起業を夢見た小学生がエンジェル投資家になった話
はじめに
先日、未公開ベンチャー企業と個人投資家をつなぐ株式投資型クラウドファンディング「イークラウド 」を公開し、記念すべき第1号案件「地元カンパニー」の投資家募集を開始しました。ギフト系ベンチャー企業では昨年上場したギフティ社、先日大型調達したギフトEC「TANP」を運営するGracia社など、巨大ギフト市場にベンチャー企業が続々と参入しています。
イークラウド では私もアドバイザーとして20年近い投資経験を活かして起業家と面談し、事業計画を読み込み、自分が本当に応援したいと思える企業を推薦しています。1口10万円から投資できますので、応援よろしくお願いします。
エンジェル投資家としての実績
創業間もない企業に投資する個人投資家をエンジェル投資家といいます。私はずっとベンチャーキャピタルの経営に関わっているため、利益相反の観点から個人的にエンジェル投資をやっていません。しかし、サイバーエージェント・ベンチャーズ(VC)を辞めて、WiL(VC)を創業するまで2013年の数ヶ月間だけ、エンジェル投資家として活動しました。シードVCに1件、事業会社に3件、合計4件に個人資産から4,000万円弱を投資し、実績は約7年経過して実現したキャピタルゲインで5億円程度。現在の含み益を考慮すると最終的に投資金額の20倍程度のリターンを見込んでいます。キャピタルゲインは自分が創業したXTechグループの新規事業、M&A、ベンチャー企業投資に活用しており、ベンチャー企業投資で得た資金をまたベンチャー企業に還元するというエコシステムに貢献することができました。
エンジェル投資家への想い
私は小学生の頃から起業に興味があり(テレビで観た社長への憧れがきっかけ)、ゲーム会社の社長になるのが夢でした。小学校高学年からパソコン雑誌に掲載されているソースコードを写経(そのまんま自分のPCに打ち込み)して改造や移植するところからプログラミングを独学しました。ちなみにこの夢は20年後にサイバーエージェントグループの最初のゲーム会社社長になることで叶えました。
エンジェル投資家に憧れ、ベンチャー企業投資をライフワークの1つにしたいと思ったのは大学3年生の時でした。早稲田大学図書館で起業について調べていたところ、「エンジェル投資家」や「ベンチャーキャピタル」の概念を詳しく知りました。当時まだ日本ではベンチャーキャピタルの知名度は低く、創業間もないベンチャー企業に融資ではなく投資という資金調達手段があることを知ったのは衝撃的でした。特に成功した起業家が、後続のベンチャー企業のためにリスクをとって投資するエンジェル投資家は心底カッコいいと思い、またその素晴らしいベンチャーエコシステムを日本でも実現したいとの想いが強くなりました。
20代でイメージしたエンジェル投資家までの道のり
1. まず経営者になって事業で実績を積む
↓
2. 経営経験を強みにシード、アーリー向けの小規模ベンチャーキャピタルを経営
↓
3. 投資実績を元にミドル、レイター向けの大規模ベンチャーキャピタルを経営
↓
4. 経営と投資の経験を活かし、自ら起業して成功し、大きなキャピタルゲインを元手にエンジェル投資家になる
30代でライブドアショックによる国内ベンチャー企業投資の停滞期を経験したことで、海外に活路を見出そうとアジア諸国でベンチャーキャピタルを立ち上げたら上手くいくなど嬉しい誤算もありましたが、今のところ、比較的イメージに近い形で実現しつつあります。
株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」 を創業した理由
以前からもっと個人でも未公開ベンチャー企業への投資ができる世界を実現すれば理想的だなと考えていました。素晴らしいベンチャーエコシステムをベンチャーキャピタルや一部のエンジェル投資家だけに留めておくのはもったいない。投資を必要としているベンチャー企業はまだまだたくさんあるし、投資機会に興味がある個人投資家もたくさんいます。しかし実際には、未公開のベンチャー企業と個人投資家が出会うことは非常に困難であり、また投資家保護の観点から法整備も必要です。そんな中、下記の法令によって株式投資型クラウドファンディングが可能になりました。
【法令】 金商法29条の4の2第10項
第一種少額電子募集取扱業務
非上場株式の募集又は私募の取扱いにより、インターネットを通じて、多くの人から少額ずつ資金を集める仕組みのこと。発行者が資金調達できる額は1年間に1億円未満、投資家が投資できる額は同一の会社につき1年間に50万円以下の少額要件が設けられている。また、投資勧誘の方法も、インターネットのウェブサイトを閲覧させる方法又は電子メールを送信する方法に限定されている。
もともと暗号資産(仮想通貨)が出てきたときに、ベンチャー企業にとっての新しい資金調達手段になる、個人投資家にとっても新しい投資手法になると思い事業化に向けて研究していたのですが、こちらはまだまだ法整備が必要で、少なくとも国内では現時点での実現性が乏しい。そこで、株式投資型クラウドファンディングから始めようと事業計画書を作り、金融のプロである大和証券にジョイントベンチャーの話を持ちかけて会社設立に漕ぎ着けました。厳しい要件を満たすため、免許取得は実に約2年かかり、ようやく事業としてスタートラインに立てました。
イークラウド 株式会社
第一種少額電子募集取扱業者
関東財務局長(金商)第 3181号
加入協会 日本証券業協会
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございます。小学生の時に起業して社長になることを夢見てから、誰もがエンジェル投資家になれる株式型クラウドファンディングをやることになった現在まで、思い返せば点と点がつながってきたなと思います。スティーブ・ジョブズの「Connecting the dots」ってやつですね。
イークラウド は私の想いの詰まった事業です。第1号案件の「地元カンパニー」、皆さまの応援よろしくお願いします。イークラウド は未公開ベンチャー企業と個人投資家をつなげて、ベンチャーエコシステムの発展と個人投資家の新しい資産形成に貢献してまいります。
私の経歴等についてはこちらを読んでいただけると幸いです。XTechというスタートアップスタジオ(Startup Studio)を経営しています。
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