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信州ブレイブウォリアーズ プレシーズンマッチ振り返りvsモービスフィバス戦

はじめに


どうも皆さん、砂漠のひろしです。
今回は、9/7の試合に引き続き9/14にことぶきアリーナ千曲で行われたKBL所属のモービスフィバスとの試合の振り返りをしたいと思います。

1Q ヒューみたいなショーン・ロングを守れる日本人ビックマン他に、いますかっていねーか、はは


スターターは佐久での試合と同じ
ドンリー、石川、チェンバース、ウッドベリー、マーシャルの5人。

石川の先発起用と、ビュフォードが控えから出てくるのはやはり、PG登録が石川のみというところを踏まえての起用でしょう。

島根では先発のイメージがあるビュフォードですが、1年目は44試合中40試合。2年目は50試合中27試合がベンチからの起用と、シックスマン適正は高い選手でした。

本人もインタビューで、「自分がチームに合わせる」といった発言をしていた様に、信州に足りない部分を補う事を重視しているのかもしれません。
後述しますが、それはスリーポイントシュートのアテンプトにも表れていると思っています。

さて、試合は佐久での試合と同様に、序盤は相手が先行する展開になりましたが、前回の試合では3得点だった石川が1本目のスリーをヒットさせたり、ウッドベリーが相変わらず好調なスリーを決める等、徐々に盛り返します。
そんな中、試合時間6:44で渡邉がコートイン。

信州の地では初めての出場となり、歓声も一段と大きく上がりました。
やはり、記憶に残るのはパリの地でゴベアをブロックしたプレイ。
最初のディフェンスポゼッションででいきなり1本記録すると、極めつけは昨季まで大阪に所属していたショーン・ロングをブロック。

しかもこれは他の選手のヘルプに頼らずに、1人で止め切りました。
そんなロングはこの後、フラストレーションを溜めファウルトラブルに。
ノリに乗った石川のこのQ3本目のスリーでリードを拡げた信州は去年までの得点力不足が嘘のように25得点を積み上げました。

2Q 見せておくって大事だよね


スタートは小玉、石川、栗原、三ツ井、マーシャルの5人。
外国籍はマーシャルのみのラインナップでスタートしました。

この辺りは、ビュフォードとウッドベリーを休ませたい所と、渡邉は怪我明けという事でおそらくプレイタイムに制限があったことが考えられます。

後は、あくまでも調整試合というところで色々なラインナップを試したかったというところでしょう。

このQではベンチ入りした10人全員が出場しました。
さて、試合で触れたい部分ではこのQも26得点と積み上げましたが、実はスリーポイントシュートは2/7と決まっていませんでした。

そんな中でもスリー以外で20得点取ってました。

ペイントエリアからの得点は8/10と高確率で決まり、フリースローも4/5と精度よく決まっていました。

ビュフォード→渡邉へのアリウープ未遂となったプレイですが、ここが大きなポイントだったと思います。

ビュフォードと渡邊のP&Rで相手は最初、スイッチで守っていました。

それを察知したビュフォードは浮かしたパスを渡邉に渡すと、ミスマッチを活かして得点。

次のプレイではモービスフィバスはスイッチを止めつつも、相手ビックマンはビュフォードとの距離を詰めて守っていました。それに対してビュフォードは今度は更に上を通すロブパスを選択。惜しくもファウルを受けて決め切れませんでしたが、相手に「アリウープもあるよ?」と見せつけました。

さて、次のプレイでモービスフィバスはどう守ったかというと、ビュフォードのドライブに対して先ほどのアリウープのプレイ脳裏に残っていたのでしょう、ビックマンが前に出れませんでした。

そうなるとビュフォードも簡単で、フローター気味のシュートで難なく得点を挙げました。

そんな中で、2人のP&Rを警戒していたら、オフィシャルタイムアウト前のプレイではウッドベリーがビュフォードのドライブに合わせてカッティング。ビュフォードもそこに冷静に合わせて、イージーバスケットを演出しました。

佐久での試合でもカッティングは多くみられましたし、マーシャルとのP&Rも強力でしたが、如何せん膝に爆弾を抱えるマーシャルに空中戦をやれと言うのは酷な話。

そんな中で、渡邉とのコンビは空中戦も選択肢にあり、ビュフォード自身の引き出しの多さも相まって、ビ相手には脅威だったと思います。

ちなみに、このQで落としたペイントエリアからのシュートですが、マーシャルのダンクミスと2Qラストのビュフォードのドライブです。
マーシャルは完全フリーでしたし、ビュフォードのシュートミスもマーシャルがフォローして得点していましたので、殆ど苦しいシュートが無かったとも言えます。

3Q ファウルトラブルの答え


2Qでは20点リードまで広げたものの、ミスから詰められつつも始まった3Q。
いきなりウッドベリーのスリーが炸裂しましたが、点差はリードしつつも劣勢の展開に。

理由は単純で、復活したロングのアタックが止められなかった事。
1Qこそ渡邊のディフェンスに頭に血が上っていた感のあるロングでしたが、ハーフタイムで落ち着きを取り戻したのでしょう。

強烈なインサイドアタックだけでなく、リバウンド争いでも後手に回った信州は数少ないインサイドプレイヤーの渡邊とマーシャルが2つずつファウルを宣告されました。

そもそもコートに出せない渡邉と、強く当たれないマーシャル。
そうなるとリバウンド争いに敗れ続け、なんとこのQモービスフィバスに9つのオフェンスリバウンドを許しました
しかも、リバウンド争いでファウルを犯すなど、数字以上にリバウンド争いでは劣勢でした。

事実、このQのモービスフィバスのオフェンスリバウンド獲得率は75%と異次元の数字を記録しました。

さて、そんな劣勢の場面を切り開いてくれたのはビュフォード、チェンバース、ウッドベリーという新加入選手。

ここまで味方を使う展開が多かったビュフォードですが、明らかに自分が点を取りに行きました。そして実際に取り切ってしまう能力の高さ。

チェンバースもサイドラインからのスローインでからの流れでエンドワンをもぎ取ってきてくれましたが、実はこれは狙ったプレイではなかったと思います。
本来はビュフォードに持たせたかったが、モービスフィバスのディフェンスも読んでおり、ボールを出せない。
5秒バイオレーションを取られそうになったから仕方がなく出したパスでしたが、ビュフォードにボールを渡したくない為、そちらに人を集めすぎた結果、インサイドが手薄に。
底を見逃さなかったチェンバースはすぐさまドライブを選択し、苦しい時間帯に得点を挙げてくれました。

そして、ウッドベリーはここでも持ち前の得点力を発揮して8得点。特に注目したいのは、ドライブで得点を挙げた場面。
それまでのスリーポイントシュートを多投してきたのがモービスフィバスサイドには頭にあったのか、ドライブから得点を記録。
このQもスリーポイントシュートは2/8と全く決まらず、しかもその2本はウッドベリーの開始直後と、終了間際のスリーと苦しいQでした。

ファウルトラブルに苦しみ、スリーポイントシュートでも苦しむ。そんな中でもリードを奪えたのは、シーズンを見据えても大きなQだったと思います。

4Q いつでもどこでも小玉大智


リードしているとはいえ14点。しかも、3Q終了間際にマーシャルも個人ファウル4つ目を宣告され、渡邊も4つと苦しい時間は続きます。

ここでインサイドで起用されたのは小玉。

マッチアップするロングとの身長差は実に23cm。大人と子供がマッチしているような身長差です。
味方のヘルプがありつつも、守れる事を示した事。
そして、試合の流れによっては相手ボールハンドラーにもマッチアップする場面がありました。
いわゆる、1番から5番まで彼はこの試合でマッチアップするオールラウンダー性を見せつけました。
その上で、このQで8得点とオフェンス面でも存在感を出しました。
スリーポイントシュート3/3という数字、そしてドライブからのフィニッシュとオフの成果が存分に発揮した試合だったと思います。

選手ごとのスタッツ&雑感


前回の様に、個人スタッツと採点をしていきます。
なお、Xでは先出しで公開していますが、詳細スタッツや文字数の都合で書ききれなかった雑感も書いていきます。

ビュフォード 採点:6.5 この試合のMVPに選出
出場時間、20:38
13得点(IP:5/6、OP、0/1、FT:3/4)
8リバウンド(DR:8)
7アシスト
1スティール
5ターンオーバー
1ファウル
4ファウルドローン
+/-:24

リバウンドを獲得し、そのままボールを持ち込んでゴールを決めてくる「コースト・トゥ・コースト」を決めたように、オフェンスを自己完結できる能力がありながら、まわりを活かして7アシストを記録。
シュートが決まらなかった為、アシストが付いていないが完全フリーを演出するシーンもあったので、シーズン通して考えるこの展開力は魅力。

プレシーズン2試合では1本もスリーポイントシュートのアテンプトが無かったが、チーム全体で見た時に佐久での試合では25本。この試合では31本と、昨シーズンの30本に近い試投数は保っています。

どちらかというと、ペイントエリアで点を取ってくるプレイや、ドライブから相手ディフェンスを収縮させるプレイが昨シーズンの信州には足りていなかったのを考えると、スリーポイントシュートよりインサイドでのプレイを重視しているのはビュフォードが「チームに合わせてくれている」要素だと思います。
自分が決めれそうな場面でもパスを選択するのは、チームに合わせる中でも「俺はこういうプレイヤー」だというのを味方に伝えているのかなーと思っています。
この日はほぼ20分の出場でしたが、シーズンが進んで25本程度プレイタイムを与えたらトリプルダブルを何度も記録してくれそうな予感のプレシーズンマッチでした。

ドンリー 採点:6.0
出場時間、25:04
4得点(IP:2/4、3P、0/2)
4リバウンド(OR:1、DR:3)
1アシスト
1ターンオーバー
2ファウル
1ファウルドローン
+/-:9

日本人選手ではチーム最長の出場時間を確保。
その理由はやはりハンドラーからインサイドまで全てこなせるオールラウンダー性が大きいと再認識。
ボールキャリーに手こずったり、ペネトレイトの部分で苦戦しましたが、トータルでは石川、ビュフォードの補助的ハンドラーとしては及第点だと思います。(メインだとまだしんどいかなーという印象)
出来ればスリーを1本と思いますが、少ないシュートアテンプトの中で、4得点を挙げた事と、インサイド陣がファウルトラブルの中で4リバウンドは助かりました。

小玉 採点:6.5
出場時間、21:16
11得点(IP:1/2、3P、3/3)
2リバウンド(OR:1、DR:1)
1アシスト
1ターンオーバー
4ファウル
+/-:22

個人的MVPはビュフォードでしたが、この2試合の活躍はまさにMVPクラスの働きでした。
前回の試合でも、オフェンスリバウンドを取って、そのまま自分でシュートを狙った場面を取り上げましたが、この試合でもドライブからインサイドで得点を挙げてきたのは好印象。
この試合では3/3、2試合トータルでは5/8とオフに練習してきた成果を存分に発揮してくれました。
おそらく、日本人選手の中でマイケルHCに相当信頼されているんじゃないかと思います。

石川 採点:6.0
出場時間、17:49
13得点(IP:1/2、3P、3/5、FT:2/2)
1リバウンド(DR:1)
3アシスト
2スティール
2ターンオーバー
1ファウル
2ファウルドローン
+/-:-12

1Qだけで11得点を記録。劣勢で始まったゲームで輝いていました。
今シーズン、ウイングプレイヤーが充実していて、かつマルチに起用できる中で、割を食らうのは案外、石川じゃないかと思う試合でした。

ただ、その中でもPGとしての役割は無難にこなしていたと思いますし、ビュフォードと同時起用の時間でも変にビュフォードに遠慮するのではなく、調子が良いと見るや自分のシュートを選択する心意気は、エースガードの意地だと思います。

栗原 採点:6.0
出場時間、18:26
6得点(IP:2/2、OP:0/1、3P、0/3、FT:2/2)
1リバウンド(DR:1)
3アシスト
1スティール
1ファウルドローン
+/-:14

生で試合を観ている時は「うーん…」って評価でしたが、見返すと「あ、普通に良かったわ」となりました。
シュート確率の低さは気になりますが、OP1本と、スリー1本はショットクロックが残り少ない中でのシュートでしたので仕方がない部分があります。

まあ、その他の2本のスリーはフリー気味でしたので、決めて欲しいですがコンディションが上がってくれば問題ないでしょう。

特に好印象だったのは、ディフェンスの立ち位置。

3Q~4Qにかけて、ビックマンのファウルトラブルで苦しんでいた時に、相手外国籍に入れられるボールをスティールしたり、他の選手がダブルチームに行った時に、空いたスペースを埋めたりという数字に残らない部分でのディフェンスが良かったと思います。

チェンバース 採点:6.0
出場時間、24:35
5得点(IP:1/2、3P、1/4、FT:0/1)
3リバウンド(OR:1、DR:2)
1アシスト
1ターンオーバー
1ファウル
1ファウルドローン
+/-:3

本人的にはもっとシュートを打ちたいんでしょうけど、チームの為に我慢してくれている印象。
栗原のところで上げたように、彼もディフェンスの立ち位置やヘルプの判断が抜群でした。
昨シーズンの選手も、1対1は上手く守れたりする中で、ヘルプの判断が…というところもありましたが、彼はその辺りの判断が上手な印象です。
苦しい時間帯に決めたエンドワンも高評価のポイント。

ウッドベリー 採点:6.5
出場時間:26:31
20得点(IP:2/2、OP:0/1、3P、5/12、FT:1/2)
4リバウンド(DR:4)
5アシスト
1スティール
4ターンオーバー
2ファウル
2ファウルドローン
+/-:17

2試合続けてのスコアリーダー。
地味にチーム最長のプレイ時間と、最多のシュートアテンプトを記録。
ディフェンスも苦手なりにこなそうとする姿勢は好印象。

彼については、10点取られても良いから20点取ってこいってタイプなので、そういった意味ではここまでディフェンスを頑張ってくれるのは嬉しい誤算。(というより、マイケルHCがそうさせるんだろうなと)

三ツ井 採点:5.5
出場時間:10:18
2ファウル
+/-:-11
スタッツを集計していて思った事は、とにかくボールに絡まない。
それはチーム戦術の兼ね合いもあるので、そこまで言及する事ではないですが、このままでは小玉に役割を全て奪われかねないと思います。
信州生え抜きとして、奮起に期待しましょう。

渡邉 採点:6.0
出場時間:16:54
9得点(IP:2/3、FT:5/5)
2リバウンド(OR:1、DR:1)
2ブロック
5ファウル
3ファウルドローン
+/-:18

良かったと部分と伸びしろを感じる試合でした。
良かったところは、ブロックやアリウープを見せたように、高さでは外国籍を相手にして見劣りしない部分。
伸びしろは、フィジカルで来られるとどうしてもファウルが嵩む部分。
外国籍選手枠を2つ、ウイングタイプに割いている以上、渡邉や狩野といった日本人ビックマンにかかる期待は大きいので、成長して欲しい部分ですね。

ただ、日本人ビックマンの±ってどうしても赤字になりやすい中で、黒字収支を記録するのはやはり、日本人ビックマンの中では飛びぬけた存在だと思います。

マーシャル 採点:6.0
出場時間:18:29
10得点(IP:5/7、3P:0/2)
5リバウンド(OR:3、DR:2)
1ターンオーバー
4ファウル
1ファウルドローン
+/-:-4

ペイントエリアでの得点力は相変わらずも、この試合ではファウルトラブルに苦しみました。
渡邉、狩野、マーシャルという今シーズンのビックマンの編成上、マーシャルがファウルトラブルになるのは、大変よろしくない事態です。
怪我もそうですし、ファウルマネジメントもそうですが、出来るだけコートに立ち続けて欲しい所です。

ツインフォワード


配信でも解説の崇人さんが、強力なフォワードを2人起用する事がトレンドになりつつあるとおっしゃてました。

NBAで言えば今季チャンピオンチームのボストンセルティックス
ジェイソン・テイタムジェイレン・ブラウンという強力なウイングプレイヤーを主軸に優勝を成し遂げました。(まあ、ここはスタメンだけでなく、ベンチプレイヤーも強烈なのでツインフォワードだけが優勝の要因ではないと思いますが…)

或いは、ハーデンが加入する前のロサンゼルスクリッパーズ
稀代のスコアラーのポール・ジョージと、驚異のディフェンス力を誇るカワイ・レナードを主軸としていました。

そして、躍進著しかったオーランドマジック
成長著しいバンケロワグナーをエースに据え、2019-20シーズン以来のプレイオフに進出しました。

外国籍のウイングプレイヤーが増えつつある日本のBリーグでも、信州の様に振り切ったチームは中々ありません。
ビュフォードの登録はSF。ウッドベリーはSF/PF登録ですが、過去にはSG/SF登録されていた選手です。

この試合でも
ビュフォード
ドンリー
チェンバース
ウッドベリー
渡邉
という時間帯がありました。

外国籍ウイングプレイヤー2人の起用で、手薄になってしまうインサイドは、渡邉の高さで強度を維持しつつ、短時間なら4番も務められるドンリーでケアをする。

そのかわりに、攻撃では強力なウイングマンで主導権を握りにかかる時間がありました。

ビュフォートとウッドベリーという共にボールを持ちたがる組み合わせが懸念していた部分でしたが、2試合見たところで思ったのは持ちたがりではあるんですが、その特性は分かれています。

ビュフォードは自分が点を取るのを目的としていません。周りを使う中で、結果的に点を取れればいいという考え方。

それに対しウッドベリーはこのチームでは、自分がシュートを打つ事を最優先にするという考え方。

そして、ペネトレイト(ペイントエリアにアタックするプレイ)を好むビュフォードと、アウトサイドのシュートを主体とするウッドベリー。

となると必然、ビュフォードのアタックから、ウッドベリーのスリーポイントシュートという展開が増えていきます。

ディフェンスではライジングゼファー福岡のような強力なインサイドをどう止めるか、というのは課題として残りますが、オフェンスでは効率よく点を取れるのではないでしょうか。

スタッツまとめ

1Q

石川劇場の1Q。ヒューの2ブロックも熱かった

2Q

ペイントインザペイントが80%というのは中々見た事ないなあ、と

3Q

実はペイントエリアから100%で決めていた3Q

4Q

小玉の8得点が光り輝く。

トータル

シュート成功率の高さが際立つ

さいごに


この2試合はオンザコート1のKBLチームとの対戦でした。
週末の天皇杯では、リーグ戦第2節で対戦する愛媛が相手です。
ビュフォードが出場するかか微妙な所ではありますが、オンザコート2の相手にどう戦るか、注目ですね。

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