サガン鳥栖U15 対 アビスパ福岡U15(高円宮杯 九州リーグ)

高円宮杯 JFA U-15サッカーリーグ 2022 九州 第4節
サガン鳥栖 対 アビスパ福岡
の観戦記です。

くしくも金曜日に引き続いて同じく九州クラシコとなったこの試合。
サガン鳥栖のホームであるサンライズパークで行われました。
本当に天気が良くて、レジェンドフラッグも青空の中、気持ちよさそうにたなびいています。
あまりにたなびきすぎて、テープがはがれたので、ハーフタイムに修正作業のお手伝いを。シュート練習をしていたリザーブメンバーのボールが転がってきたので、蹴って返したのですが、それだけでも気持ちよく、青空の中で芝生の上でのフットボールって、本当に良いもんですね。

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さて、試合は、互いに中盤で激しくつぶしあう、とても中学生年代とは思えないくらいのインテンシティの高さで、非常に見ごたえのある戦い。

アビスパで目立ったのはディフェンス陣。
組織とか技術とかというよりは、槙野と菊池がいるかのように、プレーのたびに吠えまくってて元気良いことこの上なし(笑)

むしろ、中学野球でも見ているのではないかというくらい、常に声がでて、
「セカンド!」
ってよく聞こえてたのですが、セカンドボールというか、セカンドフライみたいな掛け声でした(笑)

ただ、相手に対する威嚇的な声も多々あり、ちょっと元気が良すぎたかな。前半、わりと早い時間帯に、後ろからのチャージがファウルになって、東口藍太郎くんにイエローカードが提示されたのですが、その時も福岡のディフェンス陣はウエーイって吠えるし、福岡のフォワードがオフサイドとられたときに(ライン見えないはずなのに)「ないよ!ないよ!ないよ!」とディフェンス陣が副審にクレームをつけたりと。さすがにこれは主審が諫めにいきました。

すると、サポ仲間が双眼鏡で福岡ベンチを覗くと
「宮本亨じゃん!」
の声。
なるほど、宮本さんがU15の監督になられていたんですね。それは、ホント、元気の良いチームになりそうな気がします。デビュー戦でストイコビッチにチンチンにされたのをまさにスタジアムで目の前で見ていましたが、懐かしいものです(笑)

そんな元気なアビスパ福岡に対して、サガン鳥栖のメンバーはいたってクール。ピッチ内から「落ち着こう」「やることやろう」という声が聞こえてきて、王者の風格というか、横綱の貫録というか、必要以上に熱くなりすぎず、挑発も冷静に受け流して、ただ勝つことだけに集中して目の前のフットボールに取り組んでいました。

こんな感じで、どちらのチームも、気持ちの表現方法は異なりましたが、試合に対して真摯に向きあい、勝ちたいという情熱を見せてくれていたので非常におもしろい戦いでした。

試合は福岡が先制。

サガン鳥栖のディフェンスラインからのパスがミスとなって福岡がショートカウンター。ボールを奪うと同時に、左サイドを駆け上がった選手にパスがわたり、中央からややファーサイドに向けて鋭いクロス。ヘディングで豪快にサガン鳥栖のゴールネットに突き刺しました。

ゴールが決まった瞬間に、福岡ベンチ前に、選手はおろか、リザーブの選手たちやスタッフも集まって、熱い歓喜の輪が。胴上げでも始まるのではないかというくらいの喜びの渦で(笑)

ゴールは悔しかったのですが、U15年代が、むしろトップ以上と言ってもいいくらいに、こういった熱い気持ちでこの九州クラシコに立ち向かってくれているというのはうれしいものです。相手にとって不足なし!!

その歓喜の姿を見て黙っていなかったのはサガン鳥栖U-15。失点から3分もたたないうちに、同点に追いつきます。

ロングスローをいったんはじかれたものの、ゴール前にクロスのようなシュートのようなボールがファーサイドのキーパーの届かないところにあがり、鳥栖のフォワードと福岡ディフェンダーが競り合いましたが、ボールはゴールの中へ。最後はクリアが枠外に至るに及ばず、オウンゴールのように見えましたが、サガン鳥栖のホームページ上での記録は主計虎太郎くんのゴールでした。(プリンスリーグのホームページではオウンゴールの記録)

そして、ゴールが決まったと同時に、喜びの雄たけびとともに、逆転ゴールを急ごうと、ボールを拾ってセンターサークルに素早く戻る若きサガン戦士たち。見ていて非常に頼もしいものです。

前半はイーブンのまま、後半へ。後半も一進一退の好ゲーム。

アビスパ福岡U-15は、選手個々の体格の良さもあってフィジカル面で優勢に立ち、インテンシティも高くて、メンタルも強いという、サッカーの大事な部分を持ち合わせているチームでした。戦術的にもこの時期の割には統率されており、走ることもいとわず、ディフェンスラインと2列目の距離感を保ったまま、スペースをしっかりと圧縮して、鳥栖の攻撃をしっかりと受けきっていました。

ただ、個人の技術的なところはまだ未成熟なところがあり、狙ったところにパスが出せなかったり、トラップミスでボールロストしたり、大事な場面でチャンスを逸したり、ピンチになったりすることも多く、そのあたりの技術面が追いつくことができたら、非常に怖い存在になりそうだと思いました。

サガン鳥栖も体格では劣るものの、体幹の強さではまったく引けをとらず、トメルケルの精度の高さは言わずもがな、巧みなボールコントロールによって、ドリブルによるはがしや、グループでのラインブレイク(ワンツーなどを駆使した突破)を何度も見せてくれました。
ただ、プレッシング回避であったり、裏のスペースを狙って一発でひっくり返そうとするロングボールは、アビスパの屈強なディフェンスの前に思うような展開が作れず、プレスをはがせずに圧力を受けきってしまった場合は、ロングボールで打開しようとしても跳ね返されて、攻撃がそこで終わってしまう確率が高く、ポゼションを継続しての波状攻撃という形まではなかなか作れませんでした。

鳥栖は、まだ、組織をいろいろと試している状況で、開幕戦はアンカーを立てて、スピードのある山村君(チーディ君)や東口君がワイドの高い位置からの突破で得点を量産しましたが、今節はフラットな中盤を採用して、山村君はやや低い位置から攻撃を組み立てて飛び出していく形を模索。守備時のプレッシングもアビスパのビルドアップに対してはめ込む形をなかなか作れずという感じで、チーム発足して間もないため、まだまだここからというところです。

ただ、古賀君のカバーリングエリアの広い対応、原口君のインテリジェンスなビルドアップと守備コントロール、下田君のスピードあふれる飛び出し、そして、当然のことながらヤマ(山口君)の屈強なディフェンスと、それに加えて去年と同じく採用されているロングスローも含め、今年の核となりそうな部分はしっかりと見えてきました。当然、まだこの段階では全貌を見せていないポテンシャルの高い選手も他にまだまだいますし、去年もシーズンの始めからは、4-4-2だったり、4-3-3だったりしながら、最終的には3-1-4-2で高円宮杯を制覇するまで組織も成長したので、ここからガッツ監督がどうやって仕上げていくか、本当に楽しみです。

そういった形で、どちらが主導権を握るということもなく、試合が進んでいたのですが、少しずつ福岡の体力が低下するにつれて、ミスも多くなってきていました。

そうして、決勝ゴールは鳥栖にやってきます。中盤でボールを奪った東口君がショートカウンターで猛然と突破をしかけ、あっという間にペナルティエリアに入ります。そこで右斜めからの良い角度からシュートを放つと思いきや、追ってきたディフェンスをもう一度交わして前に推進するドリブルをしかけ、このプレイにたまらず福岡ディフェンスが東口くんを倒してしまってPKを獲得。このPKを東口君が豪快に左隅に蹴りこんでサガン鳥栖が逆転!

YES!!We are SAgAN!!!

まだ10分ほど時間が残っていたので、同点に追いつくべく攻撃を仕掛ける福岡だったのですが、焦りと疲れでなかなか前線にボールを運べず、ミスもあってシュートチャンスをつかめません。

そうしたなか、またもや最終ラインからのフィードにミスが生じて、それを奪った下田君がこの時間帯のドリブルなのかというくらいのスピードあふれる突進でペナルティエリア内へ。先ほどと同じように、後ろから追ってきた福岡ディフェンス陣が下田君のフェイントにたまらず足をひっかけてPKを獲得。このPKは、主計くんが蹴りましたが、右に外れて追加点はならず。蹴った瞬間に、外れると悟ったゴールキーパーの田中君があはーーーんって言ったのが印象的でした(笑)

印象に残ったのは、このPKを主計君がセットしているときに、ペナルティエリアの前にポジションを取った下田君に対して、隣にいたアビスパのディフェンダーが背中をポンポンとたたいていたシーン。倒してごめんねだったのか、良い突破だなお前、なのかはわかりませんが、オラオラと叫ぶ様子を見せながらも、相手に対するリスペクトも垣間見せるシーンにちょっとほっこり。おじさん、こういったシーンに弱いです(笑)

最後はパワープレイ気味に若干、福岡に押し込まれはしたものの、決定的なピンチもなく、難なく逃げ切ったサガン鳥栖U-15が、九州クラシコを制覇しました。山口くん、東口くん、山村くん、下田くんという、日本一を経験したメンバを中心としつつ、今年からレギュラーとなって試合に臨む新3年生の個性あふれる選手たちが、確かなスキルと戦術眼を兼ね備え、今年も日本一を狙います。
「私を西が丘に連れてって」
今年の年末もきっといい知らせをお届けできるのではないかと期待の高いスタートです。

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最後に。ハーフタイム、父兄の方(東口くんのお父さま)から、お茶の差し入れをいただきました。本当にありがとうございました!



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