奥ゆかしい猫

待ちわびてないそのときを待つようにもう難しい猫に寄り添う

意識もない猫に最期はついていたい理由をうまく説明できない

気付けないほどの断末魔の叫び 最後まで奥ゆかしい猫だ

そんな死はないと思っていた僕に猫はおだやかな最後を見せる

弔いのようにむさぼる 最期まで食べられなかった猫の分まで

飼い猫を亡くしたあとは子猫にも「長生きしなよ」と言い聞かせちゃう

割ったから泣きたくなるのではなくて泣きたいときにお皿は割れる

面倒見のいい猫が僕を「だいじょうぶ?」みたいに見上げる だいじょうぶだよ

晴れた日の窓辺が好きな猫だから見送るきょうもよく晴れている

好きだったエサ、専用の皿、薬 遺した猫と残された僕

猫を飼うことを勧める こんなにもつらい別れを知る僕がなお

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そんなそんな。