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飛鳥寺へゆく

2018年12月。京都奈良の旅4日目。いよいよ旅の最終目的地である明日香村だ。早起きしてゆっくりとバイキングの朝食を摂る。おかわり自由、朝のカレーが美味い。このあと茶粥と奈良漬けバージョンでもう一度同じ量のおかわりをした。

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朝の8時過ぎにホテルを出発。昼から本格的な雨予報のため、明日香村ではバスを使うか、レンタサイクルを使うかの判断に迷っていた。

奈良駅から明日香村へはいくつかルートがあるが、時間帯の関係で奈良駅から乗車よりも、ホテルから新大宮駅まで歩き、大和西大寺駅で乗り換え、橿原神宮前駅を目指すことにした。再度、読めない漢字「橿原(かしはら)」の登場だ。

新大宮駅までは20分弱を歩く。たっぷりと摂った朝食のおかげもあり、程よい運動だ。知らない街を歩き、知らない駅を使うのは本当に楽しい。新大宮駅から大和西大寺駅へ向かう途中、進行方向右側の車窓から、平城宮跡の公園と復元された建物を眺めることができた。乗換駅である大和西大寺駅は大阪や三重方面とのアクセスできるようだ。

徒歩の時間と乗り換えのタイミングもあり、奈良から1時間半ほどで橿原神宮前に到着。橿原神宮とは反対側の改札を抜ける。橿原神宮といえば明治時代に建てられ、初代天皇の神武天皇が祀られている。思うに古代の日本について、古事記や日本書紀などの記紀神話と実際に起きた歴史を切り分けて考えたいのだが、これがなかなか難しい。これは西洋文化で聖書を歴史として教えていることとおなじ問題だ。

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駅の窓口でかめばす周遊「明日香周遊バス一日フリー乗車券(650円)」を購入し、バスロータリーのバス停で待つことにした。気温は3度、じっとしていると寒くて震えてくる。空を見上げると雲行きがすでに怪しく、レンタサイクルはやめることにした。

乗車券と一緒にもらったパンフレットで出発時間を確認すると、1時間に2本でているようだ。しかし時間を過ぎても目的のバスが来ない。おかしい、待てども来ないのだ。

他のバスの運転手に確認すると、バス停はあっているとのこと。再度、パンフレットを読んでみると、観光シーズン以外は1時間に1本の運行云々という記述を見つけてしまった・・・。雲行きは怪しく、午後以降は確実に雨、すでに風は強め、周遊バスは各バス停で1時間に1本。ということで、大幅な計画の変更を余儀なくされた。

本来であれば橿原を出発し、飛鳥駅そばのキトラ古墳まで文字通り周遊する予定だったが、大本命の石舞台古墳を最優先とし、その途中は飛鳥寺のみを探索することにした。キトラは次回にしよう。そのときは可能なら、明日香の先の吉野まで足を伸ばしたい。

ようやく到着した周遊バスの乗客はわたしひとり。出発前に気さくな運転手さんに観光スポットについていろいろと話を聞いた。

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天候の変化が著しく、写真を撮ろうとすると太陽が降り注ぐ明日香ミステリーに助けられる。この飛鳥寺は今から1400年前に日本で初めて仏教を広めた蘇我馬子が創建した日本最古の寺院である。

静かに門をくぐり、受付で拝観料350円を納める。本堂に案内されたら、住職が直々に飛鳥寺の歴史を解説してくれた。わたしも質問し住職が答える一対一の真剣で有意義な時間だった。

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かつての時代に、シルクロードがここまで繋がっていたとは大いなる歴史ロマンである。

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これが日本最古の飛鳥大仏、釈迦如来像だ。住職の許可を得て撮影。創建当時の石台から現代まで座ったままだ。国宝ではなく重要文化財に指定されている。

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平安時代、鎌倉時代の焼失により雨ざらしになっても、近隣の住民に大切に保護されていたとのこと。大部分が修復されているとはいえ、頭部は創建当時のままなのだ。口元の微笑みが世にいうアルカイック・スマイルだ。ちなみにアルカイックス・マイルの歴史は紀元前の古代ギリシャまで遡ることができる。すなわちシルクロードにより伝わったといえよう。

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はたして聖徳太子は実在したのか、しなかったのか。

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拝観ルートでは、この他にも発掘された遺跡・遺物をみることができる。

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のどかな風景だ。ほとんど当時と変わらないのかもしれない。

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五輪塔の蘇我入鹿の首塚。綺麗な花が備えられていた。周りは田んぼと畑。すぐ隣の畑で年配のお姉さまたちが談笑していた。一説では、この場所で蘇我入鹿が殺されたという。後世まで悪名を残し伝えられた蘇我入鹿。しかし歴史とは常に勝者によって書き記されたものである。物部氏、蘇我氏、藤原氏、どれも血に濡れた一族の歴史を見つけ出すことは難しくはない。

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飛鳥寺では30分の滞在だった。次のバスまで30分。寒い。冷たい風をさけつつ、空を眺める。まずい、水をたっぷり吸った灰色の雲が増えてきた。次は最終目的地の石舞台古墳。できることならば、青空を背景に石舞台古墳の写真を撮りたい。それがこの旅の最後の願いだ。



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