不意打ちの”うつ病”診断を受けた時、どうすれば良い?

発達障害バブルの昨今、「○歳になって、△△障害であることがわかって、気持ちが楽になりました」といったカミングアウトは、よく聞きます。例えば、「物忘れが異様に激しいのは、ADHD(注意欠如・多動性障害)のせいだった!」と言った具合です。私も、確定診断が出るレベルではありませんが、その傾向があるようなので、そういう状況はよくわかります。

うつ病チェックリストのアドバイスを蔑ろにしない

しかしながら、結論から言うと、障害・疾病の有無に関わらず、生活する上で気をつけなければいけないことは同じなので、診断の過程で、診断項目に心当たりがあるものがあれば、対応が必要です。言い換えると、ネット上などによくある、自己診断チェックリストの類で心当たりがいくつかあるなら、生活の仕方を考えた方が良いです(診断そのものは、自己判断せず、必ず医師に委ねてください。念のため)。例えば、仕事で許容量以上のタスクは引き受けない、などです。

病名がつかないから”ノープロブレム”、ではない

症状が何かしら出ていれば、治癒する必要があるので、医師は薬を出します。その医師が、精神科・心療内科が専門であるとは限りません。明確な身体症状がたくさん出ていれば別ですが、その場合、明確な確定診断が出ないこともしばしばです。

精神科での診断では、”操作的診断基準”というものが使われます。”操作的診断基準”というのは、病気に特徴的な複数の症候(不眠、食欲低下、気分の落ち込みなど)のうち何項目が該当するかに基づいて診断を決定するというものです(これ以上の専門的な説明は、医師ではない私の領分を大きく超えるので、割愛します)。例えば、適応障害の診断基準は、米国精神医学会が出した以下のようなものが、臨床では使われます。精神科の診断が難しいのは、こういうところにもあります。確定診断が出るかどうかと、生活をどうしたら良いかは、一対一に対応しないのです。

A. はっきりと確認できるストレス因子に反応して、そのストレス因子の始まりから3ヶ月以内に情緒面または行動面の症状が出現
B. これらの症状や行動は臨床的に意味のあるもので、それは以下のうち1つまたは両方の証拠がある。
(1) そのストレス因子に暴露されたときに予想されるものをはるかに超えた苦痛 (2) 社会的または職業的(学業上の)機能の著しい障害
C. ストレス関連性障害は他の精神疾患の基準を満たしていないこと。すでに精神疾患を患っている場合には、それが悪化した状態ではない。
D. 症状は、死別反応を示すものではない
E. そのストレス因子(またはその結果)がひとたび終結すると、症状がその後さらに6ヶ月以上持続することはない

DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版、米国精神医学会)より

陥りがちな具体例

私は会社員の新卒時代に、適応障害を併発したうつ病になりましたが、当時は医学的知識も乏しかったので、「適応障害」と言われても、正直ピンと来なかったのを覚えています(今回、本稿を書くにあたって、改めて調べてみましたが、この二つの合併症は、よくあることですが、とても診断が難しいようです)。

患者の側も、予備知識がないと「だからどうしたらいいの?」となるので、症状の余裕がある時に、ある程度、書籍等で勉強した方が良いです。予備知識があると、診察でもより具体的な判断を医師に仰げるようになります。私も、初発の時は、大学図書館でうつ病の書籍を読み漁りました。

「自分が”うつ病”なんて、いやだ!自分のメンタルは健康であるはずだ!」と、望むような(うつを否定するような)確定診断になるまで、ドクターショッピングをするのは、お気持ちはわかりますが、あまり意味がありません。服薬は別にして、生活上で気をつけなければいけないことは、変わりがないからです。

具体的に、生活で気をつけたいこと

うつ病の人が生活で気を付けたいことは、例えば、以下のようなことが挙げられます。ネット検索で出てきたものです。

・休みをとる
・楽しみの時間をつくる
・日の光を浴びる
・音楽を聴く
・生活のリズムを守る
・食生活に気をつける
・食事は好きな物を食べる
・アルコールの量に注意する
・思考パターンを変える
・ゆとりのある生活を
・自分だけで抱え込まない

ベテランうつサバイバーの私からすると、正直物足りない印象を受けます。特に、「食生活に気をつける。食事は好きな物を食べる」というのは、少し矛盾を孕んでいます。「こうすればいい」という一般論で語るのは難しいのです。生活習慣病のリスクもあります。具体的にどうするかは、自分でも咀嚼する必要があります。
私が何かアドバイスめいたものを求められるならば、「自分の精神力を過信しない」ということです。うつの傾向がある人は、ただでさえ、頑張り屋さんです。24時間365日全力投球していたら、体を壊してしまいます。その頑張りは、多くはオーバースペックかもしれません。メリハリが大事です。精神力を爆発させるのは、ここぞという時に取っておきましょう。普段は7〜8割のパフォーマンスで十分回ることが多いのではないでしょうか。

うつ病対応は予防にも

それまで何の病気もせずに、いきなり精神疾患の病名がつくと、ショックを受ける気持ちはよくわかります。それがフィジカルなものではなく、メンタルなものなら、尚更かもしれません。
しかしながら、うつ病は、別に、精神力が弱いからなるわけではありません(発症メカニズムは、正直、十分と言えるほどにはよくわかっていません)。病名がつくことで、むしろ安堵したりする場合もままあります。原因や構図が判れば、恐れは半減します。大企業に勤務していたなら、その方が職場でも調整してもらえやすいです。確定診断が下りるかどうかに関わらず、生活で気をつけた方がいいことは、気をつけたいところです。予防にもなります。
最後に繰り返しになりますが、不眠・食欲低下・気分の落ち込みなどの予兆が見られるようならば、必ず、自己判断せずに、医師の診察を受けてください。


本稿は以上です。それではまた、次のコラムでお会いしましょう!

#1 このコラムは、メール配信(メルマガ)でもお読みいただけます。
メルマガの登録はこちらからお願いします。

#2 コラムの感想や、取り上げて欲しいテーマのリクエストもお待ちしております。こちらからお寄せください。

◇◇◇

★ メインのお仕事↓↓についてのお問い合わせは、こちらまでお願いします。

Noteカバー画像

★ その他、ご相談等は、こちらからお願いします。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
ありがとうございます!励みになります!
3
精神科キャリアコンサルタント。復職を志す方、またそのご家族の方にお役立ちな、キャリア形成やメンタルヘルス・精神保健に関するコラムを、毎週お届けします。脱うつ転職活動で知っておきたい最新ニュースについても。 [サービス受付ページ]http://www.s-yam-gucci.jp