それと気づけばいいだけの、たったひとつの単純なこと
note開設以来、これまでずっと「です・ます」調で過去のことを書いてきました。
ですが、最近他のことを始め(後述)そっちにすっかり気がいってしまっていたというのもあり、正直ここで今までと同じノリで文章を書くのが難しくなっていました。
ですが、「である」調で今のことなら書くことは相変わらずいっぱいあるし、むしろそっちのほうが言いたいこといっぱい書けそうだよな、とゆうべふと気づいたので、これからは率直かつランダムにここに綴っていこうと思います。
とりあえずその第一弾は、おそらく他人さまが読むのをうざがる選手権トップ3に入るであろう「夢日記」です。
うざかったら読むのやめてください。ただ、最後に「これ人にシェアしたほうがいいんだろうな」と思う箇所があったので、そこらへんだけでもなんとなく読んでいただければと思います。
* *
ロンドンから帰ってきた晩、なんとも不思議な夢を見た。
時差ボケと旅疲れがこんなものを見せたのか、とにかくその夢の中で、私は気づいたらある古い家の前に立っていた。
それはつやつやした深みどりの葉の茂る低い生垣のある家で、門扉には木でできた手作り感満載の表札がかり、そこにはなんだかよくわからない文字が刻まれていた。
なかば朽ちかけたその表札に、私はかろうじて「アイヌ」「チセ」という字だけを読みとることができた。ーアイヌ? チセ?
生垣越しには広めの庭が見え、そこには法被に似た民族衣装を着て、はちまきみたいなものを閉めた女の人が何人かいた。みんな体格がよく、眉が濃い。その向こうにはいかにも先住民族のそれっぱい茅葺の民家が見える。
そのうちふと女性のひとりと目が合い、私はそのままその家に招かれた。
通された部屋は薄暗く、そこには大きな本棚があった。見ると、そこにはおびただしい量の本がずらりと並んでいた。見ると、どれもアイヌ関係の本ばかり。どれでも好きなのを読んでいいよ、と言われ、私は一冊、一冊手にとってしばらくその場で本を読みふけった。
するとしばらくして私を呼ぶ声がして、私は部屋の隅にある木のテーブルに招かれた。そこには飲みものの用意がしてあり、目の前にいたのはふっくらした丸顔の眉の濃い30代くらいの女性だった。とてもフレンドリーな雰囲気で、私に微笑みかけている。だから私はつい気を許し、今自分が置かれている状況、そしてそれに対する不安などを正直に口にしてしまった。
すると彼女は私に向かってばっさりこう言ったのだ。
「それは、あなたが自分はひとりだと自分で思い込んでいるせい。だからあなたは寂しいの。でも、私たちはそうじゃない。私たちは私たちの中にはたくさんの人がいて、かれらが私たちを助けてくれるって知ってるから寂しくない」
それはご先祖さまとか、そういう意味ですか? と私が聞くと、それもある、だけどそれだけじゃない、わたしたちの中にはほんとうにいろんな人が住んでいて、それは必要におうじて出てきてわたしたちを助けてくれる、だからわたしたちはなにがあってもためらわずに前に進めばいいのだ、と彼女は言った。
私はもう本当に驚いて、思わず名言いただきましたー! と言いたくなるのをぐっとこらえ、それはもしかして私の中にもいるんですか、私が気づいてないだけで? と聞いたら、
「当たり前じゃないか、もちろんそうだ、そうと気づけばいいだけの、たったそれだけの単純なことだ」と彼女は笑顔で言った。
夢はそこで覚めてしまったのだ。
目が覚めてからも、私はしばらくその場でボーッと呆けていた。
あれ一体なんだったんだろう。
もっともっと、詳しく聞いてみたいことがあったのに。
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