わすれたり思い出したりわすれられなかったり
23時すぎにマンションのエントランスからきこえる父の咳払いで毎晩目を覚ましていた。父はお酒を飲んで帰宅すると、いつもマンションの敷地に入ると大きな声をあげた。ばかやろう、このやろう、あのやろう、となんの意味も持たない言葉を怒鳴りながら自宅へ続く階段をあがってきた。こわいのとはずかしいのとで、夜がだいきらいだった。
そのせいか、わたしはお酒を飲んで怒るひとがとても苦手だ。そして、今でもねむるのがヘタだ。夜と怒鳴り声をセットでからだがおぼえているのかもしれない。(ただの体質かも