
ユーザーが許可したくなるPush通知を考える
初めましての方もこんにちは、さだこえ (@sadako_a_ ) と申します。
DeNAに新卒で入社後、現在は株式会社FOLIOのデジタルプロダクトデザイナーとして、オンライン証券のUIデザインに従事しながら、スタートアップのデザイン支援を副業で行っています。
今記事では、主にアプリの機能として欠かせないPush通知に焦点を当て、記事を執筆します。
Push通知とは
ご存知の通りPush通知とは、アプリやwebサービスで何か変更や更新があった場合にお知らせをする機能です。一般的にこの業界で言われるPush通知は、Apple Push Notificationを指していることが多いと思われます。
その理由の1つとして、AndroidはPush通知に関してユーザーの許可を取る必要が無いからです。(ダウンロードする際にオプトインされるため、許可率は100%になる。) iOSやWeb Browserでは、Push通知をユーザーに送るためにあらかじめ許可をしてもらう必要があります。
ではユーザーが許可したくなるPush通知を設計する上で何に気をつければいいのか、既存のアプリのPush通知を参考にして考えていきます。
1.ダウンロード・起動後にPush通知の許可を求めている
ダウンロードしたアプリの起動直後に、Push通知のダイアログを表示して許可を求める導線をよく見かけますが、日常生活で多くのアプリを利用するユーザーにとっては「これ以上通知を増やしたくない」という意識の働き掛けから、許可しないを押されてしまうことが多いと思われます。
何故なら一日の生活で平均20個のアプリを利用していると仮定し、全てのアプリから1日平均5~6個ほどの通知が発生する場合、約100個の通知数がユーザーに対して送られます。可処分時間を無駄に奪うようなPush通知に対しては、ユーザーは無意識に許可に関して過敏になるからと僕は考えています。
2.どんな情報がPush通知で送られるのか分からない
ウォークスルーをアプリの自己紹介と捉えた場合、その前にPush通知のダイアログを表示することは、いきなり見知らぬ人に「君の家に遊びに行っていいかな? 許可してよ!」と言われるのと、ほぼ同じであると僕は考えています。そんなことを言われて、家に招く人は一般的に居ないはずです。(世の中にはそういう人もいるかもしれない...)
Push通知のダイアログをDLした起動直後や、ウォークスルーの前に表示することは、「どんな情報が送られるのか」がユーザーに全く伝わらないため、基本的に避けるのがベストです。
3.情報の質が低かったり、通知の頻度が高い
Push通知の許可をユーザーに押してもらったとしても、情報の質、通知の頻度を考えてユーザーに送る必要があります。例として家計簿アプリのPush通知を参考に考えた場合、入出金の情報を通知で知らせるのは非常に有効です。
ただ上記の画像のように、数分間に同じような内容が連続で通知される場合、一つ一つの情報の違いが分からず、Push通知で送られる情報に対しての質が低いと捉えられ、結果的にPush通知の許可を後で外されてしまう可能性があります。
また通知内容をタップしたら、どこに遷移されるのかをユーザーにイメージさせることも重要です。上記の通知をタップしてどの画面に遷移できるか予想ができますか? 無理矢理DAUを上げるようなPush通知施策も、許可を外されてしまう要因になります。
さて、ここまで紹介した例をもとに、どうすればユーザーが許可したくなるPush通知になるのかを、実際に参考にしたい例を挙げて考えたいと思います。
1.Push通知で送られる情報が直感的に分かる by LIPS
LIPSはPush通知のダイアログを出す前に、モーダルでどんな情報を送るのか、Push通知を許可することでどんなメリットがあるのかを分かりやすく伝えています。
またビジュアル面において、実際にONを押す自身をイメージさせることによって、認知負担の低減と画面が切り変わったときでも、スムーズに許可ボタンを押してもらえるような導線にしています。
2.Push通知の許可を促す導線 by Tinder
仮にユーザーがPush通知のダイアログで許可をしなかった場合でも、よく利用される機能・画面でPush通知の許可導線を配置することは重要です。
その点でTinderは良い例です。マッチングアプリにおいては、相手からのメッセージは重要なリテンション要素の一つです。そのメッセージをすぐに受け取るために、Push通知の許可がOFFになっている状態では、チャット画面の上部にPush通知の許可導線を配置しています。
また文言も、「彼女からメッセージが届いたらすぐわかるように」と書かれているように、Push通知を許可することでどんなメリットがあるのかを、強くユーザーに訴求しています。
3.Push通知の内容をコントロールできる by メルカリ
Push通知を許可してもらった前提で考えた場合、ユーザーがアプリ内で通知の内容をコントロールできるように、通知の設定機能を導入することも大切です。
Push通知の設定機能は比較的多くのアプリが導入していると思いますが、それに加えてメルカリのように、夜間のPush通知を制限するためのヘルプを同じ画面に配置する点は非常に参考になりました。
メルカリは出品や購入、取引間など頻繁に通知が発生するアプリですので、就寝している時間にも多く通知が送られることがあるでしょう。ちょっとしたヘルプでも、ユーザーに対しての体験設計のこだわりを感じます。
まとめ
全体をまとめると、上記の3点を意識して設計することでユーザーが許可したくなるPush通知を設計することが出来るのではないかと考えています。(許可を押してもらって、継続的に利用してもらうことを前提とする)
最後に、目先の数値を上げるために送るPush通知は、長期的にユーザーの離脱を生む原因になり、誰も幸せになりません。当たり前のことですが「このPush通知は本当にユーザーの為になるのか?」を常日頃から考えて、自身もデザインに取り組んでいきます。
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