書籍レビュー「Newton別冊 精神科医が語る精神の病気」

本稿でご紹介するのは、この書籍です。
2019年4月5日発行、8月5日2刷。

前々から気になっていたのですが、地元の本屋で特集されていたので、ざっと内容を見て、「買い」だと思ったので購入しました。

本の構成

は、以下の通りです。

プロローグ

1心の病気ー症状と原因
うつ病・双極性障害
不安症/不安障害
強迫症/強迫性障害
心的外傷・ストレス因関連障害
統合失調症
精神病症状とは?
パーソナリティ障害
アルコール関連障害
薬物関連障害
行為依存・関係依存
睡眠障害
ひきこもり・非行・摂食障害
認知症
意識障害と記録の異常
身体症状症および関連症
解離症/解離性障害
注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害
限局性学習症・運動症
性別違和
秩序破壊的・衝動制御・素行症群
パラフィリア障害群

2心の病気ー治療方法
来談者中心療法,精神分析法
行動療法
認知行動療法
生活技能訓練法(SST)
マインドフルネス,森田療法
グループ療法
芸術療法
薬物療法
わが国の精神医療の歴史と医療体制の移りかわり

”プロローグ”では、下記の内容が、4ページに亘って、書いてあります。

・性・年齢別にみたこころの状態(点数階級)の割合
・性・年齢別にみた悩みやストレスがある者の割合
・年齢階級別にみた悩みやストレスの原因の順位
・精神疾患を有する総患者数の推移(疾病別内訳)
・精神科医の所在(病院と診療所)
・精神科,精神神経科,心療内科,神経内科のちがい
・クリニック,病院,センターのちがい

本のコンセプトとしては、以下のように紹介されています。

科学雑誌『Newton(ニュートン)』は,最新の科学情報をわかりやすくビジュアルにお届けします。やさしく再編集した『Newtonライト』や,テーマごとに編集された『Newton別冊』,指と眼と耳で楽しむ『Newtonデジタル版(iPad版)』なども刊行しています。

現在,10~15人に1人が,生涯に一度はうつ病を発症するといわれています。『精神科医が語る 精神の病気』は,現代社会で大きな関心を集めているさまざまな精神疾患について,その症状と原因,治療方法などを,最新の診断基準に沿ってやさしく解説した一冊です。自分の心の状態をチェックできるチェックシートもついています。ぜひご一読ください。

第一の感想としては

「良くできているじゃないか」と思いました。精神医学の教科書顔負けの充実した内容です。Mookですから1500円ですが、これはお値打ちです。3000円くらいしてもおかしくないレベルの内容です(私が勉強したテキストの最新版は、こちら↓)。

本書は、大人でなくても読めるように、ちょっと難しいワードには、ルビが振ってありますが、ルビの漢字が読めないような人には、レベルが高すぎです。読者として、誰を想定しているのかな?と思いました。

一方、本書はあくまで病理面を扱っているので、服薬やリハビリテーション、障害福祉制度については、全く物足りません。
これらは、治療のあと・もしくは同時並行の局面で、必要になるものです。病理面だけに焦点を当て、それ以外はほとんどフォローがないのは、書籍としての責任を果たしていないとも言えなくもありません。診断・治療だけでは、回復・復帰ができるとは限らないからです。特に、服薬の内容は、いただけません(ベンゾジアゼピンの”ベ”の字も出てきません)。

ただ、患者やその家族などにとっては、一番気になるのは病理面(どういう状態で、回復・治療にどれだけの期間がかかるか)です。それに応えるのは医師の専売特許であり、その他(ケースワーカーなど)の人は、あまり関心を持たれないのが実状です。

Amazonレビューより

高評価のレビューより引用。

本書はこうした経緯を踏まえ、種々の精神病に対する科学的・理学的アプローチとともに、精神医学的アプローチを採用し、比較的一般の方が精神病の世界に近づきやすいように配慮したものであり、極めて有意義な書物だと思います。科学誌「ニュートン」の特性を生かし、誌面全体が躍動的でカラフルな構成となっているので、見やすいことこのうえなく、その意味でもおすすめです。読者方はぜひ本書で精神病に関する知識を深め、余計な偏見を払拭し、科学的な病気観・治療観を養っていただけたら、と思います。

低評価のレビューの一例。

経営方針もあるのか、このNewton別冊は粗製濫造に近い印象です。
わかりやすさを旗印にしていた竹内均さんがこの本を見たら、嘆きおどろきませんか?
百歩譲って、専門用語をわかりやすく説明できないのはしょうがないとしても、ふつうの日本語の言い回しをわかりやすいものにしてほしいです。
イラスト・写真も、ただのページ稼ぎのように思えます。本文の理解の助けになる図解がほとんどない。
中身を読んでから買うことをおすすめします。

内容を全部は紹介できないので、

うつ病に絞って、見ていきます。


【目次】
躁とうつのちがい
うつ病も双極性障害も若い世代で発症する
ニューロンの減少や萎縮などが原因
死への願望や自殺をくわだてることも
入院から1年で完全に回復するのは50%

〜図解〜
うつ病の経過の三つのタイプ
双極性障害の主な経過模式図
セロトニンの再取り込みを防ぐ

そのほかの抑うつ障害群と双極性障害

Q&A

〜Column〜
うつ病と自殺率
月経前不快気分障害
うつ病治療の実際
うつ病は,精神保健上の重大な問題になっている
夫や妻が「うつ」になったときの対処法

「うつ」に使える相談機関
「うつ」にそなえて知っておきたい制度

うつ病の自己記入式チェックシート

これだけ見ても、充実した内容であることが、理解いただけると思います。
目次〜図解は、医学的な話(症状、発生メカニズム、経過など)です。
Columnは、臨床場面で知っておきたい話です。よく見聞きするトピックが、挙げられています。
”相談機関”は、いきなり精神科に行くのに抵抗がある場合に”見立て”を得たい時に、相談に乗ってくれる公的機関です。”制度”は、行政の(障害)福祉サービスについてです(主に、自己負担軽減など、経済的な話です)。どちらも、一覧図表の形で挙げられています(具体的な問い合わせ先などは、ウェブ検索などで、最寄りの機関を探す必要があります)。

チェックリストは、本書に限らず、いろんな所でいろんな物が出回っています。本書のものは、医学的裏付けのある物ではありますが、脚注の注意書きのように、参考程度に考えた方がいいです。”Q&A”(一例のボリュームが、結構あります)も、話半分ですね。これらを読んだだけで自己診断するのは、危険です(どちらも、うつ病の項目に限りません)。


以上、長々と見てきた通り、かなりモリモリの内容です。入門書ではないですね。社会常識レベルの知識があることが前提の内容です。知識をより広げたいという好奇心(科学誌だけに)がある方に、適した書籍と言えそうです。

◇◇◇
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精神科キャリアカウンセラー。メンタル疾患からの復職を目指す方の、キャリア構築支援をしています。精神保健福祉士、国家資格キャリアコンサルタント・CDA、WLB認定コンサルタントなどのライセンスを保持。 サービス受付ページ→http://www.s-yam-gucci.jp
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