よくある社会復帰相談に対する鉄板回答(1)〜治療編〜

よくある社会復帰相談に対する鉄板回答(1)〜治療編〜

今回から何回かに分けて、うつ病からの社会復帰において、よくある疑問とその”鉄板回答”について取り上げます。

精神疾患は”個別性”と言って、その人が病気になった要因は、そのケースに依り千差万別なので、その人の個別具体性に寄り添ってサポートしなければいけないというのが、基本的な考え方です。
しかしながら、実際の支援現場では、こと、働く人のメンタルヘルスに関して言えば、状況は驚くほどよく似ているというのが実感です。それに対する対処法も鉄板事項になることが多いようです。

まず本稿では、治療フェーズで沸き上がる疑問について、取り上げます。

(1)「とにかく、仕事にいかないといけないんです!!」

「まずは治療に専念して」が共通回答

その状態で働き続けると、本当に再起不能になってしまいます。
うつ病は、日常生活はなんとか送ることができる程度の浅い状態なら、ほぼ完治が望めます(その治療においては、極めて慎重になる必要がありますが)。
精神疾患では「完治」という考えは取らず、「寛解」という言葉を用います。すなわち、病気が良くなった後でも、再発しないように常に留意して生活することが求められます。メンタルヘルスのことなど全く気にも止めなかった以前の日常状態に戻ることは、再発リスクを高めるので望ましくないのです。再発すると、寛解する確率は下がります。うつ病の再発率は50%と言われていますが、再々発率は70%、再々々発率は90%(つまり、ほとんど治らない)と言われています。

とにかく、まずは治療に専念してください。
仕事のことが気になるのはよくわかりますが(特に、あなたが管理職の場合は、休んだ影響が自分のことだけではすまなくなりますし)、まずは静養することが基本です。”タテタテヨコヨコ”のところてん人事方式の日本企業なら特に、自分がいなくても職場は回るのです。頭の中が仕事のことでいっぱいだと、日常風景に気を留めることもないでしょう。その余裕のなさが自分を追い詰めているのです。

うつ病は自分を守るための体のサインなのです。そのサインを無視して働き続けると、心身が崩壊します。それを修復するのには、最低、いま復帰まで見積もっているものの数倍の年月を要します。
少し気持ちに余裕が出たら、自宅の近所の散歩をしてみると良いでしょう(ここも、医師と要相談です)。今まで気にも留めていなかった風景が、鮮やかに見えてくるでしょう。いかに、休む前が、精神的に追い詰められていたかが実感できると思います。

経済的なことも心配になるでしょうが、傷病手当金などのサポート制度があります(1年半という期限がありますが)。その他生活支援など、詳しい事は、役所の福祉課に相談すれば教えてくれます(就労状態によって、差があるので、役所にご確認ください)。来庁しなくても、電話で大丈夫です。家族がいるなら、代わりにやってもらってください。お勤め先が大企業なら、会社の人事にも相談してください(これもメールで必要十分です)。初発で比較的浅い段階なら、経済的な支援が切れることを心配する必要はありません。

(2)「うつ病でまだ休むのは心の甘えではないのか?」

「そんなことはありません。病気なのですから、まだ治療への専念が必要です」

医師だったら、こうきっぱり言ってくれると思います。
近年は、うつ病は脳機能の障害によるものだという認識が広がったので(その妥当性はともかくとして)、少なくとも、うつになったのは、その人の心の甘えだという精神論は少なくなってきたようです。

ただし。

うつ病が回復基調にある時、「もう良くなってきたんだから、まだ治っていないので働けません、はただの甘えなのではないか」という考えが去来することは、よくあることです。気分も落ち着いてくるので、「もう働けるのでは?」と思ってしまいがちです。そのお気持ちは、よくわかります。

これの答えを申し上げると、「そういう時に背伸びをするのが一番危ない」です。
そんなに短期間で良くなりません。ストレスの水が溜まり溜まって、心のダムが決壊したのが精神疾患ですから、そのダムが再び堅牢になるには、相応の時間がかかります。たかだか2週間くらい休んだくらいでは、仕事から離れたことで症状は良くなるかもしれませんが、回復したとはとても言えません。

私も、1度目の休職(正確には傷病欠勤ですが)では、2週間で仕事にカムバックしましたが、後から考えると全然良くなってはいませんでした。厳しい上司との1on1(当時はそんな言葉はありませんでしたが)に耐えられるだけの精神力がありませんでした。ふた月くらいで再び休職を余儀なくされ、その時は、主治医から就労許可が出るまで3ヶ月くらいはかかりました。正規就労に戻ったのは、5ヶ月後くらいでした。

再発すると、寛解する確率は下がります。先ほども述べたように、うつ病の再発率は50%、再々発率は70%、再々々発率は90%と言われています。自分の病状を甘く見積もった結果、再発を繰り返して、回復困難な慢性化事例になってしまうのが一番良くありません。

もう跳べるかもしれないのに屈み続けるのは、居心地の良いものではありません。早く跳んで、外の景色を見たい!と思うのが人間の心情です。特に、働くことに生きがいを持てている意欲的な人はそうでしょう。でもそれは、水浸しになった心のダムから水が引いているだけなのです。ダムそのものはまだ湿っていて、水圧に弱い状態なのです。そこに、以前と同じようにストレスの水が溜まってきたら、あっという間に崩壊してしまいます。その時は、ダムを元どおりにするのは、難しくなってしまいます。

本稿は以上です。次稿では、復職編をお届けする予定です。
それではまた、次のコラムでお会いしましょう!

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