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下請けの出す側・受ける側を両方やったから見えたこと。

私が代表を務めております行政書士法人つむぎは、2021年4月1日で法人化して1期目が完了し、この春から2期目に突入いたします。
個人で行政書士開業してからだと8年の月日が経過しました。

おかげ様で様々な形態でお仕事を受けたり出したりする経験に恵まれ、日々変化に富んだ楽しい職業人生を送らせていただいております。
本当にありがとうございます。

さて、春です。

新規開業者や開業を考えている方からの質問や相談も増えているので、今日は下請けの是非について、出す側も受ける側も経験している私が思う所について、下請けサイドに役に立つ内容で言及してみようかなと思います。

まずは仕事量についてしっかり考えよう。

下請けをやるべきかやらないべきかについては、私の中では結論が出ています。
『同一業務である程度一定の量がある下請け業務をやれるチャンスがあるなら積極的に受任すべき。』です。

つまり、発注者側が専門特化している事務所で、事務所内で大量に回している同一案件の一部を下請けとして受任する場合ですね。

「専門外の案件がきたからこれやっといて」という何が来るかわからない、同じ業務が一定数でこないランダムな仕事の下請けはここには含まれません。
(このパターンについてはまた別記事で書ければいいなと思います。)

一定の量がある仕事というのは、毎日や毎月決まった量の仕事が来ることではありません。
下請けに出してくれる同一業務での”最低数だけ”はある程度決まっている仕事
ということです。

そもそもなぜ発注者側が下請けさんに業務をお願いするのかということを考えてみてください。
受任件数を完全にはコントロールできないから100%内製で処理することが難しくなり、下請けさんにお願いするのです。

つまり、毎日や毎月、”決められた件数だけ”を下請けさんにお願いするという出し方は発注者側にとっては難しい(またはやりたくない)ことだと理解した方がいいでしょう。

発注者側の思惑。

下請けを受ける側としては、それが初めてだったり経験の乏しい業務であれば「まずは数件から様子を見させてください」と言いたいところだろうと思いますが、これは全く発注者のニーズには合いません。

毎月数件だけしか処理してもらえない(これから先その人が伸びるかどうかなんて判断不可能)、だと発注者側としては管理が面倒になるだけなので出す意味がほぼない(むしろ手間が増えるばかりだからそれなら出したくない)のです。

自営業者として開業したなら自分の名前と責任で仕事を受ける覚悟が出来ていない方がおかしいので、よっぽどの関係性が無い限りは残念ながら、出来ないかもしれないならうちの仕事はやらなくていいですよとしか言われないでしょう。

「毎日最低〇件(または毎月最低〇件)ぐらいは処理可能ですか?」という打診を受けたら、当面の間のあなたに出す仕事量の最低保証はその件数ですよということで、本当はもっともっと多くの案件を発注側は持っています。

最低ロット数から様子を見て、仕事内容や処理能力に問題が無いようであればその最低保証発注数を限界まで増やしたいという隠れた思いが発注者側にはあります。

ちなみに最低ロット数は、発注者が下請けさんに仕事を出す手間と事務所内のその時点でのパンク率と下請けさんへの期待値によって算出されるので、打診するその時々で変わります。

つまり、打診された最低ロット数は『これぐらいの数なら”絶対に”事故らずにやってくれるよね?』という発注者側からのあなたへの期待値(圧力)だと思ってください。

最低ロット数を約束したからには、何があってもこの数字は絶対に事故らずに納品できなければ請けてはいけないという覚悟で臨んでくださいということです。

実際自分にとってはその数字が処理できるギリギリな件数だったとしても、最初にその旨を伝えていなければ、ある日突然その数字が、もしくはなんらかの追加要件が、後から増えることが多々あるからです(怖)

序盤からめちゃくちゃ怖い話をしましたが、これは私が下請けも元請けもそれなりの数をこなした経験から、ぶっちゃけるとこういうことなんだろうなと現時点で思っていることを書きました。

下請けはどのように仕事を請ければ良いのか?

とはいえ、恐れているだけでは仕事を請けることは一生できません。
どのように下請け仕事を請け、処理していけばいいのかについて私が思う解決策も書いてみたいと思います。

『受任交渉は妥協や遠慮をせずに全力でやる!』

端的に言うとこれだけです。本当に。
『発注者側に対してNOと言ったり意見をしてはいけない』と思い込んでいる人がめちゃくちゃ多いのではないかと感じています。

もちろん様々な業界においてはそういう圧倒的な上下関係がある場合も多いですが、ここでしているのは行政書士開業者同士での下請けの話です。
プロがプロに依頼をするのに、意見が言えないわけがない。

ほとんどの場合において発注者はなんらかの意味で先輩だと思うので礼儀を失することは許されませんが、ビジネスマン同士として商談交渉するのは当然のことだと思います。

実際に私は下請け業務を打診されたらめちゃくちゃ条件交渉しています。
双方で納得のいく落としどころに辿り着かなければ、非常に残念ですが普通にお断りすることもあります。

交渉したからって怒られたこともありませんし、断ったからって2度と頼まれなかったということも私はまだ経験したことがありません。
むしろ1度破談になった人とは2度目以降の交渉はだいたいうまくいく印象です。

そもそも論として、どうでもいい人に下請け仕事なんて頼みません。
この人と一緒に仕事をしたいとか、この人を応援してあげたいとか思える人に対して下請けの打診をしているはずです。

少なくとも私が発注者側の場合の下請けさんの選定基準の1つはそこにありますし、弊所に下請け仕事の打診をしてくださる他の先生方も弊所または私に対してそう思ってくださっていると感じています。

だから自信を持って、事故を起こさずしっかり納品できる『量』や『条件』を相手方としっかり話し合いましょう。
不安な点や疑問点も、最初にクリアにしておかなければ後になるほど聞けなくなるし、疑念が膨らむばかりでいいことはありません。

話し合いに応じてくれない、聞けば聞くほどひどい条件だった、そんな時は断っても何も問題ではありません。

あの事務所クソな条件で下請け出してきた!とか外に言いふらすのは色んな意味で自分が損をするだけなので絶対にダメですよ!(この理由は後述します)

下請けは経験した方が良い!ただし・・・

ゲーム実況を見ているだけでゲームがうまくなるわけでは無いのと同じで、実務書を読んでるだけでは永遠に一人前にはなれません。
何時間勉強しようと、どれだけ要件を暗記していようと、実績0ならただの素人です。

本当の意味で専門家になるためには、実際の案件にどれだけ多く触れられるかが大きなポイントになります。

下請け業務は、生きた案件をリアルにそして大量に経験させてくれるとても貴重な場です。
得しかないのにやらない意味がわからない。そう思って私は未だに他事務所さんの下請け業務も有難く受任しています。

でも、下請けならなんでもやってみればいいという話ではありません。
『ただし、○○なら止めておいた方がいい。』
このただし書きの地雷が結構たくさんあります。

私が過去に地雷を踏んでケガした実例を交えつつ、この条件なら回避しておいた方がいいですよという項目を書いてみたいと思います。

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