本当のことなんか言えない(言えば排除される)
なんか知らないけど、僕たちのやった行動が一部でバズっているようなので、それについて書いてみようと思う。アベの演説場面(公道)でヤジを飛ばしたら、ものすごい速さで警察に取り囲まれ、強制排除された話である。
つい昨日、7/15に「わがPM」こと安倍晋三が、僕の住む札幌の街に来るという話を友人Mから聞いたので、友達数人と一緒に駆けつけることにした。参議院選挙に関する応援演説らしい。僕は、日々の生活を送りながら、本当に毎日毎日「0.1秒でも早く、アベに消えてほしい」と思ってるような人間である。これは、アベに直接文句を言う、またとないチャンスだと思ったのである。
ということで札幌駅前に来てみた。どこから聞きつけたのか、思ったよりも沢山の聴衆が集まっており、駅前の空間を埋め尽くす勢い。あまり後ろのほうに行って、こちらの声が届かなくなっても困るので、メディアや関係者が陣取っている、ほとんど最前線みたいなスペースで待つことにした。時間どおりに行ったものの、アベの演説は始まっておらず、高橋はるみ(前北海道知事で、今回の参議院議員候補)や鈴木直道(現・北海道知事)や、あとよく知らないおっさんが、選挙カーの上に立って何かを喋っていた。
まわりはほぼ全て関係者と自民党支持者のようで、反対派とおぼしき人の姿は、(いたのかもしれないが)全く見えなかった。正直、この時点で「えっ、ここでやるの?まじ?」とビビっていた。というか、ここに来ても一縷の望みにかけていた僕は、アベが演説を始めたら、きっとどこからともなく「アベやめろ」のコールが聞こえてくるのではないかと思っていたのである。
しかし、いざアベが話し始めても、一向にヤジは聞こえてこない。他の人に託していてもどうにもならないし、「ええいままよ」という感じで、「帰れー」とか「やめろー」とか叫んでみることにした。突然の大声に、聴衆が一瞬ざわつく。すると、ものすごい速度で警察が駆けつけ、あっという間に体の自由を奪われ、強制的に後方に排除されてしまった。同行のC氏が、僕が逮捕されないようにしがみついてくれたのだけど、一緒に後ろの方に押し流されてしまった。
その時の様子が、例の動画におさめられている。
選挙に関連して、同様の抗議行動をやっている内地の場合でも、公道上で拘束されたり、強制排除されているのはあまり見たことがなかったので、道警(北海道警察)もなかなか乱暴だなあと思った。
引き離された後は、警察に取り囲まれ、しばらく押し問答をしていた。「選挙期間とはいえ、国会内ですら認められているヤジを飛ばす権利が、警察権力によって恣意的に規制されるというのはおかしいんじゃないですか」、「法律を守らない人を取り締まる警察自身が、なんらの法的根拠に基づかないまま、市民の行動を制限することが認められるんですか」。僕が主張していたことは、大体こんな感じだ。僕は、こうした場面ではちょっとヘラヘラしながらも、法律の知識に基づいたやりとりをするように心がけている。ちょっとおどけたように笑いながらも、目の前の警察による行為が、決して許されるものではないという認識は崩さず、理詰めで反論する。最近はなるべくそういうスタンスを取るようにしている。
対応した警察官は、このような警備の場面で出てくる担当者にしてはロジカルで、こちらの話にも一定の理解を示していたものの、ともかくアベに近づくことは絶対に許可できないようだった。というか、こういう場面でよくある、「お願いをしてるんです」という体の事実上の強制(複数の警察官が壁を作って進めないようにする)を延々と食らうことになった。アベには近づけないので、少し離れた位置から思い出したように「アベやめろー!」と叫んでみる。そうすると警察がアタフタするのだが、さすがにこちらの口を手でふさぐわけにもいかず、取り囲んでわーわー騒ぐだけ。その様子はどこか滑稽でもあった。
二回目のヤジ
その後、警察とのやり取りの中で、「この後はどうするの?」と言われてハッと思い出した。大通でもアベは同様の応援演説を行う予定になっているのだった。そこで、これまで進もうとしていた街宣車へ近づくための道をあっさりとあきらめ、クルッときびすを返して、大通に向けて移動することにした。ただし、10人ぐらいの私服警官を引き連れて。尾行どころかプチ大名行列みたいな感じだったが、さいわいなことに全員が私服だったので、あまり恥ずかしい思いはしないで済んだ(制服警官に囲まれていると完全に犯罪者にしか見えないので)
しばらく歩いていたが、ゾロゾロ付きまとわれているのも癪なので、タクシーに乗ってまくことにした。あっという間に演説会場である三越前に到着。ちょうどアベが街宣車の上で演説している最中だった。また警察にマークされると近づくこともできなくなるので、とりあえず善良な歩行者ヅラして街宣車の真後ろに回り込み、再び大声で「アベやめろ」とコールしてみた。アベは何事かと一瞬振り向いたので、ここぞとばかりに指をさして面罵することができた。
もちろん、この時も速攻で(コール開始から実に三秒ぐらいで)近くにいた警察に身動きを封じられ(一人からは首を締められそうになって少しこわかった)、再び離れた場所まで押し流された。あっという間に終了である。このときは、とりあえず現場で一言でも文句を言えればOKと考えていたので、それ以上は粘らずに立ち去ることにした(私服警官は相変わらずゾロゾロとついてきたが、適当にまいた)
法律とか違反とか
ちなみに、このような行為に関して、選挙(演説)妨害だ、公職選挙法違反だということを言う人もいるが、向こうがマイクで喋っている際に肉声でヤジの一つ飛ばしたところで、別に演説の聞き取りに支障はないし、だいいち僕が叫んでいた時間なんて合わせても数十秒とかそのぐらいなので、妨害の要件を満たすとはとても思えない。だから、警察による今回の強制排除は、おそらく法的な根拠を欠いた、越権行為だろうと思われる。その証拠に、僕の行動を強引に止めにかかってきた警官のうち、誰一人として「公職選挙法」という言葉を出すことはなかった。強いていえば、彼らの頭の中にしか存在しない「アベ侮辱罪」にでも抵触したのかもしれないが、まあ、ふざけた話である。
(もとより、アベが僕の自宅に菓子折りでも持ってきてくれたら、そもそも僕が公道で文句を言う必要なんてないし、誰の迷惑にもならない。アベがこっちに出向いて来ればいい話なのだ、ということはずっと思っている)
だいたい、法律違反やマナー違反だのをいう人は、アベがやってる憲法違反の可能性が高いアレコレ(たとえば集団的自衛権に関する安保法)や、数々の強行採決をどう考えるのか。公文書の改ざんとか、統計不正、権力を濫用しての知人友人への利益誘導とか、どうなるんじゃい。
権力者による大きな不法行為・不正義には目をつむりながら、細かいルールを持ち出して、一般庶民の行動をどんどん規制する。最近の日本社会は、そのような風潮がいっそう強くなっているように感じるが、それが招くのは、単なる権力者への盲従ではないか。僕はそんなディストピアに住みたくはない。
(僕たちが警察によって排除されたことを喝采しているハッピーなネトウヨ諸君も少なくないが、恣意的な警察権力が行使される社会にあっては、その次の矛先は君になるかもしれないぞ)
それから、一応書いておくと、僕自身はどこの政党を特別に支持しているわけでもないし、選挙がどうのこうのということには、実はそこまで強い関心はない。ただ、とにかくアベのような人間が好き勝手に権力を行使し、それによって僕たち庶民の生活がより苦しくなるような状況に、人一倍怒りを感じているということが、今回の行動の動機である。
期せずして体を張り、動画やら写真やらにおさめられてしまったので、なんらかの形で拡散していただけると、一般市民による言論の自由を憎悪する日本という国家の、現状と今後を考える参考資料の一つにはなるんじゃあないでしょうか。あーあ、本当に嫌な国である。
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