うつ離職者に見られる心理的葛藤の困難性とその超克法ー道は厳しいが光はある

前回のコラムでは、休職者を対象にしましたが、本来、社会的にサポートが最も必要なのは、休職期間満了で退職に追い込まれた人です。巷のリワーク施設でも、離職者は対象としていないところが多くあります。支援の目的・範囲・方法が、全然違うからなのですが、セーフティーネットとしてはあまりに冷淡です。

本稿では、うつ離職者に見られる心理的葛藤に、スコープを当てたいと思います。主に、私の休職経験を交えながら、見ていきたいと思います。
(私の例は、離職ではありませんが、所属部署を失い、人事としても宛行(あてがい)先がないという意味で、実質、離職状態でしたので、ご参考になればと思います。)

キャリアカウンセリングは、万能ではない。

再就職にあたっては、
「まずは転職エージェントに申し込んで、キャリア面談を受けよう」
となりますが、転職エージェントは求職者の味方ではなく、求人企業の味方なので(それがビジネスモデルですから)、「お手上げ」で門前払いになることが現実としてあります(正直、40代以降の非管理職に対しては、とても厳しいです)。キャリアアドバイザーのキャリアカウンセリングは、万能ではないのです。
そうなった場合、自分一人で闘わなければなりません。私のサービスはそういうあなたを支援するものですが、今年2番目のコラムで、大枠の”闘う”手順は解説しました。

0. まず、ある程度の回復が前提
1. ”考え方の偏り”は自覚しておく
2. 自己棚卸とストレングスファインダーをしておく
3. "As-Is"と"To-Be"のギャップを把握しておく
4. 行動を阻む認知の問題は潰しておく
5. 行動オプションは科学的に評価する
6. ソーシャルスキルをアップする

詳細は本稿では触れませんが、いくつかステップがあり、それを踏んで行けば、必ずしも袋小路ではないことは、お伝えしたいです。

失敗体験ゆえに、ネガティブイメージしか湧かないが…

戦線離脱してしまったのには、要因が必ずあります。

仕事内容そのもの?
上司・部下・チームとの内部関係?
お客様・家庭など、その他の環境要因?

別に、あなたに責があると言いたいのではありません。私自身の経験を考えても、単一要因ではなく、これらが複層的になっていることが多いです。

私は、新卒でシステム開発のソフトウェア企業に入社したのですが、仕事そのものも苦痛でしたし(コーディングという、明らかに自分に向いていない作業をずっとやらされた)、上司やチームとの関係も最悪でした(周りは自分に対して無関心だったし、査定で評価しようという姿勢も持っていなかった)。職場は実家から毎日通える場所ではなく、体調が悪いにも関わらず半・独居生活を強いられました(実際には、週の半ばでも、実家帰宅をしていた)。もう、こうなると、ネガティブイメージのデフレスパイラルです。

自分でやると、自責感に苛まれてしまうことが往々にしてあります。第三者(できれば、キャリアカウンセラーなど、その手のプロフェッショナル)の手を借りることをお勧めします。

ツールを使うのも有効です。
will / can / must に分けて考える、SWOT分析を行う、ライフラインチャート(幸福度を年齢軸で追ったもの)を描いてみる、なども有効です(転職エージェントのキャリアアドバイザーも、これらを活用しているようです)。

will / can / must に分けて考える

"will"は「やりたいこと」、"can"は「できること」、"must"は「しなけれならないこと」「やるべきこと」、です。
当時、私のやりたいことは、元々はコンサルティングでした。”元々は”というのは、学生時代にイメージしていたITコンサルティングと、実際にやってることのギャップが非常に大きかったからでした。「やりたいこと」を、完全に見失っている状態でした。
そんな中で「できること」といえば…

新人だったので実績は少なかったですが、資料にまとめるのは得意でした。システム全体図を上司と一緒に描いたり(それまで無かったのが恐ろしい…)、常駐先の人事体系を分析して見積もり資料に加えたり、チームメンバーの進捗を管理資料に起こしたり、など、マネジメントの補佐業務(PMOというやつです)もしていました。光を当てるとすれば、ここにあるのだと思います。のちの転職活動でも、この部分を強調していました。

社会的使命感(自分に”やるべき”こと)などという能動的なものは、ほとんどありませんでした。上司にタスクと期限を与えられて、その中でシステム障害の対応をしなければいけませんでした。完全に、”やらされ感”満載の受け身姿勢です。職務経験はそれしかありませんでしたから、”働く”ということに対して、能動的・肯定的なメージは全く持てていませんでした。

SWOT分析を行う

"SWOT"とは、Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の略です。最初の二つは内部要因、あとの二つは外部要因です。上級編として、{強み,弱み}×{機会,脅威}の4領域の組み合わせを考える、”クロスSWOT分析”もあります。

当時の私には、ポジテイブなものが、何一つ埋まらないのです。難解なタスクと、守れそうにもない期限に追われる恐怖しかありませんでした。このような場合だと、可能ならば、環境(職場・業界)を変えた方が望ましいのは一目瞭然です。外部要因{機会,脅威}が変われば、内部要因{強み,弱み}を書き換えることも、十分に期待できます。当時の私はまだ20代だったので、ジョブチェンジは十分に期待できました。離職したあなたは、もう元の悪環境に縛られる必要はありません。”強み”を生み出しそうな”機会”を、探りましょう。

ライフラインチャートを描く

これは、今年3番目のコラムで取り上げました。横軸に時間をとって、縦軸に幸福度・充実度をプロットします。人生の局面ごとに有効なのでお勧めです。

当時、体調はゲロゲロで、死戦の様相でした。キャリアの充実度なんて、全くありません。地を這っていたと言えます。
社会人経験の長い方なら、新人からずっと最低空飛行ということはないでしょう。”山”の高さは人によると思いますが、幸福度・充実度の浮き沈みはあるはずです。どのような時に好調だったかを振り返ってみましょう。そこから、今、自分でどう状況を変えられるかが見えてくるはずです。

現実は、できること>>やりたいこと

最終的には、自分が何をできるか、直近の職歴をもって、応募先企業に伝えることが必要になります。新卒であれば、意欲(やりたいこと)などのポテンシャルで見ますが、社会人経験者では「何ができるか」「何で貢献してくれるか」で相手先企業は評価します。
(逆に言うと、士業などの専門職ならば、年齢にそれほど縛られることなく”新卒”扱いになるので、キャリア挽回のチャンスはあります。丁稚奉公スタートなので、あまりお勧めはできませんが)。

離職になってしまうと、道はとても厳しいですが、光はあります。ここまで見てきたように、自身では気がついていない「できること」の発現は、大いに見込めるのです。それを手繰り寄せていきましょう。

◇◇◇

本稿は以上です。それではまた、次のコラムでお会いしましょう!

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