2019年10月5日(土)

ウラジオストクの海岸沿いにあるブランコで娘と遊んでいたら、隣で遊んでいた少年(未就学児童と思われる)がありえない速さで回転しはじめた。

娘は自分のブランコを漕ぐことを忘れ、唖然としながら高速回転の少年をじっと眺めていたが、しばらくして心配そうに「父ちゃん、あれ大丈夫なのかな?」と聞いてきたので、私が「あれはちょっともう駄目だな」と答えると、娘は「そうだよね!  駄目だよね!」と言って堰を切ったように笑いはじめた。ロシア式の無謀なブランコ遊びに衝撃を受けた娘が声を出して笑っていると、少年は調子に乗って更に回転速度を増す。また笑う娘。また回る少年。笑う。回る。笑う。回る。

確かに、こんな風に過激に遊ぶ子どもは、日本ではあまり見かけなくなってしまった。もしかしたら、娘はこのロシアの少年にちょっとしたカルチャーショックを受けているのかもしれないな、などと思いながら、娘と少年の姿を眺めていたら、少年がちょっと危ないぐらいの速さで回りはじめ、近くの壁に激突しそうだったので「ニェット! ニェット! ニェット!」と言って止めた。

ちょっと心配になってきたので、近くに少年の親がいないか探してみたが、それらしい人の姿はなく、よくよく眺めてみると、ここは子どもの遊び場ではなく、水煙草を吸わせるバーのカウンターだったのだ。

そうだそうだ、俺は今、日本ではなくロシアに来ているんだった。娘と一緒にいると、どこであろうが娘の世話が優先されてしまって、旅行に来ているとか、海外に来ているとかいう意識がどうしても希薄になってしまって良くない。

ニェット! ニェット! ニェット!

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