ヒーローの憂鬱
私はどうしても戦隊ヒーロー物などの勧善懲悪のたぐいのものを笑って観ることができない。
ヒーロー側に100%の感情移入をすれば、それは楽しい物語のはずだ。
だが私にはそれができない。
どうしたって銃で撃たれ、金ぴかに光った剣で切られて倒されていく怪獣の姿が切なく思えてしまうからだ。
なぜなら彼らにも彼らなりの正義があるのだ。
あの怪獣にだって子供がいて、食っていくために働いているのだ。
もちろん、悪いことはだめだ。
だがそれを悪いことと決めつけているのはヒーローだけかもしれない。
彼らの子供たちや仲間にとって見たら、ヒーローが怪獣なのだ。
そんな表裏一体の世界で、勧善懲悪という価値観を蔓延させて果たしていいのだろうか。
だってそうだと思わないか。
痴漢を捕まえたはずの私が檻の中でこれを書いている。