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「男の子の育て方」とは【読書記録】

今までもオススメされた育児関連本を色々読んできたのだが、9ヶ月に入ってよりプラクティカルなものを、と思い以下の三冊を購入。育児について学ぶには、実践が最も有効だとも思うし、たとえ一人を育てあげたとしても、実際何が良いのかなんて分からないものだと思う(だからこそ面白いのだろうし、だからこそ子育て問題で紛糾したりもする)。まあ、とりあえず私は色々初心者なので、まずはAmazonで評価が高く(☆4.5以上)、売れ線のものを読んで学んで見よう、と思ったわけだ。

それぞれ読み始めてみてすぐに気づいたのは、これらの本はすべて、基本的に「お母さん」を読者に想定していること(表紙にも「お母さん用」を示唆するような文言は見当たらないのだが・・・)。語りかけも、「お母さんが〜してください」「お母さんの胸の鼓動を聴かせてあげると赤ちゃんは・・・」「お母さんが精一杯愛を表現してあげることが・・・」「お母さんが・・・」「お母さんが・・・」と言った具合。『はじめてママ&パパの育児(*1)』では、「はじめてのパパ」も対象としているにも関わらず、出てくる写真はお母さん+こどもがほとんど、読者からの体験談もほぼすべてお母さんの声。寝かしつけやその他お世話に関するアドバイスも、すべてお母さんが主語。


(*1)普通夫婦が一緒に呼ばれるときや記名するときは、パパの名前が先だし、「パパママ」「お父さんお母さん」って言い方が普通なのに、育児の実質的な責務のときはママの名前が先にくるのね。

一冊目はこの本。

『はじめてママ&パパの育児―0~3才赤ちゃんとの暮らし 気がかりがスッキリ! (主婦の友実用No.1シリーズ)』
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%A6%E3%83%9E%E3%83%9E-%E3%83%91%E3%83%91%E3%81%AE%E8%82%B2%E5%85%90%E2%80%950~3%E6%89%8D%E8%B5%A4%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%A8%E3%81%AE%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%97-%E6%B0%97%E3%81%8C%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%81%8C%E3%82%B9%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%AA-%E4%B8%BB%E5%A9%A6%E3%81%AE%E5%8F%8B%E5%AE%9F%E7%94%A8No-1%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E4%BA%94%E5%8D%81%E5%B5%90/dp/4072955442%3FSubscriptionId%3D0AVSM5SVKRWTFMG7ZR82%26tag%3Dsaerealblog08-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4072955442

「はじめての育児」系の本は、色んな出版社からほとんど同じ値段(1400円)で色々なものが出ているけれど、中身の写真やフォント、レイアウトや表紙の落ち着いた感じなどからこの本にしてみた。ママとパパのと謳っているにも関わらず、全編を通した「お母さん推し」っぷりには疑問があったものの、育児経験も育児について間近に見たり聞いたりしたことのない私にとって、内容はとても役立った。より実践的に役に立つ本だと思う(同時にかなり導入編なので、子育て経験がある人には全く役に立たないと思う)。

こういった本がおしなべて「お母さん主語」なのは、実際問題として育児のほとんどを母親が担当しているという現状を鑑みての構成だというのは理解できるのだけど、「子育てしよう!」と思っている新米お父さんもたくさんいるだろうに(そしてこれからも増えて行くだろうし、増えて行って欲しいのに)、まるでお父さんが元々戦力にカウントされていないみたいで、出鼻をくじかれてしまうのでは、と心配になる。

少なくとも、私は自分の夫にも読んでもらいたいから、できればお母さんがお母さんが、と言わず、子育て入門本なら、夫婦で育児を分担するという本当はあたりまえの前提のもとに書いて欲しいなと思った。

二冊目はこれ。

『男の子の一生を決める 0歳から6歳までの育て方』

http://www.amazon.co.jp/%E7%94%B7%E3%81%AE%E5%AD%90%E3%81%AE%E4%B8%80%E7%94%9F%E3%82%92%E6%B1%BA%E3%82%81%E3%82%8B-0%E6%AD%B3%E3%81%8B%E3%82%896%E6%AD%B3%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E8%82%B2%E3%81%A6%E6%96%B9-%E7%AB%B9%E5%86%85-%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%AB/dp/4046025352%3FSubscriptionId%3D0AVSM5SVKRWTFMG7ZR82%26tag%3Dsaerealblog08-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4046025352

取り急ぎすべて読んだが、当面は0歳の部分ということで、まずは「五感を刺激して好奇心を育てる」ということの重要性を認識。

話しかけるって重要なんだろうな。自分が赤ちゃんのときの記憶なんてないけど、私もこういう風に育てられたかったなぁ、と思えるような育児をしたいと思う。

私は特に胎教なるものは行っていないけど、最近ぐりぐりとたくさん動くようになってきたので、こかぴ(注:我が家庭における胎児の通称)もきっと、私のムードや外で起こっていることを少しずつ感じるようになってきてるんだろうな、と想像する。実際話かけると動くような気もするしね(あくまでも気がするだけだけど)。

最後の本。

『男の子の育て方~「結婚力」「学力」「仕事力」。0~12歳児の親が最低限しておくべきこと。』

http://www.amazon.co.jp/%E7%94%B7%E3%81%AE%E5%AD%90%E3%81%AE%E8%82%B2%E3%81%A6%E6%96%B9~%E3%80%8C%E7%B5%90%E5%A9%9A%E5%8A%9B%E3%80%8D%E3%80%8C%E5%AD%A6%E5%8A%9B%E3%80%8D%E3%80%8C%E4%BB%95%E4%BA%8B%E5%8A%9B%E3%80%8D%E3%80%820~12%E6%AD%B3%E5%85%90%E3%81%AE%E8%A6%AA%E3%81%8C%E6%9C%80%E4%BD%8E%E9%99%90%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%8F%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%81%93%E3%81%A8%E3%80%82~-%E8%AB%B8%E5%AF%8C-%E7%A5%A5%E5%BD%A6/dp/4872904451%3FSubscriptionId%3D0AVSM5SVKRWTFMG7ZR82%26tag%3Dsaerealblog08-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4872904451

この本に関しては共感7割、反感3割くらい。上記の本よりも、筆者の意見が強く出ているので、読み応えがあった。

共感や改めて学んだことの例としては、離れてストレスをためずに子どもと接することの大切さ、言葉が行動をつくること、ほめるときはよく観察してその場で目を見て頭をなでながら、家事を手伝わせることの重要さ、「トークン・エコノミー」(ごほうびのあげかた)、リビングで勉強させること、上半身を鍛えることは我慢強さを作ること、「アサーション・トレーニング」(相手にうまく伝わるような言い方で、自分の気持ちを伝えるスキルを磨くこと)、性の発露や反抗期において過剰反応をしないこと、コミュニケーションが取れなくなったときは物理的に場所を変えること、家の間取りの重要さ、などなど。

特に共感したポイントは以下の3つ。

もっとも心に残ったこと、私も実践したいなと考えたのは、「家族はチーム」という考え方。家庭の細々した家事や出来事について、当然誰かが何かをやるべきであると考えたり、自分のために何かをやってくれることを当たり前と思わないこと。それぞれが助け合って、私・旦那・子どもがそれぞれ役割を果たそうとすること。もちろん、子どもが小さな頃は、やろうと思っても出来ないことがほとんどだろうけど、あくまでも何かやろうとする気持ちを持つこと、チームのメンバーとしてチームに貢献しようとすることが大切だと思う。

次に、だからこそ小さな頃からちょっとずつ挫折の経験を重ねるのがベターという考え方。男の子の育児では、特に「褒めるのが有効」という育児法がかなり一般的なようで、実際多くの親や保育・教育の現場の人がそうしているのだろうと思う。私は褒めることの重要性やその効果は十分理解できるし、否定もしない。

一方で、だからこそ自分はすごいんだ、一番だ!と思ってしまうことの危険性も感じる。特に相対的に社会的成功を得ているような中間〜上位層の男性陣に見られる全能感というか俺が一番感の温床になっている可能性があり、それが起こりうる男女問題のアンダーラインとして存在しているんじゃないか、とも考えられると思った。

女の子は(私自身も含め)、小さな頃から外見で判断されたり、女としての社会的なプチ差別を経験しているので、多くの場合自分がトップでもびりでもないグレーゾーンにいることが分かっている。でも男の子は、特にその後自信をつけて自分の能力を伸ばしていくような男の子は、その自覚をする機会を知らず知らずのうちに周りの人間が奪っているのではないか?という可能性。褒めてポジティブな気持ちで良い部分を伸ばすことと、自分を客観的にみることの力を育てること、両方とも大事。

最後に、「斜めの関係」を築ける大人との交流の重要性。これは私や旦那の地域コミュニティとの関わり方や友達付き合い、親戚との関わり方などにも関わってくるので、とても重要だと思った。私は自分が専業主婦の母に育てられ、学校も幼稚園から送り迎えの私立で地域との結びつきがほどんどなく育ったので、逆にもっと多様で色んな人と小さな頃から交わるように育てたいし、私自身もたくさんのつながりを持って行きたいと思っている。

今度は、この本の反感ポイント。

一つ目。
男の子に「してほしいこと」は、①お願い口調で+一歩下がって、②ポジティブに、③具体的に、というアプローチが大事!という部分。

①に関しては大人の男に対しての実践経験上、「そういうもんだろう」と納得はできるものの、男に対して常に下手に出ないとうまく行きにくい、という点に関して、改めてなんだかなあ、と思ってしまった。②、③は、特に小さい子相手には、端的かつ具体的なお願いは有効だろうと納得。

二つ目。
反抗期の子どもとずっと一緒にいて煮詰まったら、お出かけして「スウィーツ」を食べに行くのがいいとか、「お母さんはおうちのなかでも「ちょっといい女でいよう!」という章のなかにある、家の中でもある程度奇麗にするのが重要なので、たまには「H&Mで可愛い下着を買う」のをオススメする、などの記述。家計に気を遣う「お母さん」でも買えて、読者層に反感をかわなそうな廉価で人気のあるショップっていうセレクトでH&Mなのかもしれないが、それぞれのオンナの好みを知らない男の貧困な想像力に基づいた事例をこんな風に出されると、カチンとくるんだよね。
端的にいうと、出過ぎた記述。

だって、「お母さんにも綺麗でいて欲しいから、たまにはH&Mで下着でも買ったら?」なんて知らない男にアドバイスされたら、いらっとしませんか。私はします(笑)。綺麗でいるかどうかは本人が決めることで、相手のことが好きだったら、綺麗に見せたいなと思えば綺麗にするよ。しかもH&Mって!!(*H&Mは好きだけど、それぞれの女の好みも分からない人間にいちいちブランドを出してほしくないし、相対的に「安可愛い」として知られるラインを出されるのも腹が立つ)。その「綺麗」でさえ、誰か好みの「綺麗」と自分が目指す綺麗はまったく違う。「綺麗」になって一番嬉しいのは、誰かに喜んでもらえることじゃなく、自分自身だったりするわけだし。

他にも、共学が男子校か・・・の話は、慣れていない、女性を理想化しているので「おそらく」生涯未婚率も男子校出身者の方が多い、などの根拠のない理由(*2)から共学を薦めていたり、中には筆者の経験や思い込みを過大に強調している部分もあって、その点も受け入れられなかった。

(*2)平成23年に発表された内閣府による調査では、男子校や共学かによって婚姻率や交際経験に有意な違いはないことが証明されています。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa22/marriage-family/mokuji-pdf.html

これらの本を読んで思ったのは、「ここで学んだこと、結構旦那に対しても同じ対応できるな」ってこと。

旦那と話していると、物事に対するモチベーションや集中力、そして生活するということへの意識が、どうも私とは違ったところにあるらしい、というのを気づく。元来、自分とは全く異なる他者と生活をともにするということは、決して簡単なことではないと思う。

それに加えてのジェンダーだ。私と旦那はオンナとオトコという違った性別を持ち、また異なったジェンダー規範の元に育って来た人間であり、その隔たりは個人差という言葉でまとめるにはもったいないと思うくらい、この社会で問題になっている色々な男女問題につながっていると感じる。

男の子の育児本を読みながら、そして今後は未知なる男児と接しながら、旦那への理解も少しずつ深めていけたらいいと思う。



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