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子供を比べて育てること

母に
”兄と比べないで”というと
決まって母は怒り狂う

「私がいつそんなことした」
「お兄ちゃんはそんなこと言ったことない」

といった具合に

でも兄の話を聞いているといつも私が兄よりできないという設定にはなっていないようなのだ
兄が気を遣って嘘をついているのかもしれないが
兄には「妹はこうなのに」と言われるらしい

母は兄弟の仲が良くなかったらしい
よく私たちを見て仲がいいと言っていた
そして兄が私を甘やかすことをいつも「お兄ちゃんは妹に甘いもんねー」と言っていた

私は思っている
母は私と兄が仲の良いこと、兄が私に甘いことが気に食わなかった

三人兄弟の真ん中っこで育った彼女には甘えられるところなどなかったと私によく言っていた
「あんたはいいよねーお兄ちゃんに甘えてお父さんに甘えてお母さんに甘えて」と

何かの時、叔父とほんの少し話したときに
”お兄ちゃんは出来がいいからー”と誤魔化して答えたら

「お前と比べるって言いたいのか!」

ときつく返されたことがある
その反応の速さ、直接母が比べるという話ではないのに結びつける適応力、
”あぁ、母は私が母にお兄ちゃんと比べないでと言ったことをまるで悪事かのように言いふらしているのだ”と確信した

中学受験の模試の点、高校受験の成績、高校でのテストの結果、センターの点

何もかも「お兄ちゃんは〜」と言ってきたのは彼女だ
何か喜ばしいことがあっても「お兄ちゃんは〜」と言ってきたのは彼女だ

それをやめてくれということがそんなに悪いことか
比べてないのなら「お兄ちゃんはそんなこと言わない」なんて言わないでしょう

叔父のその反応を見た時、親族に私の味方はいないと諦めた
誰か私の話を聞き、母にされたことを信じ、家族から離れることを応援してくれる人はいないのだと

叔父にとって優しい姉ちゃんが幼い私を歯がいじめにして尻を叩きまくったことなんて信じないだろう
お仕置き、しつけ、そういうものだと信じてきた
私が”悪い子”だから
私が”言うことを聞かない子”だから
仕方がないのだと
されて当然だったのだと

あの真っ暗な和室を思い出す
本当にしつけの範疇だっただろうか
いつも、いつまでも私が悪いような気がして私は「お母さん」と呟く

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