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嫉妬と劣等感に悩む全ての人が「自分の人生」を取り戻すために。漫画『テンプリズム』レビュー

最近、「自分の人生」と「他人の人生」について考えている。自分で考えて、やりたいことを、やりたいようにやる人生と、親や教師やしきたりや習慣に縛られて、自分以外の何者かに規定された人生だ。「他人の人生」を生きている人はいつも被害者ぶっていて、呪詛の言葉を吐きながら「自分の人生」を生きている人たちの不幸を願っている。そして、そんな人間になりたくないと願いながら、ふと気づくと自分が呪詛を唱えていることってよくある。人間ってやっかいだなあと感じる。

そういう、リアルな社会では絶妙に秘匿され、地下水脈のように広がる感情を、ファンタジーの力で気づかせてもらうことが多い。僕が感じるファンタジーを読む理由というのはそういうことだ。

僕は大学3年生からインターンを始めて、会社で長い時間を過ごすようになった。正直なところ、僕が当初一番強く感じていたのは、劣等感と嫉妬心だ。コルクという会社は、中途採用者が多い。経験豊富な10年選手の先輩に囲まれながら仕事をしていると「なぜこんなに自分は作業が遅いのだろう」とか「また同じミス…あの人ならこんなことは起きない」と自分に落ち込んでいた。

また、若い先輩をみていると、「この短期間で凄い成長している」「他の人を巻き込むのが上手いなあ」と羨ましげな目で見てしまう。そして、そんな気持ちになっている自分のちっぽけさにも、嫌気が差してくる…。

…こんな悪循環に陥ったことある人、いないだろうか。

そんな僕が共感してしまうキャラクターがいる。曽田正人が描くファンタジー漫画『テンプリズム』のベルナというキャラクターだ。

(この後、彼女は衝撃的な行動に出るのだが・・・そこはぜひ本編で。)

ベルナは、自らの在り方に悩み、ずっと苦しんでいる。そして、どうにか自分を相手の記憶に残そうとし、価値を認めさせることに必死だ。ニキへの愛情が強すぎて、憎悪をいだく瞬間の複雑な表情が印象的だ。

自分とニキを比べてしまう劣等感に支配される人生とは「他人の人生」そのものだと思う。戦闘中のベルナの回想から、彼女がかなり幼い頃からニキに憧れていたのが分かる。

ベルナの心から発せられる悲痛な叫びを聞いていると、劣等感と嫉妬は、強い憧れと深い愛の裏返しであることに気付く。はたして、彼女はこのあと、どうなっていくのだろうか。自らの負の感情に、決着をつけられるのだろうか。結論はまだ分からない。僕自身も、今は、憧れの人たちが持っていない僕だけの強みを活かしていこうと思っているが、これからどうなるかは分からない。

『テンプリズム』は、ベルナを含む、10代の若者たちがもがき苦しみながら成長し続ける群像劇だ。そして、曽田正人は「文明は人間を幸せにする」「科学は人間を自由にする」というような価値観を、この物語を通して批評しようとしている。その対立する価値観の葛藤が頂点に達したとき、爆発するような爽快感のあるバトルシーンが描かれる。

ベルナのような、劣等感や嫉妬をもっている人で、『テンプリズム』をまだ読み始めていないのなら、ぜひ読んでみてほしい。ベルナが「他人の人生」を生きるのをやめ、「自分の人生」を取り戻すのを目撃できるから。

試し読みは、こちらから。  

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いい波乗ってんね〜〜〜〜〜!
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株式会社ポインティCEO(チーフ・エロデュース・オフィサー)。東京生まれの27歳。早稲田大学文化構想学部を卒業後、株式会社コルクに漫画編集者として入社。2017年に独立しエロデューサー活動を始める。2018年、日本初の完全会員制「猥談バー」をオープン。体型は赤子、精神はギャル。
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