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【小暑の養生】五行・五味のお話/昨今の情勢下の「暑邪」対策

小暑。
本来は、
梅雨が明けて本格的に夏になるころの
ことだそう。

暑さと湿度で、
体にダメージが蓄積しやすい時期ですね。

睡眠が足りていないという方も
いらっしゃるのでは。

日々の食事や生活養生で
体のダメージを減らしていきましょう。

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🌈「小暑」の時期の薬膳について、
養生について、
もも子先生に伺います!

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Q. 先生、今の時期のことを教えてください。

7月7日頃が小暑に当たります。
七夕には、願い事を書いた
カラフルな短冊を笹に飾る風習がありますね。

短冊を笹に飾るのは、
江戸時代から始まったそうですよ。

ちなみにこの短冊の色。
もともとは、
「青・赤・黄・白・黒」の
5色だったそうです。

この色、何を表すかわかりますか?


「五行」に由来する色ですよね。


そして、笹は
「まっすぐ育つ」ことから
邪気を祓う植物とされたとか。


邪気を祓い、
五行でバランスをとって、
健やかに夏を過ごしたいですね。

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Q.五行について教えてください


五行学説は、
のちほど紹介するような特性の基準で、
自然のあらゆるものは5つのパターンに帰属し、
同時に自然のものはすべて
この五種の物質が互いに作用しあい、
変化することによって構成されると考える
哲学思想です。

その5つのパターンとは
「木・火・土・金・水」

今までも何回か登場していますね。

これを「五行」といいます。

そして、五行のそれぞれの属性にもとづいて、
臓腑や体の組織、味、自然界のものなどを
幅広く関連づけているのです。


七夕の短冊の色
「青・赤・黄・白・黒」
は、それぞれ、

青=「木」の行

赤=「火」の行

黄=「土」の行

白=「金」の行

黒=「水」の行

に属していますよ。

「五行配当表」も見てみましょう。
(監修者提供)

五行配当表

一番右の列に
「五色」とあり、
青・赤・黄・白・黒がありますね


この表にはありませんが、
「五季」として、
木=春
火=夏
土=土用
金=秋
水=冬
もあります。

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Q.木火土金水についてもう少し教えてください。

木火土金水の
それぞれのイメージを膨らませておきましょう。

「木」の特性=曲直
木が成長する際に、
枝や幹が上や周囲に伸びていく姿から、
「木」は、すくすくとのびやかな
「生長」「成長」「昇発」
の特性を持ちます。

「火」の特性=炎上
炎が上に向き、空気の上昇を引き起こすことから、
「火」は、「炎熱」と「向上」の特性を持ちます。

「土」の特性=稼穡(かしょく)
土が草などを芽生えさせ、育て、
取り入れを助けることから、
「種まき」と「収穫」を意味します。
「土」は受け入れて納める「受納」や、
成長と変化の意の「生化」の特徴を持ちます。

「金」の特性=従革
変革、規範に従順に改めるという意の
「従革」という言葉が当てられています。
イメージは金属。
「清潔」「清涼」「粛清」、
「収斂(しゅうれん)」といった言葉が
キーワードです。

「水」の特性=潤下
「潤下」とは潤し、下へ向かうことを意味します。
「水」は渇きを潤す「滋順」と、
下へ向かって流れる「下行」、
冷たい様子の「寒涼」の特性を持ちます。


今はそれぞれのキーワードをなんとなく
頭に入れておくだけでも良いですよ😊

Q.木火土金水は、お互いに関連しているのでしたよね。

そうですね。
五行は、下の図のように、
互いに影響を与え合っている関係があります。

五行の相生相剋図(監修者提供)

スクリーンショット 2021-03-17 16.41.23

                                               「相生関係」の赤い矢印を見てみましょう。
「木」が燃えて「火」が生まれます。
「火」で生じた灰が「土」を養います。
これが、「促進する」関係です。

一方、「相克関係」の青い矢印を見てみましょう。
「木」は「土」から養分を取ります。
「土」は「水」の流れを弱めます。
これが「抑制する」関係です。

Q.うーん。ちょっと混乱してきましたが。

今は、イメージだけ頭に入れておきましょう。

それぞれの季節にあわせて、
また解説していきますね。


Q.そういえば春は、「木」の行に注目しましたよね。

そうですね。

春は、「肝」が活発に働く時期でしたね。

「木」はイメージどおり、

体をのびのびと動かして、
冬にためこんだものを発散させることが
大切でした。
心ものびやかに過ごし、
ストレスをためないようにとお伝えしましたね。

Q.今は夏だから、「火」の行に注目すれば良いのでしょうか。

おっしゃる通り、
夏は「火」の行に注目しますが、
日本の夏は湿度の高い時期でもありますね。

「湿」が含まれているのは、
「土」の行。

今の時期は、
「火」の行に加え、
「土」の行にも注目しましょう。

Q.前回は、土の行に属する
「湿」と脾胃の関係について教えていただきました。

湿と脾胃は、「土」の行に属します。

消化吸収を司る脾胃は、
「湿」に弱い、とお伝えしました。

また、脾胃の不調は、
口、唇、肌に出てくることも前回お話しましたね。

▶前回の記事


Q.同じ「土」の行の「五味」の列に、
「甘」がありますね。
もしかして、甘い味のものは、脾胃に良いのでしょうか?


するどいですね😊

「五味」に注目してみましょう。

五味というのは、
食材の味を五行に基づいて5種類に分類したものです。

五味とは、
「酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(しおからみ)」の5つ。
加えて「淡味」も覚えておくとよいでしょう。

単純に舌に感じる味だけで
5つに分けられているのではなくて、
その味が持つ機能によっても分けられているという
ことを、頭に入れておいてくださいね。

五味は下のような特徴がありますよ。

酸味(木の行)
引き締める、固めるなどの作用がある。
唾液の分泌を促したり、汗を鎮める。
<うめ、あんず、ざくろなど>

苦味(火の行)
排泄作用があり、体の余分な水分を取り除く。
便秘、むくみの解消や、咳を鎮めるのに役立つ。
熱を取る作用も。
<にがうり、レタス、緑茶など>

甘味(土の行)
「脾胃」の働きを補う。
虚弱体質の改善や、痛みを和らげる作用がある。
<米、大豆、はちみつ、かぼちゃなど>

辛味(金の行)
「気」「血」をめぐらせて発汗作用を促す。
汗によって、体に悪影響を与える「寒」「暑」「湿」などを体の外に出す。<しょうが、こしょう、とうがらしなど>

鹹味(水の行)
堅い物を和らげたり、堅く結んだものを散らしたりする作用。
便秘や腫れの改善に役立つ。
<のり、こんぶ、くらげ、塩など>

淡味
味のないもの。利尿作用があり、体内の水分代謝を調整する。
むくみ、下痢に役立つ。
<はと麦、とうがん、きゅうりなど>


土の行に属する
甘味には、脾胃の働きを助ける作用がある
のがわかりますね

火の行に属する
苦味には、熱を取る作用や、
排泄作用がある
のがわかります。
これらの作用は、
夏の暑い時期に必要なもの、という
イメージがわくでしょうか😊

苦味は、夏に活発に働く五臓「心」の
働きを助ける作用もありますよ。


Q.五行や五味の関連を知るほど、
食材の味や性質を知ることが
大切なんだなと思います。

そうですね。

食材の味や性質は、この連載の有料部分でも
触れていますが、自分で調べられたら
ふだんの生活にもっと活かせます。

こういう本もありますので、
1冊持っていると、大変便利ですよ。


Q. 今の時期の養生のポイントを教えていただけますか?

今の時期の気候は、
「熱」と「湿」が同時に現れる「暑」

体に悪い影響を与える「暑」を
「暑邪」といいます。

暑邪は、
夏に働く「心(しん)」を傷つけ、
その働きを弱らせてしまいます。

さらに、体の元気のエネルギー(陽気)を
消耗させたり、

汗を大量にかくことで
水(津液)も消耗させるので、

疲労感、動機や息切れ、
なんだか精神的に落ち着かない
といった症状が出やすくなります。


「湿」を排除する対策が、
食事・衣服・住居のそれぞれで必要になりますね。

昨今の自粛生活で一番変わったことは
行動範囲が縮小されて
「動く」ことが7〜8割ほど減ったことです。

この動かない事により、
次のようなことが体の中で起こっています。

【1】気、血、津液の巡りが悪くなる。 

【2】筋肉の減少

【3】五臓六腑の機能低下

【4】汗をかかない

【5】マスクによる酸素の供給不足

【6】関節のこわばり

【7】メンタルの低下(やる気が出ない・不安・不眠)

主にこれらのことが起きていると
考えられます。

夏の「気」は、
天の気も地の気も強くお互いに交わります。

この「夏の気」に逆らわないように体をよく動かすことで、
体の「気・血・津液」を順調に巡らせ、
体内の余分な熱・湿・邪気を「汗」から出すようにすることが
大切になってきますよ。

また、自分の体力にあった運動をして
「筋・筋肉」を柔軟にし
「骨」を強くすることを意識したいところです。

夏は、体のあらゆるところを動かし、
外に発散することが自然の道理にかなうのですよ🍀

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Q.具体的なことを、もうちょっと教えてください。

夏の夜は暑くて眠れないこともありますよね。
そのようなときや、
疲れを感じるときはためらわずに午睡を取りましょう。

午睡では、30~40分を目安にとることもおすすめです。
寝る前にお茶・コーヒーなどをとると
午睡の目覚めがいいという研究もありますよ。

睡眠不足が続くと
夏の臓「心」に負担をかけます。

夏は、汗で津液や「気(陽気)」を消耗するので、
朝の散歩・深呼吸・季節の野菜・果物から
それらの補給を行う
必要がありますよ。

自分の体とよく向き合い、
過不足をなるべく補うようにすることで
体の健康を維持することができるのです。

<参考文献>
増補新板 薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖(西東社)

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