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耕作放棄地を耕作放輝地に!わたしたちのチャレンジ

農水省発表のデータによれば、日本の農業従事者は1985年552万人だったものが2017年には181.6万人まで落ち込み、平均年齢も66.7歳となっています。
また、日本全体の農地面積は約450万ヘクタール、そのうち1割弱の42万ヘクタールが耕作放棄地だそうです。相模原市も似たようなもので市内の農地740ヘクタール中、津久井地域を中心に約60ヘクタールが耕作放棄地だと言われており、市でも耕作放棄地対策協議会を設置して対策に取り組んでいます。

なんだかこんな現実を見せつけられると絶望的になってきます。

誰が言い始めたのか日本の農業は、じいチャン、ばあチャン、おかあチャンの3チャン農業などと揶揄されていますが、それでも農地を継続維持しているのはマシな方で、それさえできなくて放置された遊休農地が増え続けているのが実態です。
最近は国も耕作放棄地と呼ばないで荒廃農地とかいう概念にかえたようですが、実態に変わりはありません。
ただ、よく考えてみると、農家だけが突出して少子高齢化したわけではなく、日本の経済構造や人々の意識が変わる過程で若い世代が農業離れして工業やサービス業に流れた結果が66.7歳という数字や耕作放棄地の増加という現実になっているのです。

それをくい止めようと国も地方自治体もいろいろな対策を講じ、多額な補助金をつぎ込んできましたが、果たしてそれが適切であったかどうかは結果を見れば一目瞭然です。
昨今も、国のエネルギー政策でカーボンニュートラルを実現するために、広大な耕作放棄地に着目し、農地法で定められている規制を緩めて農地転換を容易にして遊休農地に太陽光発電設備の設置がし易くなるよう法改正をしようという議論があるようです。
わたしたちもソーラーシェアリングの事業を進める中でいろいろな制約があり多くの困難に直面してきましたが、ただ、規制緩和した結果貴重な緑がなくなり自然環境が破壊されたら本末転倒、エネルギーか環境かの二者択一ではなく、両立しなければダメでしょう。

それではどうしたらいいのでしょうか。
普通に努力してもダメなら、コペルニクス的転回というか、今までだれもやってこなかったことにチャレンジする以外ないのではないか。そういうことなら、農業についてはドシロウトなわたしたちにも出番がありそうです。
ここ相模原市前戸地区は大規模化や機械化で生産性をあげるようなことができない小区画が集積した典型的な中山間地の農地で、プロの農家の方々が見切りをつけたところです。こんな場所を借りて始めたのがSAGAMICO BERRY GARDEN(SBG)です。

そんなSBGでわたしたちが今取り組んでいることを紹介しましょう。


農地の上部で発電し下部で作物を栽培するソーラーシェアリングの推進
(農地をつぶして環境破壊につながるような野立て発電所は作らない)

ブルーベリーを養液ポット栽培で育成
(農業経験の有無に左右されずに、コントローラーから最適な養液を自動的に送る工業的なしくみの導入)

密にならない会員制予約制の観光農園
(無制限の来客受け入れを避け、来園者がゆったり楽しめる場づくりをめざす)

生のブルーベリーを直接届けられる直販ルートの開拓
(東京・横浜の大消費地に近い利点を最大活用して鮮度の高い生ブルーベリーを供給)

SAGAMICO BERRY GARDENのブランド化
(出所を明確にして価値を売る商法への挑戦)

地域人材等の積極活用
(地域の人たちや身障者施設などと連携した雇用の増進)

どの項目も、そのひとつ一つは特別目新しいものではありませんが、これらをワンセットで実施しているところは全国でも例がないと思います。

当然こんなことをやろうとすればいろいろな障壁に突き当たります。それが農地法であったり、建築基準法であったり、古い慣習であったりします。

1例をあげると、わたしたちが現在取り組んでいる場所は農業振興地域に指定されている農地です。そこの耕作放棄地を活かして観光農園を開設しようとしています。観光農園を運営するためには、受付や会計、簡単な物販、休憩所などの機能を有する施設が不可欠ですが、農振地域に建造物の建設は不可という大きな壁が立ちはだかっています。わたしたちとしては、観光農園も立派な農業の1形態でありそれを成り立たせるために必要な施設は農業用施設のひとつだと思っているのですが。

たとえ今すぐきれいな解決が困難でも、何とか次につながる糸口を見つけて前に進めていきたいのです。

“耕作放棄地を耕作放輝地にしたい!”

わたしたちがやろうとしていることが、地元に貢献し、市政を助け、社会に貢献するものであるかぎり、必ず道は開け、土地は再び輝きを放つと信じてがんばっていきます。

(2021.6.6 山川陽一)

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