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広告デザインの人間工学的アプローチ(心理的側面)

お久しぶりです。
間が空いてしまいましたが、今回も、人間工学的なデザインアプローチの続きを書かせていただこうと思います。

今回は、「人間工学的アプローチ」のうち、心理的側面に関してです。
前回の物理的側面を知ってからの方が良いので、
未読の方は是非、先にご覧ください。

↓↓ 前回の物理的側面に関するリンクは以下 ↓↓
https://note.mu/sadamune777/n/n2135bbb3a460

業界でよく言われる「訴求軸」や「デザイン軸」より手前の、
『機能するための最初のステップ』に関してのお話です。
※PPTからのキャプチャが多いため、画像荒い分はご容赦ください…

『感性』とは?

人は、先天的に動物として
一定の自然界の法則で印象値を持つものがあり、

また、
後天的に社会人として
日常生活の中で見聞きしてきたものをベースに経験則からも
「物の価値判断」や「連想しての価値予想」を行います

この「先天的印象」と「後天的判断」のトータル値を、
『感性』と呼びます。

【先天的な印象例】
・赤色、黄色などの警戒色:危険な印象。注目優先度を上げがち
・尖った形状:硬さ、危険の想像。先端に対しての警戒から意識集中
【後天的な判断例】
・以下3つの画像だと、「C」に最も金銭的価値を感じる
(どれも各時代、地域で貨幣として扱われていたが、自身の経験で判断)

「A」

「B」

「C」

経験値が違えば、
人は、物の価値も、
感性」に応じて違って感じるわけです。

ターゲットの『感性』を利用したデザイン

人間が物の価値を「先天的性質+後天的経験」から判断するということは、
つまり裏返すと、
経験から「何を見せればどんな価値を感じてもらえるか」を逆算できるということです。

例えば以下のような画像には、
社会人経験から、特別な印象が感じられます。

【ポジティブ・価値あるもの】

【危険な印象】

【直感的に、青が自軍、善の印象。赤が敵軍、悪の印象】

(黄黒とか、江戸時代の人が見たら「危険」ではなく「鬼の腰巻き」とか言うかも…)
このように、何かモチーフそのものではなくても、
デザイン(記号)によって、特定の印象を持ってもらう
ことが可能です。

広告を始め、現代社会の人々にアプローチするデザイン物は、
短時間で「理解」「判断」をして貰う必要があることが多々です。

デザインを「感性に効く」要素構成にすれば、
短時間でしか伝えられない局面でも、
「理解を加速」&「印象を調整」することができます

デザイン本来の訴求を活かしきるためにも、
物理的な構造と併せて、ぜひ意識したいポイントです。

効果的な勉強方法は?

人間工学的なデザイン思考、いかがだったでしょうか?
前回の「物理的側面」と、
今回の「心理的側面」
これら双方を意識しながら、デザインの分解理解と再構築を繰り返せば、
無意識にそれらが有効になった状態のデザインを自然と組めるようになります。

以下では、そのための有効な勉強方法を考えていきましょう。

【考えるべきポイント】
・社会人は時間を取りにくい(インプットに特別な時間を組みにくい)
・分解理解の癖をつけるだけなら、画像/映像でなくて良い

つまり、
「特別な時間ではない日常」や「短時間の閲覧」で、
「大人数&特定の挙動に人を誘導するデザイン」があれば
それが教材になります。

オススメ① 『都市デザイン、空間デザイン』

生活空間上に点在する都市デザインや空間デザインは、
「特定の目的」で「大量の人を円滑に誘導する」工夫で満載です。

「横断歩道はなぜこのデザイン?」
「棚の高さはなぜこの高さ?」
「標識は何故この色なの?」
これらのデザインは、人間工学の結晶です。
日頃の通学通勤路、出先の内装デザイン、待ち合わせの周囲…
目に入った全ての生活空間を、教材にしてしまいましょう。

(答えが正しいかよりも、分解理解しようとする行為、経験が重要です)

オススメ② 『ドラマ・アニメの1期目のOP』

1期目のOPムービーは、
「新規ユーザーの視聴開始+定着」と、
「2期目以降への視聴意欲加速」に演出効果を振っているものが多いです。
しかも、短尺なので、何と言っても沢山見れます!

日頃、あまり興味がない人でも、短くまとまった映像教材として、
たまに検索して鑑賞してみるのはいかがでしょうか?

最後に

デザインは、その掲載フォーマットによって、常に定石やトレンドが生まれてくるものです。
しかしながら、世の中のデザイン物の在り方(いつ、どこで、どんな人向けに、どんな目的で存在するか)は刻一刻と変わっていきます。

トレンドは廃れますが、人間工学をベースにしたデザイン思考は、常に有効です。

今あるデザインの調整ができるだけではなく、
人の性質から逆算し、その時々に必要なデザインを柔軟に生み出せるよう、
その場に合わせた「自走したデザイン思考」ができる訓練をしていきましょう。

次の記事では、ブランディング理解促進に役立つ、
人間工学的なデザインの応用編を記載していこうと思います。

最後までお目通し頂き、ありがとうございました!
次回も、よければお楽しみに!

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