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私の取扱説明書(キャリアコンサルタント篇)

「あなたは、あなたらしく、いればいい」

カウンセリングなどでこう言われたら、あなたはどのように感じますか?
私がそう言われたら、「俺のこと、大して知らないくせに、綺麗事宣うんじゃねーよ」と感じてしまうと思います。

これは、進路選択でよく使われるフレーズに思いますが、特に、発達途上の中高生に使うのは適切ではないと感じます。ヒトの人間性や物の考え方は、だいたい20歳ごろまでに形作られるものだと思います。その途中過程で、「本当の自分」を求められても、まだ十分には固まっていないのだから、応えようがないのです。だから、大体のケースは、結局、親や学校の用意したレールの上を歩むのだと思います(私は、中高も大学も大学院も、最初は親に反対されましたが 苦笑)。

残念ながら、世の中は自分の思い通りにはできていない

”社会人”というのは凡そ、自分の時間とスキルを一定時間明け渡すライフスタイルのことを言うのだと思いますが、金銭を対価に、要求されたタスクやミッションに応えるのが仕事であって、自己表現・自己実現は、要求側にとっては二の次です。残念ながら、世の中は自分の思い通りにはできていない(私は、「あなたは自己意識が強すぎる」と、時に言われますが)。

先週、ちょっと気になる記事があったので、触れておきます。

「あなたの障害も、個性だから、自分らしく生きればいい」と、同じ立場で私が言われたら、「もっと”障害者らしく”振る舞えということか!?」と反発すると思います。

「障害は個性」という言い方は、”言葉のマジック”というか、もっとストレートに言うと、事の本質と実態をオブラートする、言葉の弄びだと思います。使っている方は、おそらく善意で言っているので、余計にタチが悪い。
(これについて、詳しくは、下の過去記事で論じています)

「等身大の自分」

似たような言葉に、”等身大の自分”という言葉があります。相当昔ですが、タレントのタモリさんが「”等身大の”という言葉は嫌いだ」という旨のことを、言っていたように記憶します(ラジオ番組でだったかな?)。

「等身大の自分」というフレーズで検索すると、カウンセリング系の記事がわんさか出てきますね(特に、恋愛関係が多い)。

等身大の自分

私は、仕事のベースとして、「JCDAキャリアカウンセラー」という資格スキルを位置付けています。つまり、私は”カウンセラー”ということになるのですが、どうにも”自己一致”できません。「話す」「聴く」「書く」「読む」のどれが得意かと問われれば、

「読む」>「書く」>「話す」>「聴く」

かと思います、正直。

「パワフルな傾聴」?

私がいるキャリア開発業界では、「○○さんは、クライエントのことを聴けていない」というフレーズがよく使われますが、正直、「聴く」という行為に、私はそれほどの力を期待していません(だから、「パワフルな傾聴」という教科書の表現にも、かなりの違和感が私にはある)。
優等生的には、「クライエントのことに肯定的関心を持ち、クライエントの”心のひだ”からの声を聴き出す」というニュアンスで使われますが、そもそも、私は、赤の他人の考えていることを粒やかに完全に理解することなんて、到底不可能だと思っています。だから、いろいろなツールやフレームワーク(つまりは、共通言語)を用いるわけです。

私はそれどころか、自分自身の感じていることも、完全には把握できないと考えています。

一般に、情報は日々刻々変化しつづけ、それを受け止める人間の方は変化しない、と思われがちです。……生き物というのは、どんどん変化していくシステムだけれども、情報というものはその中で止まっているものを指している。…不変なのは情報。人間は流転する
(養老孟司『バカの壁』より)

この意味で、”等身大の自分”なんて、あり得ないわけです。だって、常に変化し続けるのだから。

カウンセラー?それとも、コンサルタント?

キャリア開発業界では、以前は、”キャリアカウンセラー”という民間資格がいくつかありましたが、2016年に、”国家資格キャリアコンサルタント”というものができました。勿論、厳密な意味づけはありますが、実務上では、”キャリアカウンセラー”と”キャリアコンサルタント”は、ほぼ同義です。
「カウンセラーとコンサルタントは、何が違うのですか?」と、メンターの方に言われたことがありますが、ものすごく単純化して言うと、カウンセラーの仕事は聴くことであり、一方、コンサルタントの仕事は提案することなので、両者は全然違うものだと考えています。
実際のキャリア支援の場では、その両方が場面に応じて求められることが多いと思いますが、どっちに寄っているかは、支援者によって、違うのだと思います。
”コラム”なんて書いているくらいですから、私の立ち位置(グラデーション)は、カウンセラーの要素は、ほとんどないと思っています(だから、名刺にも、カウンセラーとは書いていません)。

冒頭の話に戻ると、
「あなたらしく生きればいいのです」
とか、
「等身大の自分でいればいいのです」
などと、相談者の方に対して私が言うシーンは、まず考えられません。
そういう言葉を相談者にかける人に限って、私には「あなたは普通じゃない」と言ったりする。どっちやねん!?

それではまた、次のコラムでお会いしましょう!

◇◇◇

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精神科キャリアコンサルタント。精神保健福祉士、国家資格キャリアコンサルタント・CDA、認定オンラインカウンセラーなどのライセンスを元に、メンタル疾患からの復職を目指す方の、キャリア構築支援をしています。 サービス受付ページ→http://www.s-yam-gucci.jp
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