戦慄の実態:強制入院と身体拘束ー精神科の非常識・各論(1)

今回から、「精神科の非常識」シリーズの各論に入ります。各論第1回目の本稿は、精神科入院についてです。

※注意※
本稿の内容によって発生する、いかなる不利益も、当方は責任は持ちません。

前回のおさらい+α

日本の精神科病院には、患者に”自傷他害の恐れ”があるときや、”急速を要するとき”に認められる強制入院の仕組みがあり、それは要件ごとに入院形態がいくつかある、ということでした。また、医師1人の診察と家族の同意で強制入院をさせられる、”医療保護入院”という形態もあり、これは家族トラブルの解決法として悪用されるケースも中にはある、ということでした。

日本の精神科病院では、”身体拘束”も認められています。具体的には、”保護室”に隔離したり、ベットに縛りつけたりすることです。もちろん、人権侵害以外の何物でもありませんから、例えばWHOは、30分ごとの再評価・4時間までの継続制限などの要件を示しています。
しかしながら、医療スタッフの人員不足などで、本来その必要のない状態であっても、身体拘束をするケースが散発しています。信じられないような話ですが、中には、「巡回看護師に反抗的な態度を取った」という理由で、「治療を拒否したから強制行為をする」というケースもあります。身体拘束は最悪の場合、死亡するケースも報告されており、とてもリスクの高い行為ですが、これはとても治療とは言えません。人権感覚も何もありません。

ある日突然、強制連行される?

ある朝突然、屈強な男数人に無理やり抱き抱えられ、強制連行された先が精神科病院で、勝手に(医療保護)入院させられた。もっとひどい場合になると、「治療を拒否するから」「言うことを聞かないから」と隔離室に閉じ込められたり、ベットに縛りつけれられ栄養チューブとおむつをつけられる、ということが起きています。

その場で警察を呼んでも、助けてくれるどころか、その屈強な男たちの味方をするということもあります。なぜなら、その屈強な男たちは、警察OBだから。OBの行動には反抗できない?いいえ、そうではないでしょう。移送業者が警察の天下り先になっており、両者がグルとなっている構図があると考えるのが自然でしょう。初めから受診を”説得”などするつもりもなく、暴力で連行することが前提なのです。”説得”があったとしても、それは元ヤンの言動そのものであったりします。つまり、警察がヤクザまがい、いやヤクザそのものの行動をしているのです。そういう構造がこの国にはあるのでしょう。

成人の行動制限を何の資格もない業者がやって良いはずがありませんが、あろうことか、病院側が移送業者の仲介をしていることもあるのです。カルテには「移送業者」としか書かれていないので後追いもできず、実態解明にも繋がっていません。通常、他の病院からの紹介による受診だと、その病院名はカルテに明記します。家族の勧めによる受診なら、家族の誰かも明記します。それをわざと曖昧に書いているのは、警察とも含めて、移送業者と結託しているからだとしか考えられません。移送業者の仲介をしているのは病院だけではありません。家族が役所の障害福祉課に相談したら、移送業者を紹介されることも中にはあるようです。拉致・監禁がグルで行われるという、戦慄する社会の仕組みです。

移送業者しか手段がないって、ホント?

では、なぜそのようなことになってしまうのでしょう。家族が無為自閉状態の本人に医療を受けさせたくても、多忙な病院の医師が訪問治療をしてくれるわけがなく「○月△日XX時に、病院に連れてください」としか言えず、家族がそれに連れて行けるわけもなく、裏社会もどきに手を染めるケースが後を絶たないのです。
しかしながら、後から後悔しても遅いのです。こういう強烈極まる恐怖体験をさせたら、家族関係は、治療による修復どころか、完全に壊れてしまいます。後から謝って済む話ではありません。

ここまで見たのはレアケースです。多くの病院は「行動制限最小化委員会」を設置し、ケースごとにそれが妥当な処置であったか、院内できちんと倫理管理をする仕組みがあります。これは法律でも義務付けられており、診療点数も付きます。病院内に外部機関に通報するための電話機を設置することも義務付けられています。患者が来院しなくて良いよう、”アウトリーチ”(訪問診療)も広がっています。

海外と国内の先端事例

特にイタリアでは、”バザーリア改革”と呼ばれる取り組みを端緒に、精神科病院は廃止され、”地域”でケアをする制度が整っています(ただし、「精神科診療治療サービス」(SPDC)という精神科救急病棟に相当するものが残っています)。
これを先進事例として、日本も倣うべきだという議論も多いですが、現実問題として、いきなり病院を全廃して地域移行ができるかというと、精神障害に対する世間の理解もまだまだですし、そもそも日本で”地域福祉”(地域において住民の生活の維持・改善を図るために、行政・住民・民間団体で行われる活動)と呼べるものがあるかというと、それもまた疑問符がつきます。地域のコミュニティ喪失が指摘されて久しいからです。
日本では「社会的入院」という言葉があります。本来、入院レベルではないにも関わらず、病院の外で受け入れられる場所がないため、入院している人がいることを指します。じゃあ、グループホームなど地域の施設を増やせば良いかと思うかもしれませんが、話はそう単純ではありません。病状が落ち着いていることと、地域で社会性を守って生活できることは、別の話だからです。

日本で先端事例とされるものに、「浦河べてるの家」というところがあります。北海道・浦河町にある、医療機関とも連携した精神障害者の生活拠点ですが、精神治療の聖地みたいなところです。私も、ここの出身の精神科医に知り合いがいます。一部有料ですが、Noteもやっているようです。べてるでは、「自分でつけよう自分の病気」「勝手に治すな自分の病気」「三度の飯よりミーティング」「幻聴から幻聴さんへ」などを理念にしています。移送業者による強制入院など、起こり得ないのです。


本稿の執筆には、各所の資料を参考にしました。精神科移送の問題は、専門職でも知らなかったりします(詳細なことは、私も最近知った始末です)。本稿は以上です。
それではまた、次のコラムでお会いしましょう!

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