よくある社会復帰相談に対する鉄板回答(2)〜就労編〜

よくある社会復帰相談に対する鉄板回答(2)〜就労編〜

前回から、うつ病からの社会復帰において、よくある疑問とその”鉄板回答”について取り上げています。

精神疾患は”個別性”と言って、その人が病気になった要因は、そのケースに依り千差万別なので、その人の個別具体性に寄り添ってサポートしなければいけないというのが、基本的な考え方です。
しかしながら、実際の支援現場では、こと、働く人のメンタルヘルスに関して言えば、状況は驚くほどよく似ているというのが実感です。それに対する対処法も鉄板事項になることが多いようです。

2回目の本稿では、就労フェーズでよく沸き上がる、2つの疑問について、取り上げます。

(1)「病気をどの程度オープンにすれば良いでしょうか?」

クローズにする、が鉄板回答

「病気や障害のことに理解がある職場を探しましょう」とよく言います。
精神疾患の人に向いている職場として、一般に、

・病気や障害に対して理解がある職場
・休みがとりやすい職場
・人間関係が良好な職場
・残業など労働時間が多くない職場

などの条件が挙げられます。しかしながら、
そんな企業はまずありません。
(より詳しくは、以前に書いた↓↓この記事↓↓をお読みください)

従って、現実的には、病気のことをオープンにして転職活動するか、それともクローズにする(伏せる)かという選択を迫られることになります。

私の答えから先に申し上げると、クローズにするしかないです。
昨今、精神疾患に対しては、企業は非常にナーバスです。病気で離職していると、「この空白期間に、一体何をしていたのか」と確実に問われます。嘘を言うわけにはいきませんから、「体調不良で、治療に専念していました」と答えるしかありませんが、開示するのはその程度で良いです。企業によっては、病名などより詳細なことを聞いてくるケースもありますが、こちらからストレートに「うつ病」と言う必要もないです。一般に、企業側にそこまでの詳細な医療知識があることはないからです。ストレートに開示しても、無用な誤解を生むリスクがあります。

しかしながら、中には”うつ病ではないこと”を誓約書に書かせる企業もあると聞きます。そういう展開になったら、その企業には縁がなかったと諦めて、別の企業にトライするのが望ましいです。入社後に、病気休職していたことがバレると、最悪、職歴詐称で解雇されることが法的にはあり得ます(実際に、そういうケースがあったとは、まだ漏れ聞きませんが)。また、そのような企業で働いても、メンタルヘルスに対する理解がないわけですから、苦しい思いをするだけでしょう。

こういうスタンスを取るのは、嘘をついているような、後ろめたさがあるかもしれません。しかしながら、冷静に考えれば、別に病気に限らず、経済面や家庭のことなど、会社に開示せずに自分の中でしまっておきたいことは、他にもたくさんあるはずです。会社は仕事をするところだけなのですから、過去の病気についてだけ、つまびらかにしなければいけない理由はありません。

どうしても病気のことを職場で理解して欲しいのなら、障害者雇用を選ぶほかありません。ただし、障害者雇用も売り手市場ではないことは、認識しておく必要があります。門戸は決して広くはありませんし、働きたい障害者の方はたくさんいるからです。

(2)「働き出したら再発しないか、とても心配です」

仕事マインドの変革が必須

私も方々で繰り返し書いているように、うつ病は、再発すると寛解する確率は下がります。うつ病の再発率は50%と言われていますが、再々発率は70%、再々々発率は90%と言われています。

せっかく仕事復帰しても、同じような職場環境で・同じメンタリティで・同じ働き方をしたら、残念ながらと言いますか、再発するのは時間の問題です。なぜなら、うつ病は、環境とのストレスで発症する病気だからです。私は常々、うつ病の人が社会復帰を成功させるには、”仕事マインドの変革”が必要だと申し上げています。すなわち、「どういうシーンで/体調で、どういう行動・考えを持てば良いのか」というメンタリティを、適切なものに固めておく必要があります。

これには、いくつかのポイントがあります。

★ポイント1
なぜ休職・離職に至ったのかという、あなたのキャリアに対する心理状態の推移を点検することが必要です。「彼を知り己を知れば百戦危うからず」です。「今、ここ」の感情・気持ちを把握するだけでは不十分で、それがどこからどのようにやって来たのかを知ることが不可欠なのです。

★ポイント2
うつ病の方によく見られる、極端な考え方の偏りも修正しておく必要があります。”「〜すべき」思考”・”白黒思考”・”反芻”など、いろいろなものが指摘されています。

★ポイント3
あなたが思い描いている、仕事とはかくあるべしという理想と、現実のこれまでのパフォーマンスとのギャップを言語化する必要もあります。ギャップの発生、すなわち問題状況を適切に見立てるのは、案外、難しいです。自分を俯瞰する視点が必要だからです。

(この3つのポイント攻略については、手前味噌ですが、私は個人サポートとしてご用意しております。詳しく内容は下記のサイトをご覧いただき、ご相談ください)

前回、うつ病の発症をダムに例えて説明しましたが、あなたのストレスを溜める心のダムは、一度決壊しています。それに対し、何の手当てもしないで再び雨に見舞われたら、それが土砂降りではなく小雨であっても、再び決壊してしまいます。それを再建するのは至難です。ただでさえ、ダムの土台はまだ湿っています。そのまま戦場に戻ることがいかに危険かが、お分かりいただけると思います。危険を回避するには、ダムを補強する手当てが必要です。

本稿は以上です。次稿では、慢性化編をお届けする予定です。
それではまた、次のコラムでお会いしましょう!

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