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ゲームデザイナー Saashi の仕事部屋〜2020年7月前半

Saashi & Saashi(サアシ・アンド・サアシ)のSaashiです。今回は2020年7月前半の何日かの分。YouTubeで定期的にライブ放送する『深夜のジレンマラジオ』を始めたり、家から出る用事もあったり、テストプレイもしたりで過ぎて行った日々でした。この時期は雨も多かったですね。

「ゲームデザイナーSaashi の仕事部屋」シリーズについて
京都でアナログゲームを作っているんですが、手書きで日記書くのがだいたい滞って記録が記録にならないので、noteで綴ってみようかと思い、書き始めてみてるシリーズがこちらです。半月に一度くらいで載せてます。
ただ、わりと忙しくしている気がしているわりに、特に変わり映えしないので地味すぎる日常ですが、自分の備忘録的に書いています。全日の日記でもないし、その時思ったこと書くだけの日とかもありそうですが、「こういう人もいるのだな」と気楽な感じでお目通しいただけると幸いです。

7月前半某日

なんと3ヶ月ぶりに髪を切った。自粛期間ということもあったが、予約を取り損ねたりしていて、ようやく。本来、美容院は好きで、自分にとってはそこに滞在する時間だけは仕事のことを忘れられたり、心底リラックスできる場所のひとつになっているので、月一回は行きたいものなのに3ヶ月ぶりになってしまっていたのだ。さっぱりしてから貴子さんと河原町三条のほうへ戻り、タンサン朝戸さんとHOXの秀島さんと会う。みな京都在住。朝戸さんとはなぜかここ1週間で5日くらい会っている気がする。

秀島さんとは数ヶ月ぶりなので、会ってなかった期間のことや、今後のことなどについて話してるとあっという間に帰る時間に。帰宅後、『コーヒーロースター』の国際輸送の件で現地工場にメールしたり、読書したり。

日をまたいでから気がついたのだが、この日が15回目の結婚記念日だった。こういう記念日的なものにあまり価値を見出していない2人なので、いつも毎年必ず祝うことも意識することも忘れているのだが、今年は奇跡的に6月末に思い出したのにもかかわらず、当日になると2人してきっちり忘れていたのだ。まあ、いつも通りということで。

7月前半某日

起きてすぐカフェ・ヴェルディでブランチ。

集荷時間に間に合うようにすぐ戻って荷物を出す。催促のあったアジアの出版社に返信を書いたり(変なフォルダーに紛れ込んで返信が本当に遅くなってしまった)。

そうこうしている内に海外の倉庫でちょっとしたトラブルが発覚して、その原因究明のための連絡で忙殺される。数時間が飛んでしまったが、まだ原因はわからぬまま、明日以降へ続く。

今日から始めることになったYouTubeのゲームトークラジオ『深夜のジレンマラジオ』のキービジュアルを朝戸さんが作成してくれた。すごいものだ。

2人で始めることになったのは、前々から「YouTubeでゲームのこと話すものやりたいよね」と時々に話していたことと、先日のゲムマライブ期間にテレゲーム研究所が行なっていた「 36時間ボドゲ生テレビ!」で朝戸さんが担当した『深夜のジレンマラジオ』(デザイン篇とアート篇)がとてもおもしろかったと朝戸さんに手応えがあったこと、その後、朝戸さんとぼくとで行なった『ゲムマライブレポート(副音声)』の延長で、独立した定期の番組として放送していくことをそろそろ始めてみようかということになったのがきっかけでした。

しかし『深夜のジレンマラジオ』第1回となった当日は、放送直前にちょっとあり深夜のジレンマラジオ』の新ページでは放送することができなくて、初回ではなく第0回(プレ回)としてテレゲーム研究所さんのところを間借りして行なうことになりましたが、どうにか配信できました。

プレスタート回のアーカイブはこちらでご覧いただけます。また次回以降の通常回は深夜のジレンマラジオ』のページで視聴できるようにしていく方針です。

わりと急な告知だったにも関わらず、視聴してくださった方々がいてホッとしたり、お便りで質問などもお寄せいただいたり、チャットにメッセージいただけたりして、そういうやりとりがあるのは大変嬉しいものですね。相互に作用している感じが夜のラジオっぽくて素敵でした。

毎週木曜夜にライブで放送していくつもりですが、まだ探り探りでいろいろ試しているところです。今後どういうふうに変わっていくかわからないなりに、深夜にのんびり聴けるものにしていければと考えていて、しばらくは続けていくつもりですので、よろしくお願いします。

7月前半某日

昨日から引き続き海外の倉庫の件で連絡が猛烈に面倒くさい確認つづく。

ポーランドの工場から『コーヒーロースター 欧州エディション日本語版』のセカンドプリントが無事ピックアップされたとのこと。つまり発送完了。船便なので日本に入港予定は8月末です。

7月前半某日

雨の日。いつものゲームの会で今回は旧版の『メンバーズオンリー』を遊ばせていただいた。凄まじくおもしろい。ルールはシンプルでインタラクションに富み、旧版のアートはしっとりとしていて落ち着いていながら、あるべき要素はすべてある。木の駒も大きくて重量感があり、そのサイズに合わせてボードも大きくて迫力がある。これぞボードゲームといった趣き。こういったコンポーネントから得られる情緒もゲームの魅力だなぁと再確認。

メンバーズオンリー

さて内容は、神がかり的に楽しんだのだったが、あとでひとつルールのミスがわかった。とはいえ、あの神がかり的な楽しさは、その間違っていたほうのルールだから成り立ったという気もする。もちろん、遊んだメンバーの良さも大きい。ルールについてはその検証のためにも再戦せねばなので、今から楽しみ。

その他にもいろいろ新旧のゲームを楽しんだあとごはん、別場所に別用で来ていた貴子さんと合流してバスで帰宅。

夜にメール数件。noteも少し書く。

7月前半某日

雨が続く日。来週、父の法事で大阪の母の家に行く予定になっているので、今週のうちにできることをしようと思っていた矢先、パソコンのOSバージョンあげたら不具合続出で問題解決までに数時間ロスが痛い。ひたすら復旧に努める。この日はほぼそれで消耗する。

夜は読書。深夜にひとりで部屋でコーヒーを飲む時は、ジャズを聴きつつ本を読むか、考えごとをするのだが、今日はしとしと雨音が心地よかったので雨の音を聴きつつ考察。

その後、アイデアの考察時間に関する文章をnoteに書いた。まだいつ公開するのか決めていない。noteの文章というのは、書いたあと、いつアップしたらいいものか迷う。いつでもいいし、なんなら発表さえしなくてもいいのかもしれない。まず書くこと自体が自分自身の考える機会になっている、というのがすでにあるので、アップしようとしまいと自分の中での価値があまり変わらないからかなぁ。

7月前半某日

四条烏丸で友人に会う。この春からの国際的な混乱で、国に帰るのを引き延ばしていたのだが、そろそろ今月に帰ることになったそうだ。編集の仕事とされているので、カナダにおける雑誌やボードゲーム界隈の事情やクリエイト周辺環境など興味深い話多くて勉強になる。

帰ってから欧州出版社からのメールの返信。新たな契約内容についてや、新しいルールの解釈について。また考察したことを互いで共有する。

担当者とは相性もある。たとえば、dlp社のライナー・シュトックハウゼン(Reiner Stockhausen)氏のように長年やりとりしている方が相手だと、前提として互いの見解がある程度わかり合えているので理解が早くて助かる。

一方、初めての相手だと、どういう人物かもわかっていないのでやりとりがぎくしゃくと進みづらい場合も多い。

しかし初めての人の場合でも、最初からスルスルと情報を共有できていく感覚の得られる相手との差がどこからくるのか。立場や慣習の違いだけではないような気がしている。

7月前半某日

書籍1

・『終わりなき対話 1 複数性の言葉〈エクリチュールの言葉〉』 モーリス・ブランショ
・『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』 カール・マルクス
・『日本の弓術』 オイゲン・ヘリゲル
・『笊ノ目万兵衛門外へ』 山田風太郎

雨の日が続いたこともあって、コーヒーと読書が捗った日々でした。
とはいえ、ゆっくり読むのでそれほど何冊も読めたわけではなく、とくに楽しみにしていてようやく読み始めたモーリス・ブランショ『終わりなき対話』などは、丁寧にページをめくっていくのが至高の喜びなので、基本的にスローリーディングです。

7月前半某日

韓国の出版社からルールに関しての確認。

これは出版社にもよるけれど、ルールの解釈や記述、図例についての質問などが的確で芯を突く質問のできるところと、まったくそれがなくて不安になるくらいのところの差がすごい。

できるところは、作者自身も盲点で気づかなかった新鮮な問いを立てることができる。ルール自体の間違いの指摘ではなく、あくまで作者側の想定した範囲内の質問内容ではあるのだが、しかしその切り口というか発想がおもしろい角度であることが多く、そういう質問のあるたびに答えながら「ああ、こういう質問を的確に提示することができる出版社のチームは信頼がおけるな」と感慨深いものがある。

7月前半某日

朝戸さんとやっている『深夜のジレンマラジオ』の2回目の放送。というか前回がプレ回だったので、今回が実質本篇第1回だった。

深夜の放送ということもあって、ボードゲームの主にクリエイト寄りの話をするまったりした番組としてやっていますが、やはり視聴してくださるみなさんと一緒に考えたいみたいなところもあって、ラジオの体裁でもあるので質問やお便りを募集していて、お便りお寄せいただけるのがとても励みになります。

お便りの内容は、ぼくと朝戸さんで事前にそれらを確認しつつ話し合いながら、そこからさらに派生して通常回のトークテーマになっていったりもしますし、直接的にも間接的にも番組の中身になっていく種でもありますので、ゲーム全般について、制作にまつわるお悩みなどに関わらず、お便り楽しみにしていますので、どしどしお寄せください。

7月前半某日

スペインの出版社に先月eパケットで送った荷物がまだ届いていないと連絡あり。トラッキングナンバーを追ってもぷつりとある地点で途切れている。現地に入ってからしばらくするとポンポンと経由地があとから記録追加される場合もあるのだが、こちらでも調べてもらう手配する。

アメリカへは依然郵便局経由での航空便は送れず。北米からの特にショップからの注文には船便を案内する他ない状況。とはいえ、航空便でもロストしたり、それなりに遅れて日数がかかったりしている。船便で仮に2ヶ月かかったとしても、2ヶ月後にUS向けの航空便が通常運行になっているとも限らないので案外船便のほうが結果的に早かったということもあるかもしれない。

注文の処理と連絡をしていたら、すぐ夜に(そもそも開始時間が遅いのだが)テストまでに至らないいくつかの案について進める。リーガルパッド開いてうんうん唸っているだけのそんな時間が、「作っている」という行動の範疇に入っているのかは毎回微妙なことだと思っている。しかしこれがないと製作物はできあがることはないのだ。

7月前半某日

先月、アメリカのショップのオーナーに協力してもらって、国内輸送で荷物を手配してもらい、無事に届いた北米の出版社から連絡。出版社ではまだ自宅ワークが主体なので、まだチームとしてのプレイテストができていないのだが、1人でのテストもしてみるとのこと。状況はどうあれ、アップデートの頻度が高いと安心度も高い。自分も気をつけたいところだ。

雨の日のほうが、快晴の日より仕事が捗るのはなぜか。そもそも外出の用件がないから、内に籠もってせざるをえないというわけでもない。雨が好きだからか、気圧などの問題か。

テストキットを昨夜から作っていたのを、夕方に完成させて、この夜にとりあえずのテストに漕ぎ着ける。ルールというほどのものはまだないが、ちょっと試してみると自分でも驚くくらいしょうもない。

でもまあ、ここまではよくあることなので、そのコンポーネントを触って話したりしているうちに、「このコンポーネントをこう使えばおもしろいのでは!?」という新たな着想が湧いたので、早速それを試してみる。

「悪くない感じがする」

ニヤリである。テストキットを作成する時、いつもそのルール的な中身がすでに整っているのかどうかを作成開始の基準にしてしまいがちだが、それはある意味では正しい。テストキットを作成するためにはどうしたってある程度のまとまった時間がかかる。実につまらないアイデアを試すために、その時間を消費するのが惜しいと思うのも人情だ。

しかし、今回のように棚からボタ餅のような偶然の発見もないことはないのだ。もしテストキットを作ろうとしなければ、作った挙句にコンポーネントを触っていたから生まれた今回の着想は、絶対に得られなかったのだろうから、「作ること、試してみることをやってみる価値は常にある」とも言える。

要するに、テストキットは手早く作るに越したことはないけれど、そんなに毎度毎度思いつくたびに作ってられないよ、というところか。そうしてテストキットを作るまで至らないアイデアたちが屯していくのである。

今回はこのあたりで。

Saashi

2020年7月上旬

Saashi & Saashi
Twitter / WEB


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