必殺仕事人

本日、2回目のご来店。うちの店のはす向かいにあるエステティックサロンのオーナーIさんだ。

Iさんは推定年齢55才。エステティックサロンを経営されている(ご自身も施術される現役エステティシャン)だけあって、お美しい。そして背が高く、手足も長い。

Iさん「先日頂いたパンツがとても良かったんです。」

私「ありがとうございます!気に入って頂けて良かったです。」

見た目はスリムに見えるが、やはり中年女性にありがちな「お腹ポッコリの下半身太り」が気になる様子。今日お召しの自前のパンツもツータックのゆったりとしたシルエットのガウチョパンツだ。

Iさん「これみたいにお腹が目立たないゆったりとしたデザインがいいんですけど…」

そのパンツは確かに身体につかず、ダブダブとしたシルエットでボディラインを完全に隠すデザインだった。でも。私はあえてハイウエストの、ノータックでウエストからヒップまで体にフィットしたラインのガウチョパンツをご提案した。

私「これ、絶対にIさんに似合うと思うから履いてみてください!」

Iさんは一瞬怪訝な顔をされたが、大人しくフィッティングルームに入ってくださった。

そしてそのパンツを履いてフィッティングルームから出てきて一言、

「とても履きやすいです!」と。そしてそのシルエットは、先程のブカブカしたツータックのガウチョとは比べ物にならないくらいほっそりと見えた。私は心の中でガッツポーズ!

私「凄く綺麗ですよ!とてもスリムに見えますね🎶」

気を良くされたIさんは、それから全てのコーディネートを私に任せて下さり、そのガウチョとコートとプルオーバーと、もう一着ワイドパンツもご購入頂いた。

Iさん「昨日、デパートに行ってコートを探したんだけど、気に入ったものは35万円もして諦めたの。こんなにいいのがここにあるなんて。昨日買わなくて良かったわ🎵」と、その1/3ほどの価格でコートを買えたことに至極ご満悦だった。そして仰った。

「普段、仕事ばかりしているでしょ。買い物に費やす時間がなくて。歳も歳だし、その辺で買えるような安物は着られないのよ。仕事上、銀行やクライアントと会うときに、やはりきちんとしたものを着るのも大切なことだからね。」

御意。深く御意。その気持ち、よ~~く分かります!

女性オーナーあるあるの、ある程度の「見栄」と「ハッタリ」。これは一国一城の主としてとても大切なことなのだ。特にお金の話をしなければいけない場面での自分のいでたち、見せ方、要は自分プロデュース。相手に与える印象は、コスチュームによってかさ上げされる部分は否めない。良いものを着ているだけでその人の信用度は確実に上がる。しかも女性というだけで嘗められる可能性は無きにしもあらずだ。上質な素材の、仕立ての良い服を着ているだけで相手に与える印象は格段に違うはず。それはお金に関する場所だけでなく、公の場所、例えばホテルや格式のあるレストランなどでも間違いなく扱いが違うはずだ。丁重に扱われる。レストランなどではVMD(ビジュアル マーチャンダイジング)の効果としても、外から見える場所のテーブルに案内されるだろう。「こんな素敵なハイクラスのお客様にうちの店は指示されていのです。」といったところだ。

女が自分の名前で仕事をするということは、色々な計算が必要だと思う。それが世間に対して媚を売るということもあるかもしれないが利用しない手はない、とも言える。自分を上手くプロデュースすることによって、スタートラインの底上げができるとしたら、それは戦略の一つだとも言える。頭を使って、上手に渡っていくことで、ビジネスがスムーズにいくことがあるとすれば、大いにそのお手伝いをしてお役に立ちたいと思う。同じ「仕事人」として。完璧に彼女をプロデュースしていきたいと、切に願ったのだった。







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