うつ病は、元通りに戻ることにこだわるのは、むしろマイナス!【参加イベント報告】

先週末は、以下のイベントに、援助者として参加してきました。

第62回こんぼ亭月例会

「元どおりに戻ることにこだわらない! リニューアルされた自分になるススメ」

こんな方はぜひお越しください!
○うつ病で求職中のアナタ
○「なかなか治らない」と感じているアナタ

多くの人は「病気が治る=病気が起こる前の状態に戻る=元どおりに戻る」ことを求めて医療機関を受診します。ところが、その希望は必ずしも叶えられるとは限りません。むしろ私は、精神科の病気の場合は「病気が起こる前の状態に戻る」ことは必ずしもよいことではないと思っています。
人の考え方にはクセがあり、そのクセが病気の状態になることに強く影響しているからです。「元どおりの自分に戻ることをめざす」ことに行き詰まり、悩んだあげく、「リニューアルされた自分に生まれ変わることをめざす」ことで元気になっていく人を私はたくさん見てきました。
元どおりに戻ることにこだわらず、むしろ「病気があっても、病気になる前よりも元気」になることは誰でも可能だと私は思っています。今回のこんぼ亭では、リニューアルされた自分になるにはどうしたらよいのか、そのポイントを楽しくお伝えします!

ゲストスピーカーは、東京医大の市来真彦先生でした。

まさに、我が意を得たりです。「元通りに戻ることにこだわらない」なんて、普通に聞いたら、「冗談じゃないよ。元の元気な自分に戻りたいから、治療しているんだよ」と考えるでしょう。それが自然な感情です。

しかし、うつ病などの精神疾患の場合は、必ずしもそれが良い治療とは限りません。治療をする中で、うつになった遠因が、その人の考え方の傾向であることが、ままあります。例えば、執着気質や、メランコリー親和型と呼ばれる病前性格が、挙げられます。これをそのままにしたら、再発するのは必然です。

うつ病の再発率は、1度目が50%、2度目が70%、3度目が90%と言われています。再発を繰り返すほど、”治りにくい”のです。従って、いかに再発しないかが、治療では大切になってきます。

しかしながら、同じマインド、同じ環境で、同じストレスを受けたら、同じ発症をするのは、火を見るより明らかです。仕事や生活に対するマインドをデザインし直して、再インストールする必要があります。イベントでの言葉を使うと、”リニューアル”する必要があるのです。そこで、リワーク・プログラム(社会復帰訓練)をする意味が、出てきます(私の屋号である、”リワーク・マインドデザイン®”とは、こういう意味です)。

よくメンタルヘルスの業界では、「病気になって、よかった」「障害を持つようになって、よかった」という事例を聞きます。普通に考えたら、理解不能です。誰も、「脳梗塞で半身不随になって、よかった」「人工透析するようになって、よかった」なんて、思わないでしょう。その意味するところは、「以前はモーレツ社員だったが、、仕事を上手にコントロールできるようになった」「家族や友人との関係が、むしろよくなった」といったことのようです。

私自身は、うつ病になったことで、人生が完全に変わってしまいました。良いか悪いかは、正直まだわかりません。私の歳だと、大学の同期は年収1000万円を超えているはずですから、金銭的には大きな損をしているはずです。私は、別に富裕層になりたいとは思いませんし、周りの友人を羨むこともありませんが、2浪してまでトップオブジャパンの大学に入ったのに、何をしているんだろうと思われても、致し方ありません。よく、家族は何も言わないなと思います。

治療の話に戻ります。
精神疾患では、”治る”という言葉を使いません(少なくとも西洋医学では)。”寛解”という言葉を使います。がんと同じですね。一度罹患したことで、再発率が上がってしまっているので、再発リスクを抱えながら生活していくことになります。その意味で、罹患前の自分に完全に戻ることはできません。

しかしながら、罹患リスクを下げることは、できます。精神科では、生真面目で神経質といった、病前性格を少し変える(修正する)ことを試みます。認知行動療法などが、それに当たります。認知行動療法とは、物事に対する認知の仕方を偏りなくし、それを現実の行動につなげる心理療法のことです。物事に対する自分の認知と行動(反応)の仕方を点検し、過度に歪んでいれば、それを直すことが、寛解状態のキープにつながります。

私が、あるリワーク・プログラムを見学した際、思わず「みなさん、真面目ですね(真剣ですね)」と口走ったことがあります。私の真意は、そんなに生真面目だったら再発するぞ、というものでした。スタッフからは怒られましたが、それをほったらかしにするリハビリテーションなんて、何の意味があるのだろうと、今でも、正直思います。

生真面目な人に対し、「もう少し、いいかげん(=良い加減)になったら?」というのは、あまり適切とは思えません。私も、くそ真面目で神経質・完璧思考な人間なので、それはよくわかります。しかしながら、過度なこだわりは、むしろマイナスだということに、気がついて欲しいのです。自分自身の認知や行動で、他ならぬ自分を追い詰めているのならば、それは見直さなければいけません。それが疾病リスクになるなら、尚更です。
”無理をしても、完璧を目指す”というのは、元々”無理”なのですから、適切な対処法ではないのです。冒頭の市来先生は、「こだわりは捨てて、あきらめろ」と診療で患者さんに言っているそうです。「あきらめる」のは、勇気がいります。しかし、それは得てして、治療と寛解につながるのです。
まぁ、でも、それが自分自身でできるかと自問すると、なかなか難しいのですが。だからこそ、第三者のプロの援助者の力を借りることが有効です。

では、その援助者が何をしてくれるのかということを、最後に触れます。
基本的には、それを担うのは、心理カウンセラーなどの心理職(臨床心理士・公認心理士)の人です。つまり、セラピストです。専門職ですから、専門となる技法を用いて、問題解決にあたります。
最もポピュラーなのは、先ほど出てきた、”認知行動療法”です。これには専門的なトレーニングが必要です。専門知識のない人が独力でやるのは、ほぼ不可能です。
また、その”問題解決”には、心理(メンタル)の面だけではなく、キャリア形成の面からのサポートが必要になることもあります。私のような、キャリアカウンセラー・キャリアコンサルタント(言い方は、正直、どっちでもいい)が専門職になります。
ここ1年くらいで、メンタルとキャリアの両方を支援することの必要性が、学会などでも取り上げられるようになってきました。表向きは心理の問題に見えても、よくよく話を聞いてみると、その人のキャリア形成に問題があった、ということが、ままあります。しかしながら、両方のプロというのは、なかなかいません。私のような二足の草鞋履きは、まだまだレアケースです。そういう場合は、”元に戻る”というのは、キャリア形成面での問題を残したままになってしまいますから、尚更、よくないのです。


しかし、今日のコラムは、”普通”という言葉を、連発しているな。俺は、”普通”という言葉が、嫌いなんだけど。人生は、各駅停車じゃねーんだよ。

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次回の更新は、新年1月1日(水)を予定しています。元日に、目下準備中の新サービスの発表をする予定です。年内の更新は、これが最後です。今年もお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。

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精神科キャリアカウンセラー。メンタル疾患からの復職を目指す方の、キャリア構築支援をしています。精神保健福祉士、国家資格キャリアコンサルタント・CDA、WLBコンサルタントなどのライセンスを保持。ホームページ→http://s-yam-gucci.jp
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