病院で仕事内容の相談をしても、暖簾に腕押しな奥深いワケ

本日は「医療・福祉と就労について」の4回目です。
シリーズの最終回として、治療と転職支援の連携について、現状と対処法を解説したいと思います。

もしあなたがうつ病で通院しながら、仕事探しをしているのならば、病院とハローワークが連携してくれれば、と思ったことはありませんか?医療と就労支援が連携してくれれば、自分の病状についてハロワの職員に慣れない説明をする必要もないですし、病状に合った仕事を医療側から紹介してもらえることも期待できるでしょう。しかしながら、それは土台無理な話なのです。

医者に仕事の話をしても通じない理由

医師は、患者の仕事について、当然、その専門家ではないので、仕事内容を詳らかに医師に説明しても、響かないことが多いです。診療では、仕事によってどういう精神状態が起きているかを同定・確認するのが目的なので、その中身については関心がない場合が多いのです。一般就労経験のある医師はまずいないですから、患者側がイメージしているほど、仕事に対してのイメージが具体的であるわけではありません。これは看護師でも同じです。医療側にいる人材は押し並べてそうだと考えて良いです。そういうことは、私のようなケースワーカー(精神保健福祉士)など、医療と福祉の境界領域にいる人材にしか期待できません。

病院に求人資料が置いていない理由

医療の目的は病気の治療です。福祉の目的は生活支援です。ここを区分できないと、例えば私のNoteにしても、「病気の治し方が書いてあるブログですか?」という見当違いな考えを持ってしまいます。これについてはもう繰り返しませんが、ここの分断は、実はすごく大きいです。

そもそも病院は治療をするところなので、ビジネスが入り込む余地は全くありません。病院で働いている人たちは、治療行為で発生する診療点数に基づいた、患者の支払う医療費をベースに収入を得ています。付加価値の提供で対価をもらうビジネスとは、全く別世界の職業なのです。したがって、就労支援会社のようなビジネスは、チラシ等も含めて、病院には居場所がありません。

ごくごくまれに、キャリアコンサルタントの資格を持った医師がいると聞きますが、それは弁護士資格を持った医師並みに希少人物です。キャリアコンサルタントの資格を持っている人は、いたとしても、医師や看護師などの医療職ではなく、ケースワーカーなどの福祉職です。さらに言えば、キャリアコンサルタントはキャリア形成という人の内面支援の仕事であって、基本、人材紹介の仕事ではないので、仕事内容そのものについて、転職エージェントのように詳しいわけではありません(この辺の話は、別の機会に)。

したがって、病院に転職サポートのハウツーが用意されていることは、まずもってないのです。せいぜい、「どこどこの就労支援施設、利用してみたら?」と医師がアドバイスするくらいです。

どこの誰に頼れば良いのか?

こういう場合に、医療と福祉の境界領域にいる人が、本領発揮します。病気のことについて、ある程度の専門知識はありますし(そうあるべきだという話は、連載2回目にしました)、生活の立て直しや就労についてのメンタルコーチまで引き受けられるからです。しかしながら、両方に必要十分なスキルを持っている専門職は極めてまれなのが現状です。

もう少し、具体的に述べましょう。
一般就労を目指すのであれば、手前味噌ですが、今述べたように、私のようなダブルライセンス保持者に当たってみるのが一手です。
ただ、ダブルライセンスと言っても、治療と転職、両方の領域に熟知・熟練しているというのは、なかなか難しいです。
私に関して言えば、どちらかというと、当事者経験もあるので、”治療”寄りです。私が個人様向けに提供しているサービスでも、具体的な仕事案件の開拓は外注しています。また、私は、”精神科キャリアコンサルタント”を名乗っていますが、障害者就労については、どこの企業でどんな取り組みをしている、といったような、突っ込んだ具体的な実状の知識までは持っていません。

アテにするスペシャリストを峻別する

社会復帰とひと口に言っても、一般就労だけでも色々なバリエーションがあります。直近の職歴の同業種に復帰するのが一番ポピュラーです。また、過去の職歴で最もパフォーマンスが良かった業種に行くことも考えられます。それらの場合は、転職エージェントが近道でしょう。ただし、病歴に関しては、クローズドが前提です。転職エージェントの段階で、門前払いの可能性もある位だからです。

しかしながら、病気に至った経緯によっては、全く別の分野に転身することも考えられます(IT業界から福祉業界に身を移した私がそうです)。その場合、資格取得などでスキルを底上げする必要もあります(資格だけで異分野に転職できるわけではありませんが)。そういう場合は、転職エージェントはあまり役に立ちません。意思決定の伴走者として、私のようなキャリアコンサルタントを使うことが考えられます。

また、障害者就労を目指すのであれば、役所の障害福祉課などにいるケースワーカーに相談するのが最良です。この人達は、就労支援施設とのパイプがあるので、施設選びから入所まで、二人三脚で伴走してくれます。

世間の認知が広がって欲しい

ここまで、病院で仕事内容を相談するのは、やりようがないことを見てきました。そういう場合は、医療と就労、両方の知識・スキルを持った精神保健福祉士などの院外スタッフに相談するのが良いということでした。
ただ、その相談は自分からしないと、どうにもこうにもゴールポストが動かないのが、患者・利用者にとって、ハードルが高いところです。そもそも、そういうスタッフの存在すら、世の中には十分に認知されているとは言い難いです。病院のヒエラルキーでも、ケースワーカー(精神保健福祉士)は、率直に言って、脇役です。転職支援をしている就労支援施設も無くはないですが、世間に認知が広がっているとは言い難いです。本稿がご参考になればと思います。

本稿含む全4回にわたって、医療・福祉と就労について、知っておきたいことを取り上げてきました。それぞれの仕組みと現状について、理解が深まり、次の行動につながれば幸いです。

本稿は以上です。
来週のコラムは、休載します。次回のコラムは、5月10日(月)に更新予定です。それではまた、次のコラムでお会いしましょう!

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