リンカーン

『リンカーン』にリーダとして態度を学ぶ

僕は作品を選ぶ時に、何か明確な意図を持っていることが多い。

多くの人は、そのような時、情報が欲しいのだからビジネス本を読むのだろう。もちろん僕もビジネス本を読む。(最近は中川政七商店の13代目・中川淳さんの『経営とデザインの幸せな関係』を発売後すぐに読んだ。すごくいい本だった)

でも、僕はフィクションから学ぼうとする。

大切なのはノウハウとしての情報よりも、感情についての情報だと考えているからだ。それはフィクションからでないと学べない。

僕はコルクを創業して、社長をしながらも、リーダーになることを避けていた。自分はそういう性格ではないし、フラットな組織のほうが、クリエイティビティを保てると考えていたからだ。しかし、関与するメンバーが増えてきて、組織が非効率な状態に陥っている様子をみて、問題はメンバーの能力ではなく、リーダーとしての僕の能力の問題だと感じた。僕自身に問題があると仮定して、僕はどのように変わるべきか、それを今は、自問自答している。

リーダーと言っても、色々なスタイルがある。その様々なスタイルを知り、コルクのビジョンにあったリーダーになろうと思った。それで、カーネギーの『人を動かす』を読んだりした。(昔の僕が、今の僕がカーネギーを真剣に読んでいると知ったら、そのダサさをすごく批難しそうなぐらい、僕はこういう本が好きではないのだけど、本気でリーダーにならねばと思って読んだ)

結果、すごくよかった。あまりにも学びが多くて、びっくりしたぐらいだ。そして、リンカーンに興味を持った。奴隷解放をした大統領ということはもちろん知っていたけど、そのリーダーシップのあり方について、考えてみたことは一度もなかった。

映画『リンカーン』を調べたら、監督はスティーブン・スピルバーグで、すぐに観た。

かなり骨太な映画で、観応えがあった。リンカーンが戦ったのは、奴隷解放に反対する人だけではなかった。奴隷解放には賛成しながらも、急激な変化は良くないといい、変化しようとしない人達こそが、リンカーンが攻略しないといけない相手だった。

リンカーンの意志の強さ。そして、忍耐強さ。自分が直面している事実の重みを理解する力。映画を観ながら、リンカーンがいなければ、今の時代にもまだ奴隷制が残っていてもおかしくない。それだけの大きな変化を、一人の意志の力で、周りをまきこんでやりきったのだと感じた。

演出や脚本は、どちらかという地味だ。アメリカの歴史への前提知識がない、日本人にはすこし退屈かもしれない。でも、歴史を変える行為は、リアルタイムでは派手な行為ではないし、淡々とやっていくしかないという当たり前の事実を深く理解できる映画だった。

静かな感動を味わいながら、もっとリンカーンについて、リンカーンのリーダシップについて知りたいと思った。でも、日本人のみんなが知っているものの、深くは知りたいと思わない人物のようで、リンカーン周りの本がほとんどなかった。結果、子供向けなのだけど、吉野源三郎さんが書いたすごく古いリンカーンについての伝記を読むことにした。

本の紹介文がシンプルだけど、素敵である。

「だれにも生きる意味がある。役目がある。天才なんていない。みんなふつうなのだ。」

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