【小説】SNSの悪夢
転居のごたごたが収まって新しい家に入る、昔は引っ越しと言えばワクワクしたものだが、今回は何もない。
前の家も実際には余り思い入れは無かった、それでも一緒に住む人が喜んでくれる満足感が自分を満たしていた。
ここに入るのは復讐の為だから、満足も無い、思い入れも無い、何もかも無い、ナイナイ尽くしだ。
淡々と転居の手続きをして家の片づけをする、社長が手伝おうかと言ってきたが、社長も信頼しているわけでは無い。
彼も自分の立場しか考えていなかったんだ、これまでも、これからも自分で考えて処理をしないと。
この世は何処まで行っても1人なのだ、自分の事は自分でするしかない、誰かに頼るのは駄目だ。
自分は信頼して頼ったからこそ裏切られた、勝手に張られたレッテルを剥がすのは難しい。
彼女も信じていたから、不信が募って出て行ったのかも知れない、もうどうでもいい話だが。
信じていると、裏切られた時にダメージが大きい、分っていた筈なのに人間は誰かを信じる。
人間はではなく俺だけなのかな、向かいのマンションから投稿されないか調べながら、中に入って行く人を見る。
朝は早い時間から出て行く人間が多い、大概は早足で何処かに向かう、勤め先だろう、制服ならば学生だと解る。
一応学生も写真を撮って置こう、もしかすると、学生がスーパーで発信ってのも有りうる話だ。
写真を撮ると云うのは、自分の目を人と共有する作業だ、だが今はその目的じゃない、見つける為だけの写真だ、写真も可愛そうだな。
大体の人間の写真を撮る、撮れない人間もいるが完璧にはいかない、写真で確認して照らし合わせていく方法が自分には合っている。
随分、時間の掛る方法だが、確実に解る、SNS で勝手な投稿をした人間以外を裁くつもりは無い。
その人間を罰してやりたいのだ、弁護士に頼めばいいじゃ無いかと言われるかもしれないが、そこでちょっとだけ金を払って終わりにはしたくない。
自分のしたことが、どんな問題を引き起こしたのか、体現して貰わなければ気が済む訳が無い。
こことスーパーどちらでも投稿しているから、ここからスーパーに通っている人間だ。
ここから投稿している日は休みなのだろう、出かける人間全部をチェックしなければ解らない。
仕事が無いからと言って、ぼんやりしているのは性に合わない、出来得る限り追いつめてやる。
マンションを毎日見ていると、月から金迄働いている人間の方が多い事に気付く。
スーパーで仕事をしている人間は、たぶんその範疇には無い、だったら土日の朝にせかせかと仕事に行く人間を見つけ出したらいいんじゃ無いか。
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