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エンタメ日記(2024/09)

ひろさちや著「じたばたしても仕方ない」

例えば「精進する」といえば、ひたすら努力をするということに捉われがちだが、本来の意味は欲望や執着を手放すことだという。じたばたしてもどうにもならないことに執着せず、自然体でいることが重要であるというメッセージが、彼の言う「精進」の根底にある。このように、現代社会における「焦り」や「努力至上主義」に対して、仏教的な視点から静かな心と受容の大切さを説いた一冊である。
何事も思い通りに進まないことが多いが、「成功」や「結果」だけを追い求めるのではなく、そうした現実を無理に変えようとせず、受け入れることで心の平安につながる。また、仏教だけでなくキリスト教にも共通する部分があることが記されている。たとえば、キリスト教における「神の御心に委ねる」という考えは、物事を自分の力だけで変えようとせず、信仰に基づいて現実を受け入れる姿勢であり、仏教の「諦観」に通じる。
また、老いや死に抗うという西洋的な考え方についても、ひろさちや氏は「負けることが前提で、それを楽しむ」スタンスだと述べている。西洋では、老いや死を避けられない運命として理解しながらも、それに抗い、過程を楽しむ姿勢がある。この点で、仏教的な「老いや死も自然の一部として受け入れる」姿勢とは対照的だが、どちらも結果よりも「過程」を大切にするという点では共通している。西洋的な挑戦と仏教的な受容、両者の視点から人生を考えることで、過度な焦りや執着を手放し、心の平穏を保つことの重要性が浮かび上がる。

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