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その他の国 治外法権

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なんのジャンルなのか分からないものたち
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2020年9月の記事一覧

もうずいぶんと

もうずいぶんと要らぬ分別もついたので

現実にそんな事はないのだけれど

正体不明になるまで飲んで歌って踊って倒れたい

雪道のキシキシ言う音に程よい孤独を嗜んで

あられもない後悔をつぶさに重ね

ぐるぐる回る意識の中で

誰かの腕の感触を慕って眠りたい

そんな昔の自分を懐かしむ

情熱的で

情熱的で真摯で厳格なる愛も必要でしょうが

薄っぺらで嘘まみれでその場しのぎの冷たい優しさだって

人を救うときはあるのかもしれない

所詮人の意図なんか全部超えて差し出すように差し出され受け取るように受け取られる

あんなにも

あんなにも思い浮かぶ世界が形にならない事をおそれて日々絶望に溺れ泣き暮らしていたのに

いま私の中に次々と浮かぶ源はなんのこだわりもなく雨粒のように降り川のように流れていく

ただ、それが生まれることだけが、永久機関のように私を喜びで満たす

そんな事があるなんて誰が信じるというのか

はぁはぁ

はぁはぁ

全て既にある

とか

内側の豊かさ

とか言うもんはこれかと

私の中の創作の根源が有限だと思うから形にならない一つ一つを憂うのであって

どの表現もあたおか散文みたいなもんだと思えば

いくらでも降って流れて揮発してまた降る

そしたらやっぱり私は雨になって降り注ぐ事ができるのだ

お仕舞い

お仕舞い

なにかの作法のように
丁寧に静かに服を着せられる

ショーツが太腿の間を滑り

ブラのホックが止まり
肩紐を合わせ

ブラウスのボタンが
ひとつ、またひとつ留められる

スカートがスルリと腰まで上がり
ヒダのひとつひとつまで整えられる

さっきまでの嬌声と水音が嘘のように
衣ずれの音だけが耳に響く

一枚、一枚と

着せられる間に

ひとつ、ひとつと

私は幼子に戻されるような思いがした

その鮮

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