私のビジネスが、障害者雇用を対象にしない理由ー障害者雇用のあれこれと展望


ここ何日かで、精神障害者の方の雇用が注目されているようです。

障害者雇用に追い風
:おはよう日本(2020年6月9日放送分、NHK)

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障害者雇用とは

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)
民間企業の法定雇用率は2.2%です。従業員を45.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。
厚生労働省HPより)

この条件を満たしていないと、”納付金”(要は、罰金)を納めなければなりません。ここでいう”障害者”とは、障害者手帳を持っている人のことを指します。従って、どんなに障害が重くても、手帳を持っていないと、障害者就労はできません。

これまで、障害者雇用において、精神障害者の方の雇用は、企業は後ろ向きでした。パフォーマンスが日毎の体調に大きく左右されるため、定型業務に割り当てるのが難しいからです(こういうことを書くと、「障害者差別だ!」と脊髄反射するクズがいるが、それは現実に目を向けていない卑怯なスタンスである)。
実際には、特例子会社と言って、一定の特別枠(切り出し子会社)の中に障害を持つ社員を割り当てるケースが少なくありません。

実は私も、症状の重かった時分に、障害者就労を試みたことがあります。障害者限定の合同面接会に何度か出向き、いくつもの会社と面談しましたが、採用してくれる会社は、一つもありませんでした。そりゃあ、京大を出ている障害者の雇用なんて、企業側から見たら、めんどくさいだけだろうと思われるかも知れないし、「週5、フルで働けます!通院は土曜にすることが可能です!」なんてガツガツしている障害者なんて、他の障害者社員と協調できないと思われたかもしれない。

企業側が、障害者雇用をするメリット

よく挙げられるのが、”ダイバーシティ”の確保と、社会的責任の二つです(下記参考)。正直、「ホントかよ?」と思います。障害者の方を雇っただけで、イノベーションが起きる訳がありません。また、極端な話、「罰金払ってでも、生産性の低い精神障害者は雇いたくない」と腹の底で考えている経営者がいても、不思議ではありません(特に、中小企業では)。そのくらい、精神障害者の方の雇用はデリケートなものです。

「誰にも、”強み”はある。障害者でも同じ」という主張も時々見かけますが、たくさん強みがある人もいれば、あまり強みがない人もいるはずです。なぜなら、”強み”と”弱み”というのは、相対的なものでしかないから。従って、「精神障害者にも、健常者にはない強みが、必ずある!」というのは、ナイーブです。欺瞞とすらも言える。
その問題に取り組んだ拙稿が、これです。

精神障害者の方が、仕事探しで留意したいこと

まずは、採用面接で特に注意したいこと。

障害に関する質問はデリケートなものが多いのですが、これらにきちんと答えられるということは、その障害者が自分の障害をしっかりと受け入れ、向き合えているという証になるからです。
障害に対して配慮してほしい点についてもきちんと答えられるということは、業務遂行に対してまじめに考えているとも言えます。(出所下記)

次は、それ以前の職種選びで注意したいこと。

精神障害の人が仕事を探す場合には、自分の障害特性上、無理のない仕事を選ぶ必要があります。

精神障害は、その人の精神状態が仕事に大きく影響を及ぼすため、自身の精神障害の症状や疾病に応じた勤務時間や業務量、ストレスの程度を考えた仕事選びをしなければなりません。

そのため、自分の精神障害の状態をしっかり把握してから仕事を選ぶようにしましょう。

一般的に統合失調症、うつ病、双極性障害(躁うつ病)の人は、マルチタスク能力が求められる仕事は向いていないと言われています。
また幻聴や妄想による独り言や、無感情になってしまうといった症状を抱える人も少なくありません。

そのため、一人で黙々とマイペースで続けることができ、集団行動を必要としない仕事が向いているといわれています。
これらの精神障害は、「うつ」の症状が出ることもあるため、ノルマがない、あるいは締め切りが比較的緩やかで自分を追い詰める必要がない仕事が向いています。
具体的には軽作業、バックヤード業務、事務、経理、システムエンジニア、農業、清掃員などです。(出所下記)

早い話が、ほぼ肉体労働です。うつで体力が消耗している時に、これは辛い。
ただ、テレワークの普及が、節目を変えつつあるようです。通勤にパニック寸前の人も、オフィスの何とも言えない、あの緊張感がキツくてたまらない人も、テレワークなら、何とかなりそうです(テレワーク特有のストレスもありますが)。


発達障害者にも、光が指し始めた

精神障害の一つとして、発達障害については、完全にバブってますね。本屋に行けば、発達関連の書籍が山ほどあります。

病院で確定診断をもらい、障害者手帳を持たせて、障害者採用に持っていく、なんていう”支援”もあるように聞きますが、本人の意向や人権を無視した、不適切な対応だと言われても仕方がありません。
現実として、発達障害で確定診断が下りるのは、なかなかありません。それは即ち、障害者手帳を持てないということであり、障害者就労はできないということです。大抵のケースは、いわゆる”グレーゾーン”なので(私が使い出したこの言い方には、問題があるのかも知れません。悪意はないのですが)。

私が、なぜ、障害者雇用をサービスの対象にしていないか

以上見てきた通り、精神障害者の方の就労は、サポートしなければいけないことがたくさんあります。逆にいうと、それらを支援する人達は、たくさんいます。就労継続/移行支援施設という、就労を訓練(トレーニング)する福祉施設もたくさんあります。ほぼ手取りはゼロですが、訓練することが目的なので、きちんとフォローしてくれるところなら、満足度も高いようです。

一方で、障害者認定をされていても、一般就職したい(障害については、原則開示しない)人達には、福祉業界全体として、あまりスポットが当たっていません。私は、そこにコミットすることに、意義と意味があると感じています。
仮に治療というブランクがあった場合、書類選考から面接に至るまで、応募先で働く上で、健康上何ら問題がないということを、きっちりアピールする必要があります。じゃあ、それをどのように伝えるかということについては、まだ雛形(サンプル)は、ほとんどないのが現状です。以下の記事は、現時点で、大いに参考になるでしょう。

精神障害のある人を採用するとき、企業はどこを見ているか?
1.病状が安定している
2.意思疎通や相談がきちんとできる
3.家族や支援者も就労に前向きか
(出所下記)


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精神科キャリアカウンセラー。メンタル疾患からの復職を目指す方の、キャリア構築支援をしています。精神保健福祉士、国家資格キャリアコンサルタント・CDA、WLB認定コンサルタントなどのライセンスを保持。 サービス受付ページ→http://www.s-yam-gucci.jp
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