見出し画像

木賃、銭湯、地方都市。~①~

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が東京はじめ、各大都市に発令されたその日、僕は福島県いわき市に移住した。

それから約1か月。僕はいわき市の中心部、いわき駅がある平地区の築50年のアパートを借り、生活を始めた。

いちおう、風呂付のアパートではあるが、徒歩圏内にいわき市最後の銭湯、仲ノ湯があるので、せっかくだしそこに通って風呂を済ませることにした。

このマガジンは、そんな「時代遅れ」の僕の生活のあれこれを綴っていくマガジンにしたいと考えている。

(基本的に決まった時間に決まったことをやるのがかなり苦手なので、不定期の更新です。)

ネットで見つけた「規格外」の物件

正直、最初はこんな物件は視野にすら入っていなかった。

いわきに来てからしばらく、湯本にある旅館で寝泊まりさせてもらいながら生活をしていた。しかし、その旅館がコロナウイルスの影響で休館になる日が増え、5月は連休を除いて全日休館になってしまった。

いちおう宿泊料金を払っているとはいえ、一流の旅館にサービス価格で泊まらせてもらっていたので、さすがに休館中に僕一人のためだけに部屋を用意してもらうのも申し訳なくなり、いわき市内で賃貸物件を探し始めた。

当初はいわき市周辺にいる同世代の人たちと一戸建てでも借りて、シェアハウスとして住めればなーとも考えていたものの、さすがにいわきに来て一か月で家賃を分担して共同生活を送るような人はそうは見つからない。

そんなわけだから、一人暮らし用のアパートを各物件検索サイトで探すことにした。

かといって通常通りの敷金礼金一か月ずつの物件にすれば、貯金が全くない中で、初期費用だけで自己破産してしまう。だからまずは初期費用ゼロを謳う物件に絞って探し始めた。

敷礼ゼロの物件は意外とたくさんある。しかも、家賃は2万円台からという地方都市ならではの格安物件が並んでいた。「これなら初期費用もないし、行けるな」と思って早速内見をしに不動産屋へ。

しかし、内見の時に受け取った初期費用の見積書には10万円を超えるような数字が…

内訳は、初月と次月の家賃、火災保険、謎の除菌・クリーニング料金など。家賃と保険料が必要なのはわかるが、その他は普通によくわからない。不動産というのはやっぱ黒いビジネスだなぁなんて思った。

数日間そんな感じであれこれ探していたが、10万円の給付金がすぐに手元にわたる雰囲気はないし、どう考えても初期費用で10万円以上払うというのは現実的ではなかった。

半ばあきらめかけていたところ、検索サイトの検索条件を少し広げて探してみると、和式便座で築50年という、普通だったら眼中に入らないような物件が目に留まった。調べてみると、この物件は個人商店と棟続きになっていて、どうも大家さんはこの商店の主人っぽい。

「もしかしたら、ここのご主人にかけあったら不動産屋を介さずに(=初期費用なしで)入居できるのでは?」と考えた僕は、早速不動産屋で鍵だけもらってこの物件の内覧へ。

一通り中を見終わって、「まぁ、住めなくはないな」くらいの感想を得た後、ドキドキしながら、大家さんに「ところで…」と話しかける。

「このアパートって、不動産屋さんを介さないと借りられないですかね…?」

すると、「いや、そんなことないよ。不動産屋だと、余計にいろいろ払わなきゃいけないでしょ。いいよ、おれ、不動産屋には親戚が入居したとかっていっとくから。直接で。」と。

神か?あるいはバカなのか?このおっちゃん…でも超ラッキー!と思い、早速入居の旨を伝え、一週間後には早速入居。


ここから僕のボロアパート生活が始まったのである。

ここから先は

0字

¥ 100

サポートが文章を紡ぐなによりの励みになります…!