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安倍晋三にヤジを飛ばさなかった友人の話

 僕が安倍晋三へヤジを飛ばした日、現場に一緒に行った仲間の中で、もっとも直接行動から縁遠い友人の文章を公開します。彼とはもう十年近い関わりがあるけど、スタンスの違いはありつつも交流を続けている、という感じ。

 記述の中には、ちょっと補足したいような気持ちに駆られる部分もあるのだけど笑、「政治には強い関心があるけど、直接行動には抵抗もある」という非常にリアルな内容の文章に共感する人はきっと多いと思う。また、このような社会運動や政治をめぐる葛藤の吐露は貴重なものだと思うので、ぜひ多くの人に読んでほしい。

以下、転載
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私は過敏性腸炎を持っているのでメンタルを病むとお腹が痛くなるビビリである。
だけど何かしら残しておこうと書いてみる。
当日私は何もできなかった、何もしなかった。
しかし排除されたのは事実であり、そのあとケーサツにもガッチリつけ回された。

そんなヤツの話でも、読んでみたいならどうぞ。

抗議当日の現場の様子

 当日、私は何人かに声をかけて安倍晋三の演説に行こうと思った。みんなに知らせようと思い、LINEに書き込んでいた。思いのほか集まりがよく、例の仲間(動画の主役、O氏)も合流することになった。

 現場では待ち合わせはしたが、すぐに合流できたのはたまたまであった。安倍が演説を始めたあと、一緒にいたO氏が先に声を上げ、真っ先に排除された。本当にあっと言う間に。そして道路を挟んで反対側(安倍晋三がいる側)の歩道まで移動し、そこでもケーサツに制止されたO氏は、ケーサツと問答。そして、それを撮影するC氏とケーサツの方々。

 自分はひたすらにビビり、O氏の数メートル後ろで、オシャレな格好をしたケーサツ(私服警官)の方と雑談していた。このケーサツには、何度か排除の法的根拠をきいたが、「聞かれたら言わなければならなくなる」という返事。それが「具体的な法律の名前を出して適用しちゃってもいいのかな」という脅しにも感じられてこわくなったので、その後は雑談だけしていた。

 途中で、「一緒に撮影してくれないと困る」とC氏に怒られるものの、ケーサツにも配慮?して、遠巻きに見ている状態は変わらなかった。二人は仲間だけど、明らかにケーサツへ敵対的な行動をとるのに、反射的に恐怖を感じたからだ。

 そのあとに自民党側の厳ついオジサンに仲間達が写真をとられそうになったので、対抗しようとしたが、ケーサツにとめられたりした。ただ、同時にケーサツはその厳ついオジサンを止めてもくれたので、それについては一応中立という建て前をまもっていた。

 その後、一度その場は解散?になった。しかし、目を付けられたからか、移動する自分たちと一緒にケーサツの方々もついてきた。一応、三越(安倍晋三の二回目の演説場所)まで行くことは決まっていたが、途中でベンチに座って少し休憩し、それから仲間達はタクシーに乗った。自分は一緒にタクシーに乗るのが怖かったので、徒歩で三越に向かうことにした。ここでの休憩は数分程度で、特に何か話したわけではない。三越で合流しようという話もしなかった。

 そのため、タクシーを見送り残ったケーサツの方々と、三越まで移動することになった。真ん中に自分がいて、前に二人、後ろに二人(他にも周囲に数名)のガッツリ体制である。
 自分はケーサツと雑談をしながら、テキトーに三越前まで向かった。プラカードを持った女性が、別のケーサツによって排除された所を目撃したりしながら移動した。

 聴衆でごった返す三越前ですぐに合流できるはずもなく、少し休んで落ち着いたら合流しようかと思った時にO氏の声(ヤジ)が聞こえて、ケーサツの方が場所を見つけて無事合流。こちらではあまり問答はなかったように思う。

 その後、仲間と喫茶店に移動しようとしたが、そこに行く途中でもケーサツがついてきて大名行列。札幌の美味しい喫茶店やご飯屋さんをケーサツの方々に紹介しながら歩き、喫茶店に入った。ケーサツの方々は店の中までは入ってくることはなく、途中でコンビニに入った時もついてこなかった。

 怖かったのはここまでで、さすがに一時間以上たった後、お店の外にはケーサツの方々はいなかった。その後、駅で仲間達と別れ、自分は帰宅した。

 その後は、家でTwitterやニュースをみて、「あることないこと」拡散されているのをみている。その様子を見ていたときは、ほぼ皆さんと同じ立場であるが、ただ「そのあと逮捕された」とか「特定の組織(過激派や共産党)が仕組んだ選挙妨害だ」といった書き込みが「ないこと」なのはわかる。現場にいた当事者だから。

 そこで自民党を支持している側の主張はともかくとしても、同じような思想の方々(リベラル派)からも、批判的な書き込みがあったのは悲しかったし、少し怒りも感じる(「やり方がわるい」とか「これじゃ反感を買うだけだ」といった意見)。ただ、「これはおかしい」と積極的に言ってくれたり、賛同してくれた方には、本当に感謝である。この文章を見ていただけているなら、この場でありがとうございますと伝えたい。

怖かったこと

 ここから、何にビビったり怒ったりしていたのか心境の部分を書いてみる。

まず具体的に怖かったこと。

 ケーサツの素早い対応や、法的根拠を示さない対応は、もちろん圧倒的に怖い。しかし自分は現場で声を上げていたO氏にも恐怖を感じていた。恐怖の板挟みである。
 自分はビビりで、真正面からの抗議行動の場面でも怖いと思うことはけっこうある。別にO氏は暴力を振るったわけでもないし、迷惑行為をしたわけでもないが、警察に止められながらもヤジを叫んだりするのは、やりすぎではないかと思うからである(笑)

 次に、ケーサツに対する恐怖について。

 行く前は、抗議行動といってもプラカードを掲げる程度で、終わったらみんなで居酒屋でワイワイするくらいはできると思っていた。だから、あそこまでわらわらとケーサツが湧き、圧力をかけられるのは怖かった。「そんな事をされたくないなら抗議に行かなければいい」と言う意見をよく見かけるが、しかし排除されたりするようになったのはここ数年のことであると思う。

 最初は、抗議が終わったら知り合いの所に飲みに行こうと考えていた。それができるのが当たり前だと思っていた。それが出来ない世の中にも恐怖を感じる。別に安倍晋三に殴りかかったわけでも、生卵をぶつけようとしたわけでもない。ただ、ヤジをとばそうとしただけ。ヤジを取り締まるのが当たり前なんだったら、国会でも安倍晋三のヤジを取り締まっていただきたい。

 「逮捕されるかもしれない」という恐怖は今でもある。そして、リベラル側の人でも、そういうことをしなければいいという人もいる。自分はなんにでもビビるので、「やりすぎだ」という意見には共感する。でも、「ここの政策に賛成・反対」と言いながら演説をみる方は、どの党の演説でもいると思うし、それすらできなくなると思うと辛くないですか?

政治とデモ

 ここまで凄く長くなったので最後の話にします。

 自分は政治で生活がよくなると思う(ここでいう「政治」とは、「議会・選挙」のこと)。でも実際には政治でできることは限られていて、よくなっているとも思っていない。
 逆にデモなどで活動して原発を止めたり、よくない例えだが、ヘイト垂れ流して国交を断絶するということも可能だとは思っている。

 どちらか単独で良くなるかと言ったらそれも違うと思う。「政治かデモか」ではなく、「両方大事」と自分は思っています。

 しかし、Twitterではデモなどを軽視して、「そんなことよりも議会」というひとがいる一方、デモ大好きな人でも政治に期待していないという話はよく聞く。自分はどちらも大事といいながら板挟みになっている。もっとどちらも大事と思ってくれる人が増えて、中には自分みたいなビビりもいてくれたら嬉しいです。

 最後まで読んでくれた方がいましたら、ありがとうございます。

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