厚生労働白書(令和2年版)を読み解くー前編:障害者支援の総合的な推進

今年版の厚生労働白書が、23日(金)に公開されました。

発行の経緯ですが、

厚労白書は、年1回公表されているが、毎月勤労統計の不正問題の影響などで18年版の報告が19年7月にずれ込んだ。このため厚労省は19年版を欠番とし、20年版で過去2年間の取り組みを紹介した。
時事

目次は以下の通りです。ざっと読み流していただければと思います。

【第1部】令和時代の社会保障と働き方を考える
第1章:平成の30年間と、2040年にかけての社会の変容
・第1節:高齢化の伸びの鈍化と人口減少
・第2節:寿命と健康
・第3節:労働力と働き方の動向
・第4節:技術と暮らし・仕事
・第5節:縮小する地域社会
・第6節:縮小する世帯・家族
・第7節:暮らしの中の人とのつながり・支え合いの変容
・第8節:暮らし向きと生活を巡る意識
・第9節:社会保障制度をめぐる動向
第2章:令和時代の社会保障と働き方のあり方
・第1節:今後の対応の方向性
・第2節:新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響
・第3節:人生100年時代に向けて
・第4節:担い手不足・人口減少の克服に向けて
・第5節:新たなつながり・支え合いに向けて
・第6節:生活を支える社会保障制度の維持・発展に向けて

【第2部】現下の政策課題への対応
第1章:子どもを産み育てやすい環境づくり
第2章:働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など
第3章:女性、若者、高齢者等の多様な働き手の参画
第4章:自立した生活の実現と暮らしの安心確保
第5章:若者も高齢者も安心できる年金制度の確立
第6章:医療関連イノベーションの推進
第7章:国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現
第8章:健康で安全な生活の確保
第9章:障害者支援の総合的な推進
第10章:国際社会への貢献
第11章:行政体制の整備・情報政策の推進

ネット上では、NewsPicksを始めとして、今回メインに取り上げられた、少子高齢化の話ばかりなので(=概要のスライドしか見ていない)、そちらは他に譲るとして(一番詳しいのは、時事通信の記事であるようです)、
前編となる本稿では、第2部・年次行政報告の第9章「障害者支援の総合的な推進」を取り上げます。

第2部第9章「障害者支援の総合的な推進」

構成は以下の通りです。

第1節:障害福祉施策の推進について
1 障害者総合支援法等に基づく支援
(1)障害者総合支援法の施行について
(2)難病患者等への対象拡大
(3)障害福祉サービスの充実
(4)障害児支援の強化等
(5)第5期及び第6期障害福祉計画等に係る基本指針
2 障害者の虐待防止
3 発達障害者の支援
(1)発達障害者に対する地域支援体制の確立
(2)発達障害者への支援手法の開発・早期支援や普及啓発の着実な実施
(3)発達障害者への医療提供体制の充実
(4)発達障害支援に関する福祉・教育分野の連携の推進
4 障害者扶養共済制度(しょうがい共済)
5 高次脳機能障害者の支援

第2節:障害者の社会参加支援について

第3節:精神保健医療福祉について
1 精神保健医療福祉の現状と課題について
2 精神保健医療福祉の取組状況について
3 こころの健康対策
4 依存症対策

一瞥して分かるとおり、近年非常に注目されている発達障害への取り組みについて、紙数が割かれています。特に、前回2018年の内容が、

(3)発達障害者への医療提供体制の充実
(4)発達障害支援に関する福祉・教育分野の連携の推進

として、まとめ直されています。国がやるべきことのスコープが、はっきりしてきたということでしょうか。また、”発達障害専門医療機関初診待機解消事業”が、2019年度から始まっています。こちらのプレスリリースに詳しいです。発達障害の人が家族にいる方は、ご一読をお奨めします。

第3節:精神保健医療福祉

これについても、精神保健福祉士としては見逃せません。項目2の「精神保健医療福祉の取組状況について」で、法整備の経緯がまとめられており、以下の記述も前回2018年の厚労白書に引き続いて記載があります。まだ、道半ばといったところでしょうか。

2016(平成 28)年 1月から開催された「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」が取りまとめた報告書の内容及び社会保障審議会障害者部会の議論を踏まえ、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」が新たな政策理念として掲げられた。
これを受けて、2017(平成 29)年度より、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、第5期障害福祉計画(2018(平成 30)~2020(令和 2)年度)において、保健・医療・福祉関係者による協議の場の設置を成果目標とすることとし、障害保健福祉圏域ごとの保健・医療・福祉関係者による協議の場を通じて、精神科病院等の医療機関、地域援助事業者、自治体等、関係者間の顔の見える関係を構築し、地域の課題を共有化した上で、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステ
ムの構築」に資する取組みを推進している。(太字引用者)

最近、主要メディアでも明るみに出始めた、長期強制入院(医療保護入院)の問題についても、引き続き、記載があります。今後の取り組みに期待したいところです。

こころの健康対策”では、早期発見・治療の必要性のみならず、非薬物療法(認知行動療法)にも触れられているのが興味深いところです。こちらは一朝一夕で変えられるものではないため、前回2018年の厚労白書と、記述に違いはありません(労働者へのメンタルヘルス対策については、第2部第2章でより詳しく取り上げられています)。

本年版では特に、新型コロナ関連の対応についても記載があります。

新型コロナウイルス感染症の影響により、不安やストレス等の心の悩みを抱えた国民の心のケアを行うため、精神保健福祉センター等において、相談内容に応じて、必要な助言を行うとともに、適切な機関等につなぐ等の対応を行っている。(同上)

精神保健福祉センターは、各都道府県・政令市に設置されています。業務としては、
「1. 企画立案」「2. 技術指導及び技術援助」「3. 人材育成」「4. 普及啓発」「5. 調査研究」「6. 精神保健福祉相談」「7. 組織育成」「8. 精神医療審査会の審査に関する事務」「9.自立支援医療(精神通院医療)及び精神障害者保健福祉手帳の判定」
が挙げられています。一応、相談業務も担っているようです。寡聞にして、あまり実例を聞いたことがありませんが。

加えて、依存症の項も目を通しておきたいところです。奇しくも、最近、有名人の依存症が芸能ニュースになっていますが。


本稿は以上です。それではまた、次のコラムでお会いしましょう!

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