流すること …
当たり前のように知っていて、やり切れない健康作り。効果がありそうな健康食品に走りがちになりますが、他にやるべきことが無いか大きく見渡してみましょう。目を背けていては、将来の自分・社会に恨まれてしまいます。
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